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「まず、自然エネルギー買取法によって自然エネルギー利用の離陸を」記者発表

 REPPは、2001年4月17日に、経済産業省の記者クラブで記者発表を行いました(環境省の記者クラブでは資料配布)。
これは、総合資源エネルギー調査会・新エネルギー部会で「拙速なクオータ制(RPS)」が強引に進められようとしていることを危惧し、部会の委員に市民の意見を言わなければならないとの思いから始めたことです。
 記者発表では、各新聞社の記者15名程度の方々と、同席を希望された経済産業省・資源エネルギー庁新エネルギー対策課の係官に、REPPの考えをお話しました。新エネルギー部会への申し入れは、外部からの意見提出の仕組みが無いことから現段階では実現していません。
 当日午後実施された総合部会では、部会長から「オプションC(クオータ制)は新エネルギー部会としてコンセサスを得られていない。確かにCは具体的なイメージが不明確だ。制度の検討の必要との意見もある。」と報告され、前回と変わって強引な進め方が見られませんでした。この点だけでも、市民が発言した意味は大きいと考えます。



 「拙速なクオータ制(RPS)は自然エネルギーの普及に役立たない!
   まず、自然エネルギー買取法によって自然エネルギー利用の離陸を」

4月17日の午後「総合資源エネルギー調査会」が開催されます。調査会の審議は大詰めにきておりますが、今後の日本の中長期のエネルギー政策が決まる重要な時期にあります。そのような時期に自然エネルギーの導入が温暖化政策も含めた日本の進路を大きく左右することになると確信しています。
 NGOである「自然エネルギー推進市民フォーラム」は市民の立場から見て、これからの政策決定の中味について看過できない問題点があるとの認識で、以下の内容についての記者発表を行うことにしました。

発表内容:

1)2010年時点での自然エネルギー導入、目標量1910万Klは目標としては少な過ぎる。

 IPCC(気候変動政府間パネル)が警告しているように、地球温暖化防止のための温室効果ガス削減−60%の数字さえある中でCOP3京都会議の日本の目標−6%は最低の数字であり、その裏付けとしての1910万klでは少なすぎる。欧米では10−20%の目標になっているところも少なくない。

2)普及政策として拙速なクオータ制(RPS)の導入が強引に進められようとしている。十分に審議されたとは言えない。

 自然エネルギーは日本では未だ黎明期にあり、自立的な市場メカニズムになじむレベルには達していない。市場メカニズムを応用する拙速なクオータ制(RPS)の仕組みが、未だ経済的に未成熟な商品である自然エネルギーに応用された場合、それを割高なものとして排除する可能性を持っている。また自然エネルギーを強引に推進するとした場合、逆に拙速なクオータ制(RPS)は国策を電力会社に強制する、旧態依然の官僚主導のスタイルになってしまう。

3)日本の自然エネルギーの普及状況は導入普及時期にあり、導入初期の拙速なクオータ制(RPS)は普及を促すものにはなりがたく、また、英国等に見られるように入札主導のやり方は普及を阻害するものになる危険性が大き過ぎる。初期には導入動機を促す優遇政策が大胆にないと設置実績は上がらないし、普及が進まない。

 英国では、風力発電などの経済性を持つ自然エネルギーが、入札時点で過度に競争させられた結果、入札時ではたくさんの設備が落札したものの、現実には建設されないという事態に陥った。また黎明期の価格競争は、小規模な自然エネルギー設備の成長を阻害し、大規模な風力発電のみの開発競争を促したため、その後市民の支持が得られないものとなってしまっている。

4)拙速なクオータ制(RPS)と入札制度が併用されると自然エネルギーの普及に壊滅的な影響をもたらすものと懸念する。

 この点は上記の英国の事例に明瞭に現れている。ドイツの再生エネルギー促進法では、風力の適地でない場合や、より小規模な設備に対してより高く購入するインセンティブを持たせているため、すでに世界最大の自然エネルギー開発国となったばかりでなく、新たな雇用を生み出す産業として成長しており、更なる可能性がある。

5)自然エネルギーの産業育成・雇用創出の可能性を失うことになる。

6)原発の建設は市民の支持を得られないことは、各種調査でも明らかになっている。それにもかかわらず数字として建設可能性を堅持したままになっているため、自然エネルギーの審議も導入意欲も大きく阻害されており、日本のエネルギー政策を大きく誤らせる結果となっている。

 自然エネルギー促進の動機は、もちろん原発・放射能問題を含んだ環境問題解決のための手段と、市民は認識しているためである。にも関わらず、このように自然エネルギーが原発などの補完物のように扱われることは、促進しても環境問題を解決しないことにつながるためである。

7)日本が唯一世界に誇れる太陽光発電設備の導入量は、先進的な市民が市場価格よりはるかに高い価格を自腹を切って支出していることによって、世界最大の導入量を実現している。このことは日本人の市民性として、環境への非常に高いモラル意識を感じさせるものである。ところがこれに対し拙速なクオータ制(RPS)では、太陽光発電による発電単価が市場価格よりあまりにも高いために、これを含むことは非常に困難と見られている。そうなると結果的に、これまで育ってきた太陽光発電設備の市場を瓦解させる効果を持つことになる。

8)このような効果を持つ拙速なクオータ制(RPS)の導入のやり方を、私たち環境問題を危惧する市民団体は、全く不適切なものと認識している。黎明期にあり、かつ世界的にも非常に意識の高い国民を擁する日本の政策として、まずは自然エネルギーが離陸できるように政策的に支持すべきである。そのためにはこれまでの事例を良く分析し、小さな単位の市民・地域が自然エネ ルギー普及の促進に努力できる環境を整えるために、自然エネルギーからの電力を優遇して買い取る施策を選択すべきである(その後のRPSを含めた施策を検討することを含めて)。このような拙速なクオータ制(RPS)を新エネ部会の結論とするのは、部会委員によって本当に選択されたものであるのかどうか、大きな疑念を感じざるを得ない。

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