反占領・平和レポート NO.35 (2003/9/15)
Anti-Occupation Pro-Peace Report No.35

アラファト議長追放の閣議決定、糾弾!
イスラエルにパレスチナの元首を排除・追放する権限などない
○まずイスラエルが軍事占領=植民地支配をやめよ
○まずイスラエルがパレスチナ人の殺戮、抑圧と生活破壊をやめよ
○まずイスラエルが軍事行動を停止せよ
○まずイスラエルがアパルトヘイト・ウォールの建設を中止せよ

■アラファト議長殺害まで公言。武力を背景にした占領者の傲慢と横暴!パレスチナがイスラエルの植民地であることを改めて全世界に知らしめた暴挙!
 イスラエル政府は9月11日の治安閣議で、パレスチナ自治政府のアラファト議長を「和平の障害」とみなして「排除」する方針を決定ました。これにより「シャロン首相とモファズ国防相は議長排除を行なう自由裁量を得た」、「閣議は軍に対して議長追放計画を準備するよう命じた」、また「排除」とは追放を意味し、追放を実行すれば抵抗するだろうから殺害もありうると報じられています。現に9月14日、イスラエルのオルマート副首相は「議長殺害は確実に選択肢の1つ。われわれはテロの指導者全員の殺害を試みており、アラファトも対象者の一人だ」と公然と主張しました。

 何という傲慢、何という横暴!なぜイスラエルの閣議でパレスチナの元首を追放(=殺害)するというような決定がくだせるのでしょうか?!そんな権限、法的根拠がいったいどこにあるというのでしょうか!圧倒的武力を背景にした占領者イスラエルの傲慢と横暴、人類が多年にわたって築きあげてきた国際法の蹂躙です。内政干渉という生やさしいものではありません。パレスチナがイスラエルの植民地であるということをあらためて全世界に知らしめた暴挙に他なりません。21世紀のこの時代に生きながらえている前時代的な古典的帝国主義的な植民地支配そのものです。私たちは、占領者イスラエルの無法な横暴、許し難い暴挙を、満身の怒りを込めて糾弾します! 

■シャロン政権が捏造した「アラファト議長が和平の障害」というデマ
 「和平の障害」はシャロン政権そのものです。「ロードマップ」をめぐる当事者と関係諸国の様々な思惑と力関係の結果やっとのことで実施に移された「停戦」「和平」が、返って自らの首を絞めることになったと気付いたシャロンが、なりふり構わずパレスチナ人の抵抗に攻撃を加え始めたことが事の真相なのです。「分離壁」(ウォール)問題が国際的な争点に急浮上し、占領支配の犯罪性と残酷が世界中の誰の目にも見える格好で前に出てきたことがシャロンを窮地に陥れたのです。(私たちは、そのことを「反占領・平和レポートNo.34」「同 No.33」「同 No.30」において明らかにしました)

 何度でも繰り返し主張しなければなりません。「和平の障害」は、イスラエルの軍事占領=植民地支配であって、占領に対するパレスチナの抵抗ではありません。「和平の障害」は、圧倒的な武力でやりたい放題の殺戮、抑圧と生活破壊を繰り返しているイスラエルの軍事行動であって、それに対するパレスチナの反発ではありません。「和平の障害」は、パレスチナの側が停戦を実施しても、パレスチナ人殺害の軍事行動をやめようとせず、これ見よがしの挑発(=要人殺害)を繰り返したシャロン政権とイスラエル軍部であって、それに対するパレスチナの反発ではありません。

■またしてもイスラエルの占領支配を正当化し擁護する大手メディア
 ところが事ここに至っても、未だに日本の大手メディアはシャロンの言い口、つまり「平和の障害アラファト」という転倒したデマゴギーを垂れ流しています。彼らメディアは、イスラエルによる占領支配という“根本原因”を棚上げにして、その結果だけを、表面づらだけを書き立てているのです。「暴力の連鎖の再燃」と「和平を妨げるパレスチナ過激派による自爆テロ」等々。しかし一体「暴力の連鎖」の根源はどこにあるのか。「自爆テロ」の原因は何なのか。問題の真実、本質を全く報道しようとはしません。

 大手メディアは、テロの取り締まりを強化しようとしたアッバス内閣をアラファト議長が退陣に追い込んだと、イスラエルの説明通りの報道を繰り返しています。「テロを容認するアラファト議長」「アラファト議長の独裁」等々、今起こっている本質がまるで“自治政府の内紛”であるかのような報道に終始しているのです。しかもイスラエルに対しては、弱々しく「自制を求める」「やりすぎ」と言うだけで、事実上、イスラエルがアラファト議長を殺害してもそれをやむをえないこととして容認するような姿勢さえうかがわれます。
 本末転倒とはこのことです。アラファト議長や自治政府が問題なのではなく、シャロン政権が問題なのです。アッバス内閣を退陣に追い込んだのは、「ロードマップ」がイスラエルに対して要求している入植活動の停止と自治区からの撤退すら行おうとしなかったシャロン政権であって、アラファト議長ではありません。シャロン政権は、自らの義務は何一つまともに履行せず、したがってアッバス内閣に何一つ成果を与えず、そのことによって極度にイスラエル寄りである「ロードマップ」すら頓挫させました。にもかかわらず、その責任をアラファト議長に転嫁しているのです。
 
 占領者=植民地支配者イスラエルの言いなりには動かない被占領者パレスチナの元首を追放する、パレスチナ内部から、占領者イスラエルの手下として占領者と一体となって占領への抵抗を弾圧する裏切り者の政府を樹立する、それによって占領支配、植民地支配を永続化する−−これがシャロンが政権誕生以来一貫して追求してきたことです。こんなことが簡単に実現できるわけがありません。シャロンは、自らのこの実現不可能な野望が破綻した全ての責任をアラファト議長に押し付け、占領への抵抗の象徴となっているアラファト議長の追放・殺害を画策しているのです。

■あらためて問う。イスラエルの言う「テロの根絶」とは何か?
 シャロンは「テロ根絶」が最大の問題であるかのように主張しています。しかし彼の言う「テロ」とは、占領者イスラエルに対する被占領者パレスチナの抵抗のことです。政治的にも法的にも人道的にも、全く正当な権利です。占領と植民地支配に対するパレスチナ人の抵抗を、およそ「テロ」として非難することそのものが、全く言語道断の占領者=帝国主義的植民地支配者の論理です。
 シャロンの言う「テロとの戦い」とは、占領者イスラエルが国際法と国連決議を無視して占領を続け、更なる土地収奪と領土併合を行い、パレスチナ人の人権など無いに等しい扱いを日常的・恒常的に行い続けても、パレスチナ人からの反抗や抵抗がない状態を現出しようということに他なりません。「占領は続ける。だが占領への抵抗は許さない」−−こんなバカなことはありません。要するにそれは、およそイスラエルにたてつくパレスチナ人には何をしてもかまわないという暴虐、まさに古典的植民地支配を正当化しようとする現代的表現に他ならないのです。

■シャロン政権を増長させ後押しする米ブッシュ政権
 米ブッシュ政権は、威信をかけた「ロードマップ」を推進するために、シャロンに口先だけで「懸念を表明」したり牽制をしたりするだけで、イスラエルに対して実効ある制裁を何ひとつ行なってはいません。またこれまでも行なったことは一度もありません。国連でイスラエルの蛮行が非難され決議されようとするとき、常にこれを阻止し妨害してきたのです。それだけではありません。アメリカは未だに経済的、財政的、政治的、軍事的にイスラエルを支え続けています。ブッシュ政権になって以来、イスラエル支援はいっそう強化されてきたと言えるでしょう。
 ブッシュ政権が推進しようとする「ロードマップ」そのものも、占領をなくす前に占領への抵抗をなくそうとする理不尽なものであり、シャロン政権が「テロとの闘い」「テロの根絶」を口実にした暴虐を繰り返す「論拠」を与えています。これらのこと全てが、シャロン政権の傲慢と横暴をここまで増長させてきたのです。

■メール、ファックス、電話、ハガキ等、あらゆる手段で抗議を!
 2001年12月初めにイスラエル軍による議長府攻撃が開始され、2002年春から夏にかけてパレスチナ自治区への大侵攻が行われました。議長府は攻囲され破壊され兵糧攻めにされ、イスラエル軍はアラファト議長殺害の寸前まで突き進みました。現場のイスラエル軍将校は、銃撃戦のさなかに流れ弾に当たって議長が死亡してもおかしくはないとうそぶきました。当時参謀総長であったモファズ現国防相は、アラファト追放(=殺害)を行わなかったのは間違いだったと公然と語っています。そしてあの残酷な「ジェニンの虐殺」が起こったのも、この時だったのです。

 このときアラファト議長殺害を阻止したのは、自治政府の公的機関や武装した勢力の激しい抵抗、パレスチナ人民の防衛闘争だけではありません。この闘いに連帯して現地で体を張って阻止行動を行った国際平和運動とイスラエル平和運動の活動家たち、それを支持してイスラエルとアメリカに対して非難と抗議を集中した全世界の平和運動と国際的なパレスチナ連帯運動の圧力です。
 今また、現地でパレスチナ人民が広範に立ち上がり、それに連帯してイスラエルの平和運動活動家と国際連帯運動活動家がすでに続々と議長府に結集しています。イスラエルの先進的平和運動を牽引する「グッシュ・シャロム」の創設者で中心であるウリ・アヴネリ氏(80歳)をはじめとして30人のイスラエル人が議長府に「人間の盾」として入りました。

 世界が批判と監視を続ける限りシャロンとて無茶な暴走はできません。国際世論だけがシャロンの暴虐を阻止できるのです。全世界の平和運動の一翼を担うものとして今私たちにできること、それはパレスチナ現地で起こっている真実を一人でも多くの人々に伝えること、イスラエルやアメリカに抗議することです。
 1年半前の事態を繰り返させてはなりません。 
−−イスラエルに対して抗議を集中しましょう!
−−アメリカに、イスラエルヘの支持・支援をやめるよう抗議しましょう!
−−日本政府に、イスラエルに対して抗議するよう要求しましょう!

2003年9月15日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局



抗議ハガキ・メール・FAXの送り先


イスラエル大使館宛

(はがき宛先)
  〒102-0084 東京都千代田区二番町3番地 イスラエル大使館
  駐日イスラエル大使 イツハク・リオール 様

 ● 政治部       Fax: 03-3264-0965
 ● 報道・広報室    Fax: 03-3264-0794/E-mail: information@tky.mfa.gov.il
 ● 文化部        Fax: 03-3264-0792/E-mail: cu.sec@tky.mfa.gov.il
 ● 経済部        Fax: 03-3264-0829/E-mail: eco@ruby.famille.ne.jp
 ● 武官室       Fax: 03-3264-0655

イスラエル政府宛メール
シャロン首相         webmaster@pmo.gov.il
首相府スポークスマン   dover@pmo.gov.il


アメリカ大使館宛

(はがき宛先)
  〒107-8420 東京都港区赤坂1丁目10-5 アメリカ大使館
  駐日米国大使 ハワード・H・ベーカー駐日大使 様

アメリカ大使館     mail-jpn@pd.state.gov

アメリカ政府宛メール
ブッシュ大統領      president@whitehouse.gov
パウエル国務長官    secretary@state.gov


日本政府宛

(はがき宛先)
  〒100-0014 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣官邸
  内閣総理大臣 小泉純一郎 様

 または
  〒105-8519 東京都港区芝公園2−11−1 外務省
  外務大臣 川口順子 様

 ● 首相官邸       Fax: 03-3581-3883
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 ● 外務省          E-mail: goiken@mofa.go.jp
      WEBサイト投稿ページ: http://www2.mofa.go.jp:8080/mofaj/mail/qa.html