抗議声明(2014/08/29)

抗 議 声 明

本日(8月29日)、小林光弘さん(56歳:仙台拘置支所)と高見澤勤さん(59歳:東京拘置所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。

谷垣禎一法務大臣による死刑執行は、6月26日に次ぐ、6度目であり、執行された人は11人にのぼる。本日の死刑執行は、国会閉会中で、かつ9月3日に行われる内閣改造の直前であり、執行に関する議論もできず、また法相を退くであろう谷垣法相に、執行の責任も追及できない時期をあえて選んで行った極めて卑劣な執行と言える。

これで安倍晋三政権は、第一次政権で10人、第二次政権で11人、合計21人の死刑を執行したことになる。自らが2度目の首相の座に着いたときには、「やり直しができる社会を目指そう」と謳いながら、罪を犯した人のやり直し・生き直しは認めようとせず、世界の流れに逆行して死刑制度の存置に執着している。

小林光弘さんは、8月6日に第三次再審の特別抗告が棄却され、弁護人が次の再審に向けて弁護人選任届けをとっている最中の執行であり、拘置所も法務省も、小林さんが再審を行うことを十分承知していながら、その機会を奪う形で執行に踏み切ったものである。

高見澤勤さんは、2012年10月に死刑が確定したばかりである。高見澤さんの裁判は、一審判決が2008年2月で、控訴審判決は同じ年の10月に出されたことからも、拙速な裁判が行われたことは明らかである。今年8月に私たちが確定死刑囚に送ったアンケートに対する回答には、「再審準備中である」と書いてきており、その意思があったことは明白である。

今回の2名の執行に共通することは、いずれも再審の意思を明確に表明しているにもかかわらず、棄却された間隙や、その準備中に死刑執行を断行したものであり、再審の機会を与えない、そして確定者を増やさないという極めて政治的な意図に基づく執行といえる。

また、国連自由権規約委員会は、7月15日・16日にジュネーブで第6回日本政府報告審査を実施し、24日に日本政府に対する総括所見を発表した。この中には、日本政府が死刑制度の廃止に向けた過去の勧告の多くを実施していないとして、「この総括所見及びこの前の総括所見において委員会が採択した勧告を実施すべきである」と明記されている。

私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、谷垣法務大臣に処刑された小林光弘さん、高見澤勤さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、谷垣法務大臣に対し、強く、強く抗議する。

2014年8月29日

死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90

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