イラク派兵阻止の闘いを長期戦の構えで取り組もう!
− イラク特措法を廃案に!自衛隊派兵に反対する 7.20大阪集会 −

7月20日(日) 総合福祉センター「ヒュ-マインド」 第1研修室にて 
 主催 アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
集会内容:
 ビデオ 「泥沼化するイラク戦争−−狙われる米兵」
 [基調報告] イラク戦争の泥沼化、ブッシュ・ブレアの窮地の下でのイラク特措法廃案の闘い
       (関連資料 [翻訳] 専門家は勝利の深さに疑問を持つ 米軍への攻撃はバース党が去勢されていないことを示している
 報告 米英の戦争犯罪の原点−イラク戦争における民間人犠牲者
 報告 「恒久法」と日本軍国主義の新しい危険--国際平和協力懇談会の「提言」について
 討論と活動報告
      (集会へのメッセージ
 集会決議 イラク特措法廃案!自衛隊派兵を阻止する闘いを地道に作り上げよう!



 イラクに大量破壊兵器はなかった。イラク戦争は泥沼化している。――イラク特措法の前提条件が二重の条件で破綻している中で、参議院での強行採決が迫る同法の廃案をあくまで要求し、それに止まらず秋を見通し長期戦の構えで派兵阻止を見通し、決意すべく本集会は開催されました。

 初めに最新のイラク情勢を伝えるビデオが紹介されました。それはブッシュによって「勝利」宣言がなされたにも拘わらずイラクは「ゲリラ戦」状態にあり、すでに米軍の死者数は湾岸戦争時を上回ったこと、いつまでも帰還できぬ米兵家族を中心に厭戦の世論が広がりつつあることを示すものでした。

 こうした情勢を踏まえ、「イラク戦争の泥沼化、ブッシュ・ブレアの窮地の下でのイラク特措法廃案」と題する基調報告、次いで「イラク戦争被害の実相」報告、さらにいわゆる「恒久法」――「自衛隊」のグローバルな侵略軍への変貌、ローカルな軍国主義からグローバルな軍国主義への拡大を目指す――に対する批判報告がなされました。

■国際政治の潮流変化を見直すことが今まさに重要なこと。
 基調では、まずイラク戦争の泥沼化が国際政治の潮目を変化させていることが強調されました。国内で小泉の「強さ」だけに目を奪われるのでなく、長期戦の構えで諦めず地道な闘いを積み重ねる必要性がまず確認されました。

 実際ブッシュ・ブレア両政権には、戦争の「大義」をめぐって、また連日米英軍に死者が出ていることをもってして逆風が吹きつつあります。政権はデフレ危機、その下での「ジョブレス・リカバリー」によっても打撃を受けています。

 イラク民衆の抵抗闘争は、「泥沼化」「ベトナム化」の問題として米国内政治の中心問題になりつつあります。それはラムズフェルド戦略の破綻でもあります。米は今その軍事力を国際的に再編しようとしているのですが、一方ではその戦線がもはや延びきっていることをも表しているのです。ブッシュの先制攻撃戦略やグローバルな戦争拡大は徐々に揺らぎつつあります。

 そんな中、今一番危険なのはブッシュが窮地から脱するために北朝鮮への戦争挑発をすることです。ブッシュ政権は北朝鮮を標的に巻き返しを図ろうとしているのです。それに追随し先兵役を演じているのが小泉であるということです。

 この日本軍国主義の対外侵略的性格のエスカレーションと「自衛隊」のグローバルな侵略軍の変貌(その代表例が別報告にある「恒久法」)に対する闘いは始まったばかりです。イラク特措法が今国会で成立させられたとしても、それはその闘いの始まりを意味します。イラク民衆のゲリラ闘争は小泉をかつてない窮地に立たせようとしています。法は成立したが発動はできない、全面的発動はできず部分的発動しかできない、そういう可能性さえ出てきているのです。秋を見通し長期戦の構えで取り組む姿勢を確認して報告は終わりました。

■占領下のイラク民衆、イラクの子どもたちの被害を告発する必要がある。
 次に「米英の戦争犯罪の原点――イラク戦争における民間人犠牲者」と題する「戦争被害の実相」報告がなされました。最初に報告の問題意識、すなわち民間人犠牲者を暴くことは何よりも犠牲者を生み出す最大の元凶が米英による軍事占領にあること、米英の即時撤退が唯一の解決法であること、米英は被害者に無条件賠償を行うこと、そして何よりイラクの現状を暴き、広めていくことが、自衛隊をイラクに派兵させないことにつながることが述べられました。その上でことに米英軍が南部からバクダッドに攻め上った過程で、徹底した空爆と地上軍の殲滅により、湾岸戦争を上回る民間人死者とさらにイラク軍兵士がクラスター爆弾等の犠牲になった実相が暴露されました。

■政府がイラク戦争開戦の過程でコソコソ準備していた海外派兵「恒久法」
 最後に、私たちも最近まで注目してこなかった重要な問題、すなわち海外総動員法、包括的な海外派兵法とも言うべき「恒久法」が昨年来着々と準備されてきたという重大な問題が報告されました。

 発端は昨年末の福田官房長官の私的諮問機関「国際協力懇談会」の「提言」にあります。この提言の全般的な特徴はまさに帝国主義的・植民地主義的な論理というべきものであり、根底には資源戦略があるものと考えられますが、他国の「国作り」に干渉すべきことにまで踏み込んでいます。提言は米英のイラク侵略への加担を想定したものであり、従来の国連PKOは古くさいと切り捨て、米軍のグローバルな侵略行動、軍事介入との一体化をなそうとするものであるなどいくつかの特徴を持っていますが、いずれにしても、そのまま実現されれば自衛隊の性格と構造は一変し、「海外派兵」を「本来任務」の一つにするというものになります。それのみならず提言は現地治安維持に警察部隊を派遣したり、ODAを「傀儡政権」作りに利用することも主張しています。この提言とイラク特措法をベースにした「恒久法」が来年通常国会の目玉に浮上しようとしているのです。

■政府与党の軍事外交政策も、反戦平和運動もともに転換点に来ている。
 以上三つの報告をもとに質疑討論に入りました。質問に答える形で日本の政権の中心部が日本版ネオコンで占められつつある点が指摘されましたが、同時にそれらが「強い」かというとそうでなく、現実と合致しない状況が出ている点も強調されました。
 いずれにしても日本の軍事・外交が一転換点に来ていることは間違いありません。また米国でも大量破壊兵器がなかった点、戦場に行った息子がいつまでも帰ってこないとの声が議会に届いた点がマスコミ論調変化の背景にあることが暴露されました。

 さらに、署名事務局からこの間の活動報告、新たな署名を提起し短期間にもかかわらず多数集まった点、イラク開戦時、小泉戦争支持の根拠となった大量破壊兵器保有をめぐる小泉責任追及の「公開質問書」提出、劣化ウラン弾反対での川口外相宛抗議決議採択等の報告がなされました。また「美浜の会」からは関電交渉で関電の劣化ウランが武器に転用されていないことの「確認書」なるものが一片の手紙にすぎなかったことが明らかになったこと、また関電の知らぬ存ぜぬを決め込んでいる姿が暴露されました。最後に教科書問題に取り組む教員の方より教育基本法「改正」問題がこの半年間で山場を迎えること、「改正」阻止の芽が徐々に出ていることが訴えられました。

 最後に、「長期戦の構えで地道な活動を続けていこう」という粘り強い闘いの決意を示す決議で集会は締めくくられました。イラク特措法の廃案を目指しつつ、なおその後の中長期の闘いの展望を見出すための情勢を確認し、なお闘いの決意と元気をくみ出せるものとなりました。




[集会に寄せていただいたメッセージ]

大阪集会へのメッセージ
 「イラク特措法を廃案に!自衛隊派兵に反対する7.20大阪集会」に参加された皆様、東京から皆さんと意思を共にして活動するピース・ニュースの仲間から連帯の挨拶を送ります。
 私たちは本日、同時刻に東京において学習会を行っています。

 誰が見ても明らかな憲法違反の自衛隊派兵、侵略戦争への自衛隊参戦が極めていいかげんでお粗末な国会審議により強行されようとしています。

 私たちは今日の学習会において、6月中旬にイラク現地を訪れた細井明美さんのお話を聞き、イラクの現実を学ぶ中であらためて、あくまでもイラクへの自衛隊派遣に反対する意思を確認したところです。
また6月に韓国で行われた女子中学生轢殺事件一周忌追悼集会と南北共同宣言記念行事に参加した青木裕美さんのお話を聞き、韓国の運動の現状と、「北と戦争を起こしてはいけない」「統一は私たちの手で」という人々の強い意志を確認し、現在の日本の反北朝鮮キャンペーンがいかに異常なものであるか、こうした反北朝鮮キャンペーンと闘い戦争への動きに対して断固として反対してゆく意思を固めたところです。

たとえ国会でイラク特措法が成立したとしても、政府の基本計画策定や実際の派遣までには、現地イラクの情勢や世界情勢も反映して様々な動きが予想されます。私たちは今後もイラクへの自衛隊派遣の犯罪性、危険性を訴え、自衛隊派兵を実行に移させない取り組みをしてゆきたいと考えています。

この間の活動のなかで、私たちは貴署名事務局や、「基地はいらない女たちのネットワーク」、「テロ特措法・自衛隊海外派兵は違憲市民訴訟の会」など、さまざまなグループとの協力関係を築いてきました。
こうしたネットワークをより強固なものにして今後も協力しあいながら闘って行くことを誓って連帯の挨拶とします。
2003年7月20日 ピース・ニュース学習会参加者