反占領・平和レポート NO.44 (2006/2/10)
Anti-Occupation Pro-Peace Report No.44

1/25パレスチナ立法評議会選挙
屈服を拒否したパレスチナ人民
Jan. 25 Palestinian Legislative Council Election
Palestinian People Reject Submission
◎米国、EU諸国政府、日本政府は「援助打ち切り」の恫喝をやめよ! パレスチナに対する政治的・経済的内政干渉をやめよ!
◎米国、イスラエルはパレスチナ内戦を煽る策動をやめよ! パレスチナ住民への攻撃・殺戮をやめよ!
◎イスラエル政府は無条件にハマスと対話せよ! イスラエルの占領支配の終結! 「分離壁」建設中止・撤去! 入植地拡大反対!
◎パレスチナ人民を孤立させるな! パレスチナ人民連帯!

* US, EU, and Japan's governments, Stop threatening with "cutting the aid off" !
* US and Israel, Stop scheming and inflaming the civil war within Palestine ! Stop attacking and killing the residents in Palestine !
* Israeli government, Talk with Hamas unconditionally ! End the occupation by Israel ! Stop building and remove "separation walls" !
* Don't isolate the Palestinian People ! Solidarity to the Palestinian People !


[1]隷従と屈服を拒否したパレスチナ人民の強い抵抗の意志−−形を変えた“新しいインティファーダ”

(1) 1月25日に行われたパレスチナ立法評議会選挙におけるハマスの勝利は、屈服を強要するイスラエルと米国・EUに対するパレスチナ人民の拒否の意思表示に他ならない。それは民主的選挙によって示された明確な民意である。その意味で私たちは、今回のハマス勝利という形で表現されたパレスチナ人民の抵抗の意志を支持する。このこととハマスの政策・戦術・組織・思想の評価とは、別のことである。
※「Hamas Election Victory: A Vote for Clarity」Ali Abunimah, The Electronic Intifada, 26 January 2006 http://electronicintifada.net/v2/article4425.shtml
日本語訳は「ナブルス通信」2006.2.1号にある。http://www.onweb.to/palestine/siryo/plcele-abun06.html


(2) 今から約6年前、2000年9月末に始まった“第二次インティファーダ”は、オスロ合意にもとづく「和平プロセス」がまやかしの「和平」であり、イスラエル版アパルトヘイト体制の構築に他ならないということが明らかになったとき、それを拒否するパレスチナ人民の不満と怒りが爆発したものであった。
 しかし、この“第二次インティファーダ”は、ブッシュによるアフガン戦争、イラク戦争と続くアメリカの帝国主義的侵略戦争に乗じたシャロン政権によるパレスチナ人民全体への武力攻撃によって、アラファトPLO議長の殺害をも辞さず強行された自治政府の破壊と武力制圧を伴いながら、またジェニン、ナブルスなどでの大虐殺を伴いながら、無慈悲に押しつぶされてきた。パレスチナ人民の切実な願いは、巨大な犠牲を強いられながら、一旦は屈服させられたかに見えた。

 しかし、パレスチナ人民は、今回のハマスの勝利を通じて、それでも自分達は屈服しないという強烈な意思表示をイスラエルと全世界に見せつけたのである。殺されても殺されても、抑圧されても抑圧されても、絶対に屈しないということを選挙の形で示したのである。今回の勝利を“第三次インティファーダ”(The Third Intifada)と評価する論説まで出ているほどである。
※「The Third Intifada」Sam Bahour 4 February 2006 The Electronic Intifada,
http://electronicintifada.net/v2/article4455.shtml



[2]「ハマス・バッシング」の大洪水−−援助打ち切りなど経済的“絞殺”を恫喝に屈服を迫る卑劣な米国・EU・イスラエル。それに加担する小泉政権

(1) ハマスの勝利が明らかになって以来、米国・EU・イスラエルなどによってハマスに集中攻撃がかけられている。第一に、反占領闘争、武装抵抗をやめ、武装解除すること。第二に、イスラエル国家を承認すること。第三に、これらの条件を呑まなければ「援助」をうち切る。等々。
 米国・EU・イスラエルは、「テロ組織ハマス」ということを前面に押し出すことで、屈服しない意思表示をしたパレスチナ人民を孤立させ、経済的に締め付けて「罰し」ようとしている。日本政府は、援助継続の方針から米・EUに同調する方針へ転換した。
 イスラエルは、「国際世論」による「ハマス・バッシッング」をにらみながら、代理徴収している関税を自治政府に引き渡すことを停止するという“窃盗行為”を行なった。数日で引渡しを再開したが、誰が主人であるか、逆らえばどうなるかをパレスチナ自治政府に思い知らせるためのものであったことは明らかである。


(2) 大手メディアも、今回のハマスの勝利という、米・EU・日本などにとって受け入れがたい事態の原因が“パレスチナ内部”にあるかのように煽っている。最たるものはファタハと自治政府の腐敗を暴き立てる記事の洪水である。しかし、これは事柄の一面にすぎない。
 援助を政治的に利用し反占領闘争をカネで買うことによってファタハと自治政府を腐敗させ、手なづけようとしてきたのは、米国、EUをはじめとする帝国主義諸国である。自治政府をイスラエル版アパルトヘイト体制の似非「自治区」(=かつての南ア型バンツースタン)の番人に仕立て上げるために、系統的に金権腐敗体制が築かれてきたのである。

 喧伝されているファタハと自治政府の腐敗は、イスラエルの占領を前提にして、パレスチナ人民を屈服させることによって「和平」(=イスラエル版アパルトヘイト)を達成しようという米国・イスラエルとそれに同調するEUや国連などによって、育成され促進されてきたものに他ならない。
 したがって、ファタハと自治政府の腐敗を批判するのであれば、矛先をファタハに向けるのではなくイスラエルや米・EUなど帝国主義諸国にこそ向けなければならない。オスロ合意によって構築されてきた体制そのもの、占領をなくすのではなく占領をカモフラージュするためのアパルトヘイト体制の構築そのものを根底から批判しなければならない。

 イスラエルや帝国主義諸国による恫喝は選挙後だけではない。彼らは、選挙戦の最中にも、「ハマスが勝利すれば援助が打ち切られる」とさかんに宣伝し、露骨な選挙干渉を行なった。ファタハと自治政府にテコ入れするための資金も大量に流された。にもかかわらず、(否それだからこそというべきか)ハマスが勝利したのである。パレスチナ人民は、きっぱりと隷従と屈服を拒否したのである。
 米国・EUは、パレスチナ人民の正当な民意を尊重し、援助打ち切りを振りかざした汚い恫喝をやめるべきである。私たちは、援助の政治利用を厳しく糾弾する。米国やイスラエルの言うことを聞かない者には援助をしない、パレスチナ人民の利益を裏切った者にだけ援助する、そのようなことは断じて許されない。まさにイスラエルに対してこそ、正当に選出されたパレスチナ人民の代表者と対話するように圧力をかけなければならないのである。
※イスラエル左翼の重鎮ウリ・アヴネリ氏は、パレスチナ人民がいかなる指導部を選ぼうともイスラエルはそれと対話しなければならないと論じている。 「To Talk With Hamas」Uri Avnery, Gush Shalom, 26-1-2006 ?http://zope.gush-shalom.org/home/en/channels/avnery/1138405979/


(3) 「イスラエル国家の承認」「イスラエルの生存権」については、最低限、イスラエル側が、真に独立したパレスチナ国家を承認することなしにはあり得ないことである。現在のような、生活の基盤を完全に奪い取った形での事実上のアパルトヘイト体制によって、パレスチナ人民をガザと西岸の狭い地域に、文字通り「分離壁」で封じ込めておきながら、相手側だけに承認を迫るのは、到底許されない。パレスチナ人民とイスラエル人民の平和的共存抜きに真の「中東和平」は実現できない。しかし今その展望や道筋を具体的に語ることはできない。あまりにも多くの諸条件や諸要因に依存しているからであり、パレスチナ人民が、そして別の意味でイスラエル人民が、闘いの中からその展望を切り開いていくものだからである。いずれにしてもまず第一にイスラエル軍が占領地から全面的に撤退し、占領支配を終結させることが大前提である。


(4) 私たちは、米国・イスラエルなどによる、ハマスに対する「武装解除」要求の大合唱に反対する。これを新政府承認の条件にすることにも反対する。米国・イスラエルはこれによってパレスチナ人民の反占領闘争、抵抗闘争そのものを放棄させようとしているのである。
 問題の根源は、ここでもイスラエルによる占領体制にある。占領者の側が圧倒的な軍事力を武器に残虐で残忍な支配・抑圧・殺戮を繰り返してきたし、今もなお繰り返している時に、これに対して被占領者の側が、武装抵抗をも含む反占領の抵抗闘争、民族解放闘争を展開するのは、被占領者・被抑圧者の正当な権利である。
 私たちは、「無差別テロ」という戦術を支持するものではない。この戦術は往々にして占領者の側に政治的に利用され、まるで被占領者・被抑圧者の側が加害者であるかのように転倒された形で喧伝される。しかし、それは、闘っても闘っても占領と抑圧をはね除けることができないばかりか、一層残虐な形で大量虐殺と大量破壊の攻撃を受け、展望のない屈従と隷属を強制されてきたパレスチナ人民の、絶望的な余儀なくされた戦術でもある。私たちは、パレスチナ人民のこうした絶望的状況と長い苦難の歴史を無視して安易な評価をすることはできない。
 私たちは、パレスチナ人民が必ずや、この悲劇的で絶望的な戦術を乗り越え克服し、反占領の民族解放闘争を成功裏に前進させるであろうことを確信している。

 この観点からも、パレスチナ人民に対する国際連帯が決定的に重要である。イスラエルの占領支配の終結をパレスチナ人民だけの課題に押し込めてはならないのである。パレスチナ人民との連帯は、搾取と貧困、支配と抑圧からの人類の解放、植民地支配からの途上国人民の民族解放、その他あらゆる支配・抑圧からの解放を目指す運動全体にとっての課題である。全世界の反戦平和運動は、今まさに巻き起こっている「ハマス・バッシング」と内政干渉に対抗する闘いを構築しなければならないのである。



[3]問題はハマスではなくイスラエルと米国−−ハマスに「武装解除」を迫り、パレスチナ内戦を煽る米国・イスラエルの策動

(1) ハマスは、英国のリベラル紙「ガーディアン」に掲載された声明の中で、パレスチナ人民に対して次のように述べている。
 「パレスチナ人民に対する我々のメッセージは、次のとおりである。: 我が人民は、西岸とガザ地区で攻囲の下に暮らしているだけではなく、数百万人が故郷に帰ることができずに、レバノン、ヨルダン、シリアの難民キャンプでつらい思いをし、また世界に散らばっている。我々はあなた方に約束する。この世界の何ものにも、我々が解放と帰還という目標を追求するのをさまたげさせはしないということを。我々はパレスチナ内部の問題に対処するために、あらゆる勢力、諸組織と協働する労をいとわない。議会選に勝利しての、我々の当面する目標は、PLOを改革して、例外と差別なしに全パレスチナ人民を真に代表するものとしてのその役割を復活させることである。」(「ガーディアン」1月31日)
※「 We will not sell our people or principles for foreign aid 」GUARDIAN 2006/01/31
http://www.guardian.co.uk/israel/Story/0,,1698702,00.html

 このような観点でハマスはファタハに統一政府を呼びかけたが、ファタハは拒否した。しかしファタハ内部で、はっきりと2つの潮流がせめぎ合っている。一方は、自治政府を主導してきた主流派であり、米国主導の「和平」に協力することで「パレスチナ国家」を実現しようとしてきた潮流である。彼らは世界中からの援助の「窓口」になり莫大な資金を握っている。この潮流がハマスの呼びかけを拒否したのである。他方では、今回のインティファーダの中で、草の根の抵抗運動を闘ってきた部分が存在する。その中心はファタハの武装組織「タンジーム」と「アルアクサ殉教者旅団」である。これらの部分はハマスとも共闘しようとしている。


(2) 選挙結果が明らかになった直後、ハマスとファタハの支持者の間で衝突が起こり、一部では銃撃まであったことが報じられた。しかし、これは、ファタハ内の米国・イスラエルと最も結びつきの強いモハメド・ダハランとジブラル・ラジューブらの動きであって、ファタハの全体ではない。ダハランはガザ地区の治安組織の長であった人物、ラジューブは西岸での治安組織の長であった人物で、ともに米CIAおよびイスラエルの治安機関と緊密に協力しながら「パレスチナ自治」を行なってきた。ともにアラファトの後継を狙い、アラファトに排斥された人物である。
 選挙敗北の責任をとってファタハ中央委員会は辞任せよと要求するデモを組織したのも彼らである。大手メディアは、ファタハ内の世代間対立としてしか報じていないが、ダハランやラジューブらとアッバスやクレイらとの世代間対立は、米国やイスラエルと妥協的な部分内の世代間対立でしかない。それら全体に対して批判的な、ファタハ内の闘う部分については大手メディアはほとんど報じていないのである。
※「The End of a Political Fiction?」Adam Hanieh, The Electronic Intifada, 2 February 2006
http://electronicintifada.net/v2/article4447.shtml


(3) 今パレスチナで浮上している重大問題は、大手メディアが報じているものとは全く正反対のことである。すなわち選択を迫られているのはハマスではなくイスラエルと米国の側なのである。
※「The problem is Israel, not Hamas」Khaled Amayreh 」Al-Ahram Weekly
http://weekly.ahram.org.eg/2006/780/re12.htm

 非妥協的なハマス主導の自治政府を何がなんでも阻止しようと、米国とイスラエルがあらゆる手段を使って策動しているということが問題なのである。米国とイスラエルは、ハマス中心の自治政府を阻止するためには、パレスチナ内乱を煽ることもいとわないのである。
 一部メディアでは、1991-2年にアルジェリアで「イスラム原理主義組織」が総選挙で多数を獲得たのち内乱に発展した例があると報じられた。パレスチナでも内乱に発展するシナリオがありうるという報道もなされている。米国とイスラエルの策動をふまえれば、これらは全く無責任な報道といわなければならない。

 イスラエルは、ハマスを含むパレスチナ側が停戦を遵守してきた間にも、様々な口実をつくってはガザ空爆と活動家の暗殺を含む武力攻撃を行なってきた。選挙前後、イスラエルは断続的に続けてきた武力攻撃を控えていたが、ハマスの勝利が明らかになるや、ガザ空爆を再開し、今は「アルアクサ殉教者旅団」の活動家をねらい撃ちしている。イスラエルの武力行使は、政治的思惑の下に計算されて行われているのである。パレスチナ内部の、イスラエルにとって最も危険であると思われる動きを叩いているのである。そして、内乱を煽る策動まで行なっている。
 そのようなもとで、米国、EU、イスラエルは、ハマスに武装解除を要求しているのである。もしパレスチナ側が武装解除したとすれば、「サブラ・シャティーラの虐殺」が再現される恐れがあるのは、火を見るより明らかである。
 米国とイスラエルは、パレスチナ人民の民意を尊重して、内乱を煽ることを含むいっさいの策動と干渉および不当な要求をやめなければならない。



[4]再度パレスチナ問題の根源が前面に−−米・イスラエル主導の「和平プロセス」=イスラエル型アパルトヘイト体制の破綻。

(1) イスラエルがあらゆる手段を使ってハマスを自治政府から排除しようとしている真の理由は、ハマスが「テロ組織」であるとか、「イスラエルを認めていない」とかいうことにあるのではない。それらは、表向きの理由、真の理由を隠す口実にすぎない。

 真の理由は、米国・イスラエルがオスロ合意以降長期に渡ってパレスチナ人民に押し付けてきたイスラエル版アパルトヘイト体制、カモフラージュされた占領体制が行き詰まりと破綻に直面するということである。米国・イスラエルの恫喝に屈服し妥協的傾向を強めてきたファタハ主流派による弱腰の自治政府という、イスラエルにとってこの上なく好都合な体制が音を立てて崩れる恐れである。


(2) ハマスの勝利は、全世界に向かって改めてパレスチナ問題の根源、本質を露わにした。一方で「分離壁」の建設強行に有効な反撃ができず妥協に妥協を強いられ続け、他方でパレスチナ難民を切り捨て西岸とガザ地区に限定した「和平」を受け入れようとしていたファタハ主導の自治政府に代わって、「分離壁」阻止、パレスチナ難民の帰還権、武装闘争を含む反占領闘争という原則を一歩も譲らないハマスが主導する自治政府が成立しようとしているのである。占領地からの全面撤退というパレスチナ側の原則的要求、38年以上にわたってイスラエルに課せられ続けている義務が、再び国際政治の焦点に浮上しようとしている。パレスチナ人民のせっぱ詰まった悲鳴によって、パレスチナ問題の全体がもう一度、世界中の誰もの意表を突く恰好で否応なく姿を現したのである。
 今回のハマスの勝利は、「分離壁」建設の中止・解体、1967年以降の占領地からの全面撤退と占領支配の全面終結こそがパレスチナ問題の根本的な解決の前提に他ならないということ、更にそれだけでなく、1948年以降の度重なる中東戦争を通じて生み出されたパレスチナ難民の帰還権をも含む、パレスチナ問題の全体をも浮き彫りにしているのである。



[5]全世界の反戦平和運動の責務−−米・EU・日本など帝国主義諸国の内政干渉をやめさせること

(1) 今回の選挙におけるハマスの勝利は、米国主導の「中東和平」と米国の中東戦略そのものを根底から揺さぶっている。たかをくくっていたブッシュ政権は慌てふためいている。
 歴代米政権の「中東和平」、イスラエルを軸とする政治的・軍事的支配は、米国の帝国主義的石油支配=中東支配の根幹をなすとともに、その矛盾の集中点ともなってきた。クリントン時代にはキャンプデービッド会談が対立と迷走の後に挫折し、オスロ合意以降の「和平プロセス」を行き詰まらせた。ブッシュになってからも、イラク戦争の「勝利宣言」の直後に意気揚々と持ち出された「ロードマップ」が結局は行き詰まった。昨年夏実行に移されたシャロンの奇策=「一方的ガザ撤退」政策は、この行き詰まりの打開と“占領体制の再編”が狙い目であった。
 今回のハマス勝利は、妥協的なファタハ主流派の自治政府を大前提とする、窮余の一策であったこの“占領体制の再編”をも破綻させかねないものとなったのである。
※「反占領・平和レポート NO.40 (2004/6/18) シャロンが政権延命の手段として持ち出し弄んだ「ガザ撤収案」(署名事務局)
※「反占領・平和レポート NO.31 (2003/6/3) 強制収容所へのロードマップ」(署名事務局)
※「反占領・平和レポート NO.30 (2003/5/26) イスラエル型アパルトヘイト体制=“陸の孤島”への「ロードマップ」(署名事務局)

 すでに、今年の中間選挙に向けて劣勢に立つブッシュ政権は、イラク戦争・占領の泥沼化と自らの内外政策の相次ぐ失敗によって、「レイムダック」化している。イラク政策と中東戦略は完全に行き詰まり破綻している。これに今回の「中東和平」の新たな行き詰まりが加わったのである。


(2) ハマスの勝利によって、イスラエル社会は再び「右傾化」し始めている。この3月には総選挙がある。まさにハマス主導の自治政府への態度が政治的争点に押し出されている。シャロンの新党カディマがオルメルト首相のもとでハマス排除に狂奔し、右翼強硬派ネタニヤフのリクードが対ハマス強硬姿勢で浮上し、新党首のもとで「左傾化」したと評されていた労働党も「ハマスとの対話拒否」で歩調を合わせている。
 イスラエル国内のパレスチナ人民との対話・連帯を追求する運動やラディカルな反戦平和運動は、再び苦しい闘いを強いられている。
※「Hamas and Us」by Gila Svirsky February 2, 2006 http://www.dissidentvoice.org/Feb06/Svirsky02.htm

 帝国主義諸国政府と米欧日をはじめとする全世界の大手マス・メディアによる巨大な「ハマス・バッシング」によって、パレスチナ人民が孤立させられようとしている。パレスチナ新政府組閣に対しても、許し難い内政干渉がまかり通っている。民主選挙で第一党になった政党と対話するな、援助を停止する、抵抗闘争をやめろ、武装解除せよ等々。
 私たち、帝国主義国日本で活動する反戦平和運動にとって最も重要なことは、このような孤立したパレスチナ人民と連帯し、自国日本を含む帝国主義諸国の対パレスチナ内政干渉を真正面から批判し、これに反対することである。

2006年2月10日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局




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