ガソリン暫定税率復活再議決に断固抗議する!
「後期高齢者医療制度」は見直しではなく、いますぐ廃止を!
米軍協力・道路利権最優先、人民生活を切り捨ての福田政権を打倒しよう!


[1]暫定税率強行再可決に抗議する

(1)4月30日、福田政権は国会での野党の反対と世論での圧倒的多数の反対の声にもかかわらず、ガソリン暫定税率の復活を強行した。参院での議論が継続する中での見なし否決は実に56年ぶり、福田政権下で衆院での再議決による強行成立はテロ特措法に続く2度目である。野党が衆院議長の国会入場を阻んで抵抗し、本会議は民主、社民、国民新党がが抗議して欠席、共産党は出席して反対する中で採決は強行された。小泉政権下で得た衆院の数の力を背景にした全く許し難い暴挙である。福田は言う「身の回りの物価が上昇する中、ガソリン価格の値上げに反対する声が多いことは十分承知している」「国民一人一人が家計のやりくりに苦労している時に再び負担をお願いする」「国会審議で道路特別会計の無駄遣いが明らかになった」「この一ヶ月間で1800億円の歳入が失われた」「1ヶ月前の税率に戻すだけだ」等々。要するに福田は人民生活が悪化し人々が困窮にあえいでいることを承知の上で、自ら無駄遣いであることを認める道路利権のために人民生活の破壊を強行したのだ。
※<租特法改正案>衆院本会議で再可決…暫定税率復活(毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080430-00000055-mai-pol

(2)4月27日には、山口補選において大差で民主党が勝利した。保守王国での敗北は、後期高齢者医療制度の4月からの強行、ガソリン税復活公言、年金のデタラメ等々に対する人民の不満が形となって現れたものである。自民党支持層の票の一部も民主党候補へ流れたと言われる。不満や反発にとどまらない。とりわけ低所得者層では、死ぬか生きるかの瀬戸際にまで追い込まれている。
※<読む政治>衆院補選・自民敗北 背を向けた支持層(毎日新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20080428ddm002010097000c.html

 すでに4月20日には後期高齢者医療制度の導入によって犠牲者がでている。山形市で58歳の男性が認知症の87歳の母親の首を絞め自らも首をつって無理心中をしたのだ。男性は「後期高齢者医療制度で保険料が年金から天引きされ生活が苦しい。入院代を払うお金がない」などと近所の人に相談していたと言う。年金天引き制度が開始されてわずか5日後のことである。母親は男性の被扶養者であったことから今年9月までは保険料は免除の対象であったが、男性はそのことを知らなかったのではないかと言われている。制度の存在そのものが苦しい立場にある人を精神的に追い詰め自殺にまで追いやったのである。
※高齢者保険料、免除と知らずに? 山形の無理心中(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0424/TKY200804240249.html

 グローバル資本が未曾有の高収益を挙げる一方で、人民生活への負担が耐え難いまでになっている。暫定税率問題は、単なる乗用車をもつ世帯のガソリン代の節約という問題ではない。商品の輸送コストや漁に出る漁船の燃料コスト、農業機器の運転コストの問題などとしてあらゆる物品にまで波及する決定的に重要な問題だった。一家族あたりの負担増は一ヶ月平均で1800円あまり、車を持つ家庭では2700円あまり、実に消費税率を1%引き上げた場合匹敵する2兆2056億円もの増税効果があるという。大混乱が生じるなどとしてガソリン税率の廃止に反対したはずの福田が、ゴールデンウィーク前の大混乱を承知で強行したのである。
※暫定税率復活で負担増月1838円(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp2-20080429-353950.html
※暫定税率復活:増税効果2兆2056億円 第一生命研試算(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080501k0000m020120000c.html

(3)この4月から電力・ガス等の公共料金、牛乳・バター・しょうゆ等々の食料品の値上げラッシュが始まっているがまだまだ序の口という状況だ。パン・即席麺、乳製品・ビール等々、主要食料品独占資本は今後も再値上げを予定している。2月の消費者物価指数は、前年同月比で1.0%上昇、10年ぶりの記録となった。3月まで6カ月連続でプラスになっている。政府が小麦売り渡し価格の3割もの引き上げを強行したことが背景の一つだ。つまり政府が物価高騰を先導しているのである。バブル崩壊後17−8年にわたりデフレーションと物価低迷の時代が続いてきたが、昨年後半から始まった生活必需品全般にわたる物価高騰は1970年代の「狂乱物価」以来、30数年ぶりの異常事態である。
※消費者物価:穀物高騰、食料品へ転嫁進む 値上げ品目増加(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080426k0000m020134000c.html

 だが今回の特徴は賃金が押し下げられ、労働者人民の実質所得がどんどん目減りしている中での物価高騰だ。これは、1970年代との大きな違いである。「賃金低迷下での物価高」春闘は、労働組合が存在する独占・中堅企業ですら、昨年とほぼ同じ水準での妥結に終わった。中小零細では、昨年後半から企業倒産が急増し始め、更にはインフレ・原材料価格アップを価格転嫁できない状況下で、労働者は賃下げと雇用危機に見舞われている。労働者・人民の窮乏化が一段とエスカレートする中での食料品・日用品など生活必需品の物価値上げラッシュは、文字通り生活を深刻な形で破壊し始めている。
 昨春来、「格差」「貧困」を楯に非正規雇用労働者や少数の労働組合運動が粘り強い取り組みを重ねてきた。その結果、キャノンやいすゞ自動車などグローバル独占資本による違法派遣・偽装請負などの脱法行為が世論の反発を受け、偽装請負の禁止、製造現場から派遣労働をなくす動きが始まった。その中で、パートや派遣労働の時間給もわずかだが上がった。その闘いの成果が、この3、4月からの値上げラッシュで完全に奪い取られようとしているのである。


[2]地方自治体への借金押しつけと住民への犠牲転嫁

(1)4月以降のインフレ・物価高騰に拍車をかけたのが自治体の公共サービスの一斉値上げである。この4月から「自治体財政健全化法」の適用が始まった。普通会計のみを問題とした「実質赤字比率」から、公営事業会計を含めた「連結実質赤字比率」、更に公社・第三セクターまで含めた「将来負担比率」を新しい判断指標とするよう、政府が指示したのである。
※NHKスペシャル『大返済時代〜借金200兆円 始まった住民負担〜 』(4月21日放送)では、地方自治体での住民切り捨ての深刻な事態が報告されている。熊本県では、中央官僚が借金のツケを地方に押しつけることはないというウソまで言って「下水道普及特別対策」として人のいない農地にまで下水道の基幹を施設させ膨大な借金を背負わせた。大半が政府系金融機関公営企業金融公庫による融資だ。島根県では障害者への医療費補助によって入院月額500円で済んでいたが、突然4万200円に上がり鳥取への転居せざるをえなくなった。ところがその鳥取県でも入院の食費が無料から2万円になった等々。これらは、住民サービス切り捨てとうよりも、最後の命綱を断っていくというのに近い。
[投稿]病院の赤字経営による地方財政破綻をもたらしたのは、国による大融資計画!?(署名事務局)
 現在地方自治体が抱える借金は、とりわけバブル崩壊後に日本政府が積極的に公共事業拡大を指南し、政府系金融機関からの多額の融資や地方債の発行などで借金財政に追いやったものだ。野放図な下水道の拡張や病院の建て替え等々。つまり自治体の借金のほとんどは、地方議会を牛耳ってきた自民党・公明党と中央・地方の官僚たち、土建業者による金権腐敗と乱脈が原因である。彼らはそれを、これまで第三セクターや特別会計に隠してきた。そしてどうしようもなくなって、一片の指示で水面下に隠されてきたこの赤字を全て表面化させ、あたかも地方の責任であるかのように住民負担で切り抜けようと強硬手段に訴え始めたのだ。自治体の約6割が、医療費補助や敬老祝い金の削減、国民健康保険料や保育料の引き上げ、下水道料金や公共料金・手数料・使用量の値上げ、そして増税・新税、といった筋違いの手段をとろうとしている。その規模たるや、一部カット、1〜2割の負担増というような生やさしいものではない。生存の条件が崩壊するほどの切り捨てなのである。

(2)このような地方財政の現状をみれば、「暫定税率を廃止すれば、地方財政が破綻する」「住民サービスが低下する」等々という暫定税率復活のための説明はすべて嘘っぱちであることがわかる。住民サービスはすでに切り捨てられ破綻させられてきている。暫定税率廃止で影響を受けるのは土建的金権腐敗利権構造だけだ。人々はこれを見抜き、怒っているのである。自公政権は、新自由主義的「構造改革」と財政再建の名の下、長期間にわたって民営化・規制緩和攻撃を加え、賃金を押し下げ、非正規雇用を拡大し、医療・福祉・年金制度を改悪し切捨て、税と社会保険料負担をどんどん引き上げてきた。人々に必要なものを平気で剥奪し、人民収奪はどんどん増やしながら、一般会計や特別会計を自分たちの「財布」のように使って、今なお官金私消と無駄遣いをやり続けている。
 人民生活が底割れする事態を防止する役割を果たすべき社会保障制度全体が大規模で系統的な切り捨て攻撃を受け崩壊し始めた。生活保護の切り捨ては、すでに餓死・孤独死など多くの犠牲者を生み出している。安倍政権時代に自公政権が公約とした年金記録の名寄せは、結局はできず仕舞い。ふざけたことに、首相や厚労相は、「誤解」「過分な期待」「バラ色の未来」を与えたと言い逃れに終始し、だが公約違反は認めず居直るという態度だ。「年金特別便」は混乱を繰り返しているだけ。年金制度を再起不能なまでにめちゃくちゃに破壊し、年金財政を乱費してきた年金・厚労族の責任は不問のままである。
ここ5−10年もの間、医療費は切り縮められ社会保険料の自己負担は際限なく続いてきた。公立病院の再編・統合、中小医療機関の経営悪化・倒産、救急医療・産科・小児科の閉鎖・撤退、医師・看護師の激務と人員不足、介護給付費引き下げ、介護サービス抑制とヘルパーの過重労働など介護保健制度の改悪、公的医療体制は未曾有の危機にある。
※公立93病院で入院休止、医師不足など理由に…読売調査(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080406-OYT1T00008.htm?from=any


[3]後期高齢者医療制度を廃止せよ!

(1)極めつけは、世界的にも前例のない75歳以上だけの差別的で過酷な保険制度、「後期高齢者医療制度」である。4月15日から保険料徴収が始まった。支払う年金を減らした上で保険料を天引きする、事実上2年ごとに保険料をアップする、支払えなくなったら保険証を取り上げる等々。「年寄りは早く死ね」という断じて許すことのできない仕打ちだ。最近公表された厚生労働省自身の試算でも、今年度の平均7万2千円が、2015年には平均8万5千円になるという。7年で1万3千円のアップである。ただし、人口増はある程度見通しはついても、医療費は不確定であるので、これどころではすまないかもしれない。
 新制度が開始されるや大混乱と怒りが全国いたるところで巻き起こっている。もちろん問題は、業務上の遅滞や不手際に止まるものではない。4月からの天引き対象者は約800万人(後期高齢者約1300万人の内)である。年金年額18万円未満で天引き対象にならない300万人は、自分で納付に行くことになる。−−妻が夫の扶養家族となっていた夫婦が、二人とも「後期高齢者」となりそれぞれに保険料がかかるため保険料が3倍になった。76歳の夫と68歳の妻の夫婦の場合、夫は国保から「後期高齢者医療制度」へ、妻は国保に残ることによって、保険料合計はこれまで2万1千円だったのが、夫婦別々に保険料がかかることから計5万3千円と2.5倍に増える。会社の健康保険に加入していた夫(75歳)が「後期高齢者医療制度」に加入させられたため、その被扶養者であった妻(72歳)の保険料は全額自己負担になり、妻は新たに国民健康保険に加入しなければならなくなった、等々。
 国保保険料に対し軽減措置を行ってきた全国39の自治体で、国保に加入していた低所得者の保険料額が大幅に増えることが明らかになった。実際75歳以上の高齢者の8割は国民健康保険に加入し、自治体による保険料の軽減・減免措置の対象となってきた。しかし、「後期高齢者医療制度」に移ると、制度の運営主体が市町村から都道府県単位の「広域連合」に代わるので、市町村独自の軽減措置が受けられなくなるのである。

(2)だがこの制度の高齢者切り捨ては保険料の問題だけに止まらない。さまざまな高齢者医療を切り捨てる仕組みが組み込まれている。その一つが外来診療における「後期高齢者診療料」の新設である。これは、高血圧、糖尿病、高脂血症、認知症などの慢性疾患をかかえた75歳以上の高齢者を、継続的・計画的に診察する主治医(主として診療所)に対しての報酬である。この報酬を患者一人につき一医療機関のみに与えることで、多くの病気を抱える高齢者の担当医を主治医一人に限定させ、複数の医療機関の受診を抑制しようとすることである。さらにそれは医療内容そのものの制限をもたらす。「後期高齢者診療料」は、検査、画像診断、処置、医学管理を含んだ定額制で、報酬月6000円(患者負担は1割もしくは3割)である。これを算定すると、いくら検査や処置をしても医療機関には患者一人あたり6000円しか支払われないことになり、超える分は医療機関の持ち出しになる。高額な検査や画像診断は、回数を減らすことになりかねない。現に、糖尿病の患者が、開業医からこれまで毎月行っていた検査も今後は半年に一回にする、と言い渡されたケースもある。
 他にも、あらかじめ死期間際の治療方針を文書化すれば2000円の報酬がつく「後期高齢者終末期相談支援料」、「退院困難な要因」の入院高齢者を「退院支援計画」をつくって退院させた場合には「後期高齢者退院調整加算」(1000円)。いずれも、高額な延命治療の削減・終末期医療の切り捨て、および病院からの追い出し、在宅での見取りへと誘導するものである。
※4月16日の報道ステーションは、延命治療の切り捨てを促進するこの制度の恐るべき意図を明らかにした。厚生労働省担当者は、「後期高齢者が亡くなりそうになった時に、家族は一時間でも一分でも長く生かしてほしいといろいろな治療を求められる。それらがかさむと500万円、1000万円になってしまう」(『高齢者の医療の確保に関する法律の解説』法研2008/04)と露骨に言う。高齢者医療費を減らすために、延命治療を行わないことを制度化する−−これが新医療制度の目的の一つだ。
 健診も「後期高齢者医療制度」では制限される。この4月から、これまで老人保健法に基づき40歳以上に行われていた自治体による健診(基本健康診査)が廃止され、保険者が実施主体となる「特定健康診査」(特定健診)がスタートした。が、この対象者は74歳までとされ、「後期高齢者医療制度」では健診は「努力義務」に格下げされてしまっている。とりあえず現行では、47都道府県すべてで「後期高齢者医療」対象者にも特定健診が実施されることになったが、「努力義務」に後退させたこと自体に、もう「後期高齢者」には健診は必要ない、という姿勢がはっきり現れている。
 全国の自治体、医師会などから批判の声が噴出している。政府は、7割は保険料が下がるなどと説明していたが、これが全くの口からの出まかせであったことが明らかになった。自民党内にも同様が広がり、あわてて制度の「見直し」を言い始めている。だが、「後期高齢者医療制度」は小手先の見直しではなく、いますぐ廃止しなければならない。
※後期高齢者医療制度見直しへ…低所得層の保険料軽減を検討(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080430-OYT1T00368.htm
※各地の医師会が批判−後期高齢者医療制度(キャリアブレイン)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15689.html


[4]米軍協力最優先、人民生活を切り捨ての福田政権との対決を強めよう!

(1)福田政権は4月25日には、参院が否決した在日米軍駐留経費特別協定を衆院議決の優越によって承認させた。在日米軍基地のための1400億円を超える米軍への「思いやり予算」はどんなことがあっても維持しようというのである。3月31日に旧協定の期限が切れ、4月1日から空白状態だった。この間、米軍住宅・施設などの光熱水料をアメリカ側が「立て替え」たのだという。これほど、福田政権の反人民性を明らかにするものはない。米軍協力・道路利権最優先、人民生活を切り捨てが福田政権の基本政策なのだ。

(2)ガソリン税の復活強行によって福田政権の支持率は「危機ライン」をさらに大きく割り込んだ。朝日新聞の4/30、5/1の全国緊急世論調査では、福田内閣の支持率は20%に落ち込み、発足以来最低だった前回4月19、20日調査の25%からさらに下落した。不支持は59%である。政党支持率も自民24%、民主28%と逆転している。
※内閣支持率20% 政党支持は民主が逆転 本社世論調査(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/0501/TKY200805010244.html
 人々のガソリン暫定税率の廃止要求は、これ以上の野放図な道路建設の中止要求である。それは特に小泉内閣以降のグローバル独占資本を最優先にした露骨な反人民的・反労働者的なネオリベラリズム政策が、地方と農村を切り捨て荒廃させ、中小零細業者を零落させ、人民大衆の命と暮らしを根底から破壊してきたことに対する怒りである。
 民主党が常に動揺的な振る舞いをしてきたにも関わらず、日銀人事も与党の意のままにならず、ガソリンは値下がりし、道路特定財源は宙づりになった。その結果、自治体レベルでも公共事業の暴走を放置するのか、福祉・教育・保育など住民の切実な要求に応えるのか、自治体予算のありかたが住民の間でも大きな問題になった。
 福田はこのような中でも、暫定税率を今後10年間維持する道路整備財源特例法改正案の5月13日強行再議決を公言している。またガソリン税復活に際する記者会見で、「税制抜本改革」に言及した。政府与党が消費税増税を狙っていることが明らかになった。低支持率の福田に10%もの消費税増税を強行させた上で首をすげ替える−−このようなシナリオさえささやかれている。これ以上の負担は絶えられない。あらゆるところから、米軍協力最優先、人民生活を切り捨ての福田政権への批判を強めよう。世論と運動の力で福田政権を打倒しよう。

2008年5月1日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局