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2004年8月10日発行196号ピースネットニュースより

【あなたの思い・私の思い3】
ピースネットに寄せられた質問・意見への青山からの返信を匿名・一部省略にして掲載させていただきます。
民主主義を問い直そう!

ピースネット・市民平和基金 青山 正

意見:先日の参議院選挙はさんざんの結果でした。民主は躍進したかもしれないけど、結局負けたのは、共産、社民、みどり。自民党は減らしたって言ったって、たったの2議席? それにしても一番ショックだったのが、「みどりの会議」が「女性党」とかいうわけわからない組織よりも得票できなかったってことです。自分がいかに少数者か、数字で見せつけられた気がしました。でも、「みどりの会議」の意義は、大きかったと私は思います。今までは、消去法で投票していたけど、はじめて自分が投票したいと思う党だったし、候補者たちでした。これに懲りずに、これからもがんばって欲しいけど……。あとは辻本さんが残念だった。あと一歩だったのに。(Aさん)

返信:「同感です」と言いたいところですが、私の選挙についての感想はちょっと違います。これはあくまでも私個人としての意見です。まず自民党が多少負けても、公明党を含む連立与党が多数を占める現状は変わりませんでした。そして自民党と似たり寄ったりのところがある民主党が増え、他の野党が無残な結果になったのは確かにがっかりですし、今後の見通しも相当厳しいものだと思います。「みどりの会議」の活動の意義もそれなりにあったとは思いますが、私自身はそれほど期待していませんでした。結果的に参議院選挙での敗北を受けて、「みどりの会議」はあっという間に解散ということになってしまい、やはり急ごしらえでは無理なところがあったのかと思います。
 立候補者個人や掲げられたスローガンがたとえすばらしいものであったとしても、市民レベルでの下からの議論や行動の積み重ねが充分であったとは思えません。それがないところで、一挙に国政選挙や政党活動だけで状況を変えようとしてもそれは本物にはならないと私は思うからです。
 かつてのPKO法案が問題となった時、私たちは全国の人々とともに「PKO法案の賛否を問う全国市民投票」という運動を行いました。その時私たちが掲げたキャッチフレーズは「国会だけで決めるな」「主権者の声を聞け」というものでした。このように市民投票では、国会がどう決めようとも「嫌なものは嫌」「おかしいことはおかしい」と市民が直接考え、意思表示することの大事さをアピールしました。それこそが民主主義の基本ではないかと考えるからです。ところがその経験や主張はその後活かされてはきませんでした。
 代議制民主主義を完全に否定するつもりはないのですが、もっと本当に主権者が主体となれる民主主義のあり方の追求と、その自覚を持った市民を増やすことが必要ではないかと考えています。そうせずにいくらいい政治家や政党が出てきても、結局社会は変わらないのではないでしょうか。誰かに託すのではなく、自分たちが本当に考えて、選び取るそういう民主主義ができないかと考えています。
 それはまったくの理想かもしれません。しかし大きな理想を今こそ掲げるべきではないかと、私は考え始めています。その実現に向けた動きをどう創るのか、それは簡単なことではないでしょう。それだけに単なる政治的なスローガンの寄せ集めではなく、これからの社会と人間のあり様についてもっと根本的な議論を起こす必要があるのではないでしょうか。
 現在の危機的な状況を思えば思うほど、そろそろ本当の民主主義を創り出す時だと思います。そのために多くの人と語り合い、協働して動き出す必要を感じています。そしてピースネットのあり方も見直す必要があると考えています。と言っても私は仕事も抱えなかなか身動きが取れず、自分の力不足も痛感しています。そういう中でも何とか少しづつ歩んでいければと思います。
 今こそ憲法の問題も含め根底から民主主義を問い直す必要があるのではないでしょうか。それを実現する21世紀にふさわしい新しい運動が必要です。それはお互いの人間としての信頼と非暴力を基礎としたものではないかと私は考えています。時間はかかるかもしれません。それでも絶望やあきらめではなく、希望を持ち続け、そして新しい希望を創り出したいと思っています。真っ暗な闇の状況を嘆き続けたり、あるいは目の前の危機への対応に追われながらただ夜が明けるのを待つのではなく、自分たちの手で新しい朝を迎えたい、今はそう痛感しています。あせらず、夢を持って。

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