4.29集会に120名を超える参加者
イラク現地とアメリカ現地から迫真の報告
ブッシュのイラクでの戦争犯罪を追及するため、有事法制を阻止するために活発に議論

戦争を止めよう!平和を運ぼう!全国リレー行動
有事法制反対! イラク植民地化に反対し、
ブッシュの戦争犯罪を追及する4・29集会

 4月29日、署名事務局の主催で「有事法制反対!イラク植民地化に反対し、ブッシュの戦争犯罪を追及する4・29集会」を開催しました。集会には120名を超える人々が参加し、100名規模の会場はいっぱいになり熱気にあふれました。イラク戦争を巡る情勢は「戦後」の新たな局面に入っており、アメリカによる、イラク植民地支配批判と戦争犯罪追及、「北朝鮮の脅威」を口実にした日本の有事法制を阻止するための闘いが中心課題として前面に出てきています。集会への多数の参加は、開戦前そして戦争中に劣らず、それぞれの参加者が手をゆるめることなく、反戦平和の闘いを新たに構築していこうとしていることを示しました。 
 集会の第一部は、志葉玲さんのイラク現地報告と安倍陽子さんのアメリカ現地報告。第二部は有事法制の今国会での成立を阻止するための、署名事務局からの提起と討論を行いました。この集会は「戦争を止めよう!平和を運ぼう!全国リレー行動」の一環として行われました。


 第一部−−イラクとアメリカの現地報告

志葉 玲さんの講演 『殺される側から見たイラク戦争と今後の世界』
−−クラスター爆弾の弾劾。食糧、医薬品、水の供給などライフライン破壊による犠牲者数は空爆の被害を超える


 志葉さんは、3月22日から4月6日まで、ドーラ浄水場を中心に「人間の盾」として戦時下のバグダッドで活動しました。その活動の様子と病院を中心とした被害の状況をビデオ映像を交えながら報告してくれました。
 志葉さんが特に強調したのはクラスター爆弾による攻撃と殺戮、被害の非道さです。ちぎれた手足、飛び出た脳みそが散乱している爆撃されたバスの車内など、「こんなひどい状況は初めて」という医師の証言などを交えて生々しく語りました。ある子どものレントゲン写真には無数の金属片があったといいます。このような形で、クラスター爆弾は多くの子どもたちを傷つけ、命を奪ったのです。
 志葉さんは、湾岸戦争において空爆の犠牲者よりも食糧不足、薬不足、水の不足を原因とする犠牲者の方が圧倒的に多かったことから、水を守るためドーラ浄水場への張り付きを選びました。志葉さんは、小泉首相が戦争への支持を表明せず、戦争に反対の立場に断っていたなら、わざわざ自分たちがイラクで盾になることもなかっただろうと、政府への怒りを語りました。
 また、マスメディアがフセイン政権崩壊後に横行している略奪行為の映像をしつこく放映することに強い怒りを表明しました。いかにも米軍が統治しないといけないといわんばかりの世論誘導です。そこでは、戦争開始後インフレによる通貨イラク・ディナールの価値の下落で生活が破壊され、略奪に走らざるを得ないという状況や、米軍は石油施設についてはしっかりと守りながら、略奪を放任していたことについては全く触れられないのです。
 志葉さんは何度も強調しました−−この戦争は決してイラクの「解放」のための戦争などでは決してないこと、最大の犠牲者は病人と子どもであること、フセイン政権では社会保障、医療、福祉がまがりなりにもあったが、現在は社会混乱どころか、内戦の危険さえ迫っていることを。そして、今回の戦争は「『イラク問題』ではない。『アメリカ問題』だ。アメリカをなんとかしなければならないという問題だ」、『北朝鮮問題』『有事法制問題』もすべて『アメリカ問題』だ」と締めくくりました。

 ・志葉さんの講演資料(「WORLD PEACE NOW」 のサイトから。)
 http://give-peace-a-chance.jp/118/whyiraq419.pdf
 http://give-peace-a-chance.jp/118/ura.pdf

志葉 玲さん・・・・国際・環境ジャーナリスト。「イラク国際市民調査団」としてイラクを訪問、「週刊SPA!」や「ニューズウィーク日本版」などに報告を発表。開戦から約2週間、「人間の盾」としてバグダッドに滞在した。これまでイスラエル、パレスティナなど数多くの国・地域で民族紛争や環境問題などを取材。反戦平和のネットワーク「CHANCE!」や環境NGOなどの活動にも関わる。共著で『地球が危ない!』(幻冬舎)。東京都出身。


安倍陽子さんの講演 『反戦運動の多様性と米マスメディアのプロパガンダ報道』
−−戦争によってぼろ儲けするブッシュファミリーとマスメディアを批判


 安倍さんは今年1月30日から3月30日まで2ヶ月間にわたってアメリカに滞在し、反戦平和運動のかつてない高揚を体験しました。
 アメリカの反戦運動には、あらゆる年齢層や多様な職業、人種、性別、宗派などを超えて参加していること、反戦平和だけでなく環境問題や教育、失業問題などに対する考えから運動にたちあがっており、非常に根強いものであることを報告しました。
 次に安倍さんは、戦争による破壊と「復興」によって誰がもうけているのかに焦点を当てました。早々と復興受注を果たした建設会社ベクテルやハリバートンの子会社ケロッグ・ブラウン、戦争報道で儲けたFOXテレビのルパート・マードック、略奪した財宝・物品を欧州市場で売りさばく闇商人、そして軍需産業など、具体的な企業名などをあげ、戦争準備と戦争、戦争報道、混乱と略奪、「復興」、石油利権の確保など、戦争全体にわたってブッシュ政権と結びついた巨大独占企業が群がっていることを明らかにしました。
 さらに、マスメディアによる戦争支持体制製造を批判、その中でも「われわれの軍隊をサポートしよう」というスローガンが最も悪質で許し難いと指摘しました。
それにも関わらず、アメリカの市民や軍の中で、戦争支持はそれほど拡大していない、CNNの世論調査結果は信用できないとも語りました。その現れとして、劣化ウラン被害を回避するため精子バンクに精子を預けていく若い兵士の話や、兵士の40%が貧困層・マイノリティ・下層労働者出身であることや、入隊参加者が減っていることなどが紹介されました。
 戦争を止められなかったことを運動は悲観してはならない、ブッシュは反戦デモを心底いやがっている、運動を継続しなければならない、と熱っぽく語られました。

 ・安倍さんの講演レジュメ (Word 文書
安倍 陽子さん・・・・沖縄・一坪反戦地主。沖縄発季刊誌『けーし風』、『沖縄を深く知る事典』(紀伊国屋書店)などに執筆。米ウエストバージニア大学社会学部卒(修士)。アメリカで反戦行動、反グローバリゼーション運動、ラルフ・ネーダー大統領選挙支援活動、政治囚ムミア・アブジャマル支援運動などに参加。今年6月に米マサチューセッツ州のZメディア研究所でノーム・チョムスキーなどを講師に迎えて開かれるレフト・メディア集中講座受講予定。福岡市出身。


討論と質問

 講演後の討論では、一市民として大阪からイラクに入り「人間の盾」として発電所に張り付ていた女性も駆けつけ、イラクの子どもたちを殺してはならないとして「人間の盾」になった思いを語りました。会場からは、志葉さんと安倍さんに、「ボディカウントの犠牲者2500人という数は実感からどうか」「イラクの人々はアメリカをどう思っているのか」「アメリカの運動は、ネットをどう利用したか」など質問が相次ぎました。これに対しては、ご両人から、犠牲者数は氷山の一角であること、イラクの市民の間ではアメリカ文化の受け入れにもかかわらず米の政策と戦争への怒りが強いこと、米の運動の情報に刺激されエジプトなど中東の運動に波及したことなどの回答がありました。



 第二部−−有事法制阻止のための討論

 第二部は、有事法制の成立を阻止するための運動の提起を署名事務局から行いました。−−米によるイラク戦争と先制攻撃戦略は、朝鮮半島でも極度の軍事的緊張を生み出し、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に「核保有発言」をさせるまでに追い込んでいる。危機を生み出し、恫喝を加えているのは米に他ならない。今のところ、対イラクとは異なり、米・韓・日はいずれも抑制姿勢を前に出しているが、これは戦争を放棄したことを意味しない。米の対北朝鮮戦略は明確には定まっていないが、政権内部でも現政権打倒では一致している。このような状況の下で、小泉政権の強行する有事法制は、アメリカの対北朝鮮戦争挑発、先制攻撃の条件を整え促進するものであり、絶対に阻止しなければならない。日本の反戦運動の当面の集中点はここである。−−以上の趣旨の提起を行いました。
 日本各地で、また米欧など全世界でも、新しい情勢の下でいかに運動を継続し、新たな次の運動を構築すべきかが模索され、討論が行われています。この点について、志葉さんは、個人的意見と前置きしながら、敵のプロパガンダに対抗するためメディア戦略を強化するとともに、米のANSWERや英の反戦連合などとのパイプを強化し、国際的なネットワークを形成していきたい、そして「アメリカ問題」すなわち戦争を生み出す構造そのものを変えていく闘いを作っていきたいと語りました。
有事法制は、民主党が審議のアリバイづくりのために対案を提示し、5月中旬にも衆院を通過しようとしています。署名事務局では、5月上旬に署名を集約し、有事法制今国会通過阻止のための国会請願行動を行うとともに、イラク戦争被害写真展、学習会などを組織していきたいと行動提起を行いました。
 志葉さんや安倍さんとの今後の協力・連帯、そしてイラク反戦運動の高揚の上に立って、有事法制の強行成立反対の闘いを押し進める意志を全体で確認して集会を終えました。

 ・事務局の報告
 イラク戦争後、3ヶ国協議後の米朝関係、朝鮮半島情勢と有事法制の危険

 緊迫する国会情勢−−5月中旬にも有事法案衆院通過の危険−−対北朝鮮戦争準備を許すな!有事法制の今国会成立を断固阻止しよう!





戦争を止めよう!平和を運ぼう!全国リレー行動
有事法制反対!イラク植民地化に反対し、
ブッシュの戦争犯罪を追及する4・29集会


 日 時: 4月29日(休)13:00〜16:30 (12:00開場)
 場 所: エルおおさか 5階視聴覚室(地下鉄天満橋下車)<地図> 
 主 催: アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
 入場カンパ・資料代: 1000円
 プログラム: 
  第T部 イラク戦争の責任を追及する
   @ イラク現地報告 『殺される側から見たイラク戦争と今後の世界』
      志葉 玲さん(国際・環境ジャーナリスト/「人間の盾」参加者)
   A アメリカ現地報告 『反戦運動の多様性と米マスメディアのプロパガンダ報道』
      安倍 陽子さん(フリーライター)
   B 反戦平和運動の今後の課題について(署名事務局)
   C 討論
  第U部 有事法制に反対する
   @ 国会情勢と私たちの取り組み(署名事務局)
   A 個人情報保護法案について
   B 討論