ケータイオフ車輌設置要望に対する日本民営鉄道協会からの回答

報告者:電磁波問題市民研究会・編集担当

 電磁波研会報80号で報告したように、電磁波問題市民研究会は、首都圏の鉄道各事業者及び日本民営鉄道協会(民鉄協)に対し、携帯電話オフ車両の設置を求める要望書を提出しました。いくつかの事業者から回答があり、また民鉄協と当会との間で意見交換を行ったことも、報告した通りです。
 その後、民鉄協から回答書がきましたので、紹介します。
 この回答は、電磁波問題市民研究会からの要望には直接答えずに、民鉄協の立場を説明しています。それによると、各鉄道事業者は総務省の新しい指針を総合的に勘案した結果、(乗客から反対意見もあるものの)これまでどおり、優先席付近での電源オフ等を継続していくことにしたとのことです。

総務省の新指針
 なお、総務省は新指針案についてパブリックコメントを募集しましたが、募集締切の後に、文言を一部変更したうえで、ほぼ案の通りに新指針が決定されました。
 詳しくは、パブリックコメントのウェブサイトをご覧ください。電磁波問題市民研究会からのものを含む、提出されたパブリックコメントの内容も掲載されています。


<民鉄協からの回答>

平成25年2月26日

電磁波問題市民研究会
大久保事務局長 様

(一社)日本民営鉄道協会
関 東 鉄 道 協 会
運輸調整部長 小林 圭治

「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器に及ぼす影響への対応」について(回答)

 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。また、日頃より民営鉄道をご利用いただき誠にありがとうございます。
 昨年11月21日に当協会及び加盟各社に送付をいただきました要望書につきまして回答させていただきます。
 本年1月24日に、総務省より「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器に及ぼす影響を防止するための指針の改正」が公表されました。これは、平成24年7月に第二世代携帯電話のサービスが終了したことに伴い、総務省の「生体電磁環境に関する検討会」より提出された意見を踏まえた検討及び意見募集の結果を踏まえて行われたものです。この意見募集には、当協会からも「指針が広く正しく理解していただく」ため、意見を提出しております。特に、「携帯電話端末等所有者・植込み型医療機器装着者及びメーカー等への十分な周知」が大変重要であると認識しています。総務省としても指針改正の趣旨が広く共有されるよう周知広報を行うことが表明されています。また、電磁波問題市民研究会様からの意見募集の内容も承知しております。
 指針の改正では、各種電波利用機器の電波による植込み型医療機器への影響は少なくなり安全性の向上が確認されたこと及び国際規格との整合性を考慮して、離隔距離について、これまでの22センチ(最大干渉距離15cm+安全マージン7cm)から15センチ(最大干渉距離3cm+安全マージン12cm)に見直しされています。
 民営鉄道各社におきましては、このような状況を総合的に勘案いたしまして、電車内でのより安全・安心な環境整備やお客様へのわかりやすさ等の観点から、基本的には、これまでどおり「優先席付近での電源オフ等」の対応を継続していくこととしています。この対応につきましては、反対等のご意見もあり、民営鉄道各社としては、お客様へのご協力をお願いしていますものの、大変悩ましいものとなっている実情もご理解ください。
 民営鉄道各社の現場におきましては、多くのお客様にご利用をいただいていますことから、さまざまなご意見・ご要望等がある中で、より安全・安心で快適な輸送サービスを提供すべく日々努力しているところです。民営鉄道各社の取組みにご理解をいただきますとともに、今後とも民営鉄道をご利用いただきますよう重ねてお願いたします。
 なお、「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器に及ぼす影響への対応」についての参考資料を添付しておりますので、ご参照ください。


【参考:要望書を送付した鉄道会社】
(1)東武鉄道、(2)西武鉄道、(3)京成電鉄、(4)京王電鉄、(5)小田急電鉄、(6)東京急行電鉄 (7)京浜急行電鉄、(8)東京地下鉄、(9)相模鉄道、(10)新京成電鉄、(11)千葉都市モノレール、(12)東菓高速鉄道、(13)埼玉高速鉄道、(14)首都圏新都市鉄道、(15)東京臨海高速鉄道、(16)東京モノレール、(17)ゆりかもめ、(18)多摩都市モノレール、(19)横浜高速鉄道


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