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(抄訳 TOKAI)
マイクロウェ-ブ・ニュ-ス2001年5〜6月号より

ア−ルボム博士とフェイチング博士が再度「慎重なる回避政策」の必要性主張

◎月刊誌『ランセット』で表明
 スウェ−デンのカロリンスカ研究所のアンダ−ス・ア−ルボムとマリア・フェイチング両博士(1992年に有名なカロリンスカ報告を発表)が『ランセット』(Lancet)4月14日号の論評欄で、極低周波電磁波(EMF)の未確定なリスクの対処として「慎重なる回避政策」(a policy of prudent avoidance)を支持することを再び表明した。
 スウェ−デンでは「不必要に重い電磁波曝露」を避けるため、「コストが過度にならず、技術的にも困難でなく」やれるなら政府が慎重なる回避政策をとることを二人は支持し、スウェ−デン政府も1990年代半ばから国の政策として実施してきている。
 ア−ルボム博士は昨年もMWNに対し「スウェ−デンでは(送電線に限らず)すべての場所、すべての発生源で人は慎重なる回避を行使すべきだ」と語っていた。

◎英ド−ル委員会に刺激され表明
 二人が再度意見を表明したのは、英国のリチャ−ド・ド−ル卿が委員長を務める委員会の報告(ド−ル委員会報告=会報10号参照)でア−ルボムとフェイチングのこれまでの分析の結論を支持する内容を入れたことに刺激を受けたためだ。すなわち、4mG(0.4μT)以上では小児白血病が統計学的に有意で2倍になるのは偶然性といった結果ではない(つまりかなり信頼性がある)、ということだ。ただし、ド−ル委員会は同時に物理学理論と実験研究からの支持がそこには不足している、としている。

◎ド−ル委員会より二人は明確
 ド−ル委員会が英国の子どもたちのEMFリスクについて(4mG以上被曝する子どもの数が少ないため)軽く扱っているのに対し、ア−ルボムとフェイチングは、たとえ白血病がまれな病気でかつ英国の子どもたちが4mG以上被曝する数が少ないとしても無視はできない、と指摘している。そして完全な評価が今までのデ−タ以上に求められているとも指摘している。
 二人は、小児白血病が極低周波電磁波と関係しているとする証拠はまだ「未確認のまま」と論評で書いている。ア−ルボムは「結論が出されていないということは未確認のままよりリスク評価上は進んでいる」と語っている。


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