「循環型社会基本法案」の拙速な制定に反対する意見書を
                       与党三党に提出

 自民党、自由党、公明党の与党三党が通常国会に提出をめざしている「循環型社会基本法案」(仮称)に対し、環境NGOである「市民フォーラム2001」は、十分な情報公開と幅広い議論なしに拙速な制定をめざすことに反対する声明を本日、三党に提出した。(以下参照下さい。)

 同基本法では廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進を目指すことを目的としており、制定されれば、従来の廃棄物・リサイクルに関する個別の法律(廃棄物処理法やリサイクル法など)を統括する内容となる。
 法案づくりは「2000年を循環型社会元年と位置づける」という昨年秋の与党三党の合意に基づき始まった。環境庁が作成し本年1月に自民党に示した素案については、拡大生産者責任の範囲が不明確であることなど実効性について問題も多い。しかしそれ以上に、政党や省庁間によって水面下で議論が行われており、制定プロセスが不透明であることが、多くの環境NGOの間で問題とされている。



自由民主党
自由党
公明党 御中

「循環型社会基本法案」の開かれた論議を求める意見


2000年2月16日
市民フォーラム2001


 循環型社会を担うのは国民である。国民の主体性を引き出せなければ、国家による規制の押し付けにしかならない。いかに「循環型社会基本法」が正しいものであったにせよ、それが国民の主体的な意志に基づかなければ、国民による「自発的行為」を引き出すことは不可能である。

 私たち市民フォーラム2001は、環境NGOとして、責任を持った主体により形成される「市民社会」の実現を求めて活動している。環境保全に必要な「循環型社会の形成」は関心事である。しかし、「循環型社会基本法」の内容に言及する以前に、その「独断的性格」に異を唱えるものである。「循環型社会」とは何を意味し、どこまでの範囲を含めることが「持続的社会の形成」に必要であるのか、どのような理念の下に、人々のどのような主体的な努力が求められるものなのか、という重要な問題について国民に論議する機会と時間が与えられねばならない。こうした民主的手続きをふむことなく、この法律が国民に押し付けられるのであれば、国民は実施主体になり得ない。その結果、国民の無力感と無関心がより一層広がることになる。その問題が環境に関わることであるだけに、より深刻である。

 私たちNGOだけが法案の論議に参加したとしても、十分な国民的論議がなされたとは言えない。より広い人々に、十分な情報と、主体的な意志に基づいて参加し得る十分な機会が与えられなければ、どんなに素晴らしい法文が制定されたとしても意味を持ち得ない。ドイツでは同様の法律の制定に五年の月日が費やされた。私たちがあえて法文の内容に立ち入ることなく、このような意見を述べることにした理由はそこにある。私たちは、この重要な法律について、国民の参加のない拙速な制定をしないよう強く求める。

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