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第 147 国会報告
労働・社会政策委員会
2000年3月14日 02 号

中国人実習生問題・インターンシップ他


○大脇雅子君 私は、武生における中国人実習生問題について、さきに平成十一年十一月十八日の委員会で御質問をいたしましたが、さらにその後について御質問したいと思います。

十一年の十一月十八日の本委員会においてさまざまな問題を提起いたしまして、入管当局、所轄労働基準監督署長の実習生へのさまざまな調査、勧告をお願いいたしました。その後、中国人の実習生を受け入れている武生コンフィクソンの青木理事長から、不満足ながらも謝罪を引き出し、労働基準法違反の是正が行われて、希望者に対する滞在延長の措置が認められたと伺っております。そして、本人に引き渡されていなかった天引きの貯金通帳が本人に引き渡されたり、残業手当の違法な算定基礎が改善されたりというふうに一応報告を受けたんですが、しかし最近になって、こうした人権問題がかえって奥深くやみの中に潜り込んで深刻な問題になっているという情報を入手いたしましたので、まずこの点からお伺いをしたいと思います。

どのように改善されたのか、その改善点をちょっとまとめてお尋ねをしたいと思いますが、労基署の是正、それから入管の方の措置などを伺いたいと思います。

○国務大臣(牧野隆守君) 御指摘の事案につきましては、武生コンフィクソン協同組合及びその傘下の技能実習生を受け入れている全十二社に対しまして、所轄の監督署において監督指導を実施し、第一に労働条件の書面による明示、労働基準法第十五条に基づくものであります。二番目、労使による賃金控除協定のない管理費の控除、これは労働基準法第二十四条にかかわるものであります。三番目、時間外労働に係る割り増し賃金の支払い、労働基準法第三十七条に基づくもの、これらにつきまして是正を図った、こういうように報告を受けております。

○大脇雅子君 私は、最近聞きますと、相変わらず深夜十一時までの残業が行われている、そして残業手当も相変わらず四百円という労働基準法違反の事案、事態が続き、それがもう残業が長期化するために実質は一時間当たり二百円とか三百円ということになっているという現地からの訴えがございますので、さらに基準監督署としてはこれを徹底して調査していただきたいと思います。

それからもう一つ、管理費名目で実は二万三千円控除されて、これは賃金からさらに控除されて、そしてこれは中国側の送り出し機関の方へ渡されているというようなことも相変わらず続いているというふうに聞いておりますので、これももう一度監督をしていただきたいと思います。

さらに問題は、これは会社名目で預金がされていて、本人が勝手に使えないような形で天引き貯金がなされていたということですが、これは前回の質問のときに、現在指導中のような御見解でしたが、これはどんなふうになっているでしょうか。

○国務大臣(牧野隆守君) 中国側送出機関の管理費といたしまして、労使による賃金控除協定、これがございませんので、技能実習生の賃金から毎月二万三千円が控除されまして、日本側受け入れ団体である武生コンフィクソン協同組合から中国側送出機関に支払われていたと、このように聞いております。

これは明らかに労働基準法第二十四条の賃金の全額支払いに違反するものでございまして、その是正を指示いたし、現在、技能実習生の賃金からの控除は行われず、技能実習生が直接中国側に支払っていると、こういうように承知いたしております。

○大脇雅子君 天引き貯金についてはどうでしょうか、貯金の天引き問題について。

○国務大臣(牧野隆守君) きちっと、先ほど御返事しましたとおり、労働基準法違反があるかどうかと調査いたしまして、是正を命令いたしたわけでありまして、もしそれが実施していないということであれば、監督機関として厳重に対処いたしたいと思います。

○大脇雅子君 管理費名目で勝手に会社が天引きをしていたということは違反で、今度任意に中国人実習生からこれを中国側に渡しているということも、これは本当に任意なのかどうかということだと思います。決してこれは任意ではなくて、強制的であり、かえって日本側のそうした労働基準局の監督を逆手にとった私は強制のような実態を持っているんではないかと思います。

それで、新たに、問題が起きた人たちからさらにもう次の期の実習生というのが来たんですが、その説明会で、今度は個人の貯金を会社側の役員もしている中国側の女性の名前で貯金をさせるというような形で、さらにやみに潜った形でその給料から差し引くぞという説明を受けたというようなこともありますので、これは中国の人の名前というのが、本当に私は、脱法的に使うことによって今まで以上に悪質な形になっているんじゃないかということを憂えるわけですので、そこは、脱法的な状況があるかないかということも含めて、労働基準監督署のさらなる監督をぜひお願いしたい。

本人が使用できない天引き貯金、そして本人のものということが確認が困難になるような形での天引き貯金、これは人権問題だと思いますね。この点についてよく御留意の上、さらなる監督を重ねてお願いしたいというふうに思います。

○国務大臣(牧野隆守君) 私どもといたしましては、労働基準法に違反することは許されません。もしこういう事実が認められる場合には、再度先ほど申しましたとおり調査をいたしまして、厳重に対処いたしたい、こう考えております。

○大脇雅子君 よろしくお願いします。

そして、一番問題なのは、中国人の実習生の人たちが山の中の奥深くにその宿舎を設定されて、外界との通行が全くできない、こちらからも訪ねることができないといういわば非常にタコ部屋的な状況にあるということが、これはもう人権侵害じゃないかという訴えが来ているわけです。私は、これは法的な問題として、そこにしか住むことができないというような状況で収容されているとすれば、それはたとえマンションだと言おうと貸借の居室だと言おうと、私は寄宿舎の規定が適用されるんではないかというふうに思うわけです。

これは我が国が労働基準法で事業附属寄宿舎については寄宿舎の自治ということを明記して、附属寄宿舎規程というものをつくって、いわゆる今までのあの封建的な労使関係、女工哀史の根源をなくしたという歴史があるんですが、再びここでそういうような状況が私はあるのではないかと非常に胸が痛むわけでありまして、どうかこの宿舎についても一度監督をお願いしたいというふうに思います。御意見いかがでしょうか。

○国務大臣(牧野隆守君) この技能実習生が働いておられる工場並びに宿舎が住宅地から離れているということは承知いたしておりますが、私は福井県出身なものですから、あの辺の山の中にあるのか、どの辺にあるのかと見れば、これは適当か不適当かということは、地の者でありますからその辺は常識的に判断できると思います。

しかし、それが直ちに労働基準法違反と言えるかどうかということとは別問題でございまして、考え直すべきところがあると判断されればそのような勧告ぐらいは、事実上勧告ぐらいはきちっとしていいのではないかなと、こう思っています。

○大脇雅子君 ぜひ一度実態を御調査いただきたいと思います。

それから、法務省の入管局にお尋ねしたいんですが、さまざまに天引きがあり、中間管理費の控除があり、いろいろありまして、入管でそういう人たちを受け入れるときに重要な契約書というものを提示させるわけですが、まあ実際上の契約書は何通か、これは私も外国人の問題をやっておりますと、例えば英語学校の教師も、入国管理局に提示する契約書は二十五万というふうになっているのに、実際はその事業者との間で二十万の支給になっているとか、そういうケースはよく扱ったことがあるんですが、この件に関しては四通さまざまな契約書があるというようなこともうわさされているんです、私もまだ現実に見たことありませんけれども。

そういう場合、私は、この中国人実習生の問題だけではなくて、ベトナムからもインドネシアからもタイ等からも来ているわけですから、この研修制度、実習制度というものが、我が国と相手各国との間のいわば未来を結ぶ一つの制度として本当にいい意味で機能しているのかどうかということを非常に危惧するわけです。ぜひこうした問題の実態調査を全国的に行っていただきまして、この制度のそれを踏まえた見直しをお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。

○政府参考人(町田幸雄君) 研修、技能実習につきましては、私ども現在策定中の第二次出入国管理基本計画におきまして、研修・技能実習制度の適正かつ円滑な推進と一層の充実を図ることを今後の大きな課題といたしております。

その運営につきましては、今委員御指摘のような問題が発生した際、私どもも詳細に調査をいたしており、また各地方入管局の行います出入国管理行政関係意見聴取会等、いろいろな機会を使って実情の把握に努めております。

また、先日もある幾つかの農業関係の団体の方々のお話も伺いましたところでございますが、そうしたいろいろな実情を踏まえまして、現在、研修、技能実習のあり方について私どもなりに将来のあり方をさらに細かく検討しているところでございます。

○大脇雅子君 ぜひ全国的な実態調査をしていただきたいと思うわけです。

そうしますと、その作業は大体どのくらいのタイムラグをめどに御検討中なのでございましょうか。

○政府参考人(町田幸雄君) 今私どもの内部の検討をしているところでございまして、ある程度のものができましたらそれを例えば労働省を含めましてほかの関係機関とも協議をいたさなければならないと思っておりますので、今どのくらいと言われても簡単には言えないと思っております。もう少し時間がかかるかと思います。

○大脇雅子君 できるだけ早期に、日々人権の侵害が起きているというおそれもありますので、お願いをいたしたいと思います。

次は、大蔵省にちょっとお願いをしたいんですが、全然別の問題になります。

派遣労働についてでございますが、派遣スタッフの中では、賃金全体の中に勤務先までの交通費の実費分が含まれて支給されている。その場合に、交通費というのは実際の所得ではないにもかかわらず、それに所得税が源泉徴収されているという例があるようでございます。

賃金と通勤手当に係る所得税の取り扱いに関する原則というのはどうなっているのでしょうか。そして、契約を締結する際に派遣スタッフが必要とする通勤手当分実費がどのように処理されていれば所得税の非課税扱いとなるかということについて御示唆をいただきたいと思います。

○政府参考人(河上信彦君) 国税庁の方からお答えさせていただきたいと思います。

所得税法におきまして、給与所得者が通勤に必要な交通機関等を利用するために支出する費用に充てるものといたしまして、通常の給与に加算して受けます通勤手当で、それで一般の通勤者に通常必要と認められるもの、これにつきましては非課税とされているところでございます。

お尋ねの第二点目、御質問の派遣スタッフの通勤手当についてでございますけれども、派遣スタッフと派遣業者との間の契約におきまして、給与の額と通勤手当の額、これが明確に区分されている場合には通勤手当は通常の給与に加算して支払われることになるというふうに理解できるところでございますので、所定の非課税限度額を超えない限り非課税という扱いになろうかと存じます。

○大脇雅子君 この点が何か非常に派遣元と派遣スタッフとの間の賃金の支払い状況において不明確なところがあって、実際上所得税が非課税になるべきはずのところを所得税が源泉徴収されているというような状況があるので、この点については労働省の方としても、契約締結についてさまざまなマニュアル等を出されるときに留意していただきたいということを申し上げたいと思います。

次は、新卒派遣というものについてお尋ねをいたします。

昨年の十二月一日に施行されました改正労働者派遣法というのを受けまして、例えばパソナとかテンプスタッフなどの大手派遣元事業者は、試用期間における使用者責任を肩がわりして若干の研修を施した上で、成績優秀な派遣