1999年6月5日

衆議院行政改革特別委員各位

図書館問題研究会常任委員会 (委員長 川越峰子)


地方分権一括法案による図書館法改正案について

 私たち図書館問題研究会は、図書館の発展を願う住民、図書館職員、研究者等から構成される個人会員のみによる任意加入の団体です。

 さて、地方分権一括法案によって、図書館法も改正されようとしています。地方分権一括法案は475もの法律を一括して変えるという膨大なもののためか、図書館法改正が大変小さな事としてとらえられ、ほとんど審議されないという状況は関係者として非常に問題だと考えています。

 今回の図書館法改正案には、国庫補助金支出の要件の廃止と、図書館協議会委員の構成の規定の緩和が盛り込まれています。国庫補助金支出要件である図書館長の司書有資格要件廃止については、多くの新聞でとりあげられました。しかし、これらの記事は、あたかも、「図書館の館長は司書資格がなくてもよい」という印象を与えるような記事が大半でした。補助金支出の要件からはずすことが、すなわち、館長が専門家でなくてもよいということにはなりません。

 地方分権を進めるにあたって、自治体や住民は、自ら考え、自ら決定していくことが求められています。自治体や住民は、国に頼るのではなく、自分達で情報収集し判断しなければなりません。図書館は地域の情報拠点として、地方分権を実質的に進めるためにも、重要視されるべき機関です。むしろ、地方分権を進めるにあたって、図書館長の専門性の必要は強まるのではないでしょうか。

 補助金の見直しは、地方分権を進めるにあたっては必要です。しかし、日本の町村の約7割には図書館がありません。図書館のナショナル・ミニマムは到底達成されていません。また、図書館が設置されている自治体でも、身近な地域に分館を設置していないところが多くあります。国民の多くが、図書館を利用しやすい環境にあるとは言い難い状態です。図書館の建設補助金はすでに廃止されましたが、それに替わる図書館設置を進める政策はなんら見るべきものが計画されていません。図書館にとって、主要な補助金であった建設補助金そのものが廃止され、追い討ちをかけるように、補助金要件である館長有資格要件等を廃止すれば、「図書館の館長は司書資格がなくてもよい」と受けとめる人がいても無理はありません。さらに、本来、見直すべきである、もっと大口の補助金で手をつけられていないものが多数あります。図書館の問題も重要な問題として、十分な論議がされることが必要です。

 今回の図書館法改正案における国庫補助金支出要件廃止については、ナショナル・ミニマムを達成するための代替の政策がないことと、地方分権にとってむしろ必要な図書館司書及び図書館長の専門性を低める契機となることから、このままでは賛成できません。議員各位においては、慎重な審議をお願いするとともに、議員各位と関係当局に次のことを要望します。

1 図書館法改正は、今回の地方分権一括法案により拙速に行うのではなく、図書館サービスを発展させる方向で、広く国民や関係者の論議の機会と時間を十分とった上で、内容のある法案を作成すること。さらに、その法案についても、多様な論議の機会を設け、内容について実質的な論議を、それにふさわしい機関で行うこと。

2 図書館のナショナル・ミニマムを設定し、それを達成するための政策を立案すること。とくに、住民の知る権利の保障や情報公開の促進の観点から、図書館未設置自治体の解消を図ること。あわせて、必要な法的整備も図ること。

3 図書館の専門的職員である司書と図書館長の専門性及びその職務内容について、国や自治体が恣意的に判断するのではなく、ふさわしい機関が客観的な分析を行い、その分析に基づいたものを一定の基準として、自治体や国が活用していくことができる政策の整備を図ること。

以上

連絡先:〒101―0061 千代田区三崎町2―17―9―401 図書館問題研究会事務所 電話 03-3222-5030 FAX 03-3234-5325


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