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第 145 国会報告
労働・社会政策委員会
1999年5月20日

派遣法・職安法改正ほか


○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。

鈴木参考人にお尋ねしたいんですが、我が国におけるワークシェアリングの導入のための障害というものをどのように考えていらっしゃるかについてお尋ねしたいと思います。

先般、雇用サミットに出かけられた労働大臣が、欧州の方のワークシェアリングの状況を見て、生産性ということを全く考えていないんじゃないかというような発言をなさったわけです。先ほどの御説明でも、ワークシェアリングというのは雇用創出に力点があり、政労使の適正な犠牲の負担が施行の条件というようなことをおっしゃったわけですが、我が国ではそのワークシェアリングをするよりも安いパートとか派遣とかアルバイトを導入した方がいいというのが企業の傾向だと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。

○参考人(鈴木宏昌君) 前提条件が一つございまして、私は日本の輸出産業の競争力というのはまだまだ非常に強いというふうに考えております。

それで、ワークシェアリングで時短が進みますと、ある程度のコストの上昇というのは否めないだろうと思うんですけれども、そのときに、それでは日本の企業がそれによって競争力が弱まるかというと、それで初めてほとんど対等な立場になるんではないか。輸出関連の産業のケースですけれども。

それから、ワークシェアリング導入の問題点といたしまして、一番最初にはやはり社会的な合意といいますか社会的な関心がまだ全然ないというのが一番大きな点かなと思います。

それから、二番目といたしまして、企業の中におきまして、私は、組合、従業員の声というのが次第に聞こえなくなってきているのかなと。特に、弱い立場にある労働者の声を反映するような仕組みになっていないのかなと。そこのところが非常に危惧しているところであり、逆に言いますと、もしもワークシェアリングが進むといたしますと、そういうものが仕組みとして出てこなければワークシェアリングが実現できないというふうに考えております。

○大脇雅子君 ありがとうございました。

樋口参考人にお尋ねしたいんですが、アメリカなどでは自由競争にもルール化があるというふうに言われるわけですが、日本における規制緩和を見ておりますと、なかなかそうしたルール化が見えてこないという点があると思います。

それで、失業率のミスマッチといいましても、やはり年齢とか性による差別というものが今までの我が国の構造的な要因としてあったと思いますので、この性別あるいは年齢の差別というものに対する我が国の規制というものが必要ではないかというふうに思います。

性別には雇用機会均等法がございますが、年齢についてはまだ見当たらないんですが、それはどのような方向を目指していったらいいのか、お考えをお聞きしたいと思います。

○参考人(樋口美雄君) 性差別の問題は、御指摘のとおり、日本では男女雇用機会均等法が改正され、それを強化するというような流れがあったわけでありますが、年齢に関しましてはほとんど法的な問題というのはないんではないかと。むしろ、定年制というのが年齢に関して雇用をどういうふうにするのかといったような一種のルールになっているわけであります。

例えば、六十歳の定年制というものをどういうふうに考えるのかということでありますが、それには二つの意味がある。六十歳までは雇用を保障しなさいという意味と六十歳になったら今度は保障しなくてもいいよというような意味、二つ持っているわけであります。長期的に考えたときに、この年齢による差別、あるいは年齢によって雇用管理をしていくというようなことに対しては、やはり考え直す必要があるんではないだろうかというふうに私は思っております。

ジェンダーフリーの社会と同じように、エイジフリーの社会ということでありまして、年齢という理由によって例えば解雇することができるとかということはむしろおかしいんじゃないかというようなことでありまして、やはり本人の能力と意欲、これに基づいて雇用管理というのは考えていく必要があるんではないだろうかというふうに思います。

アメリカにおきましても従来は定年制を設けていたわけでありますが、この定年制を憲法違反ですというような判断を下しまして、今、法的にこの定年制を持っているものはなくなっているかと思います。むしろ、やめる時期というのは本人が選ぶんだと。しかし、企業としましてもいつまでいられても困るというようなことから、企業年金制度を使いまして、何歳でやめるのが一番あなたにとっては得になるのかというようなことを提示し、そして本人がやめていく引退年齢を選択するというような方向になってきているというのが実態だろうと思います。

しかし、かといって、すぐにこのエイジフリーの社会をつくる、目指すのは目指すんですが、では今そういった定年制はもうやめましょうといった場合、これだけ中高年層に対する過剰雇用感が強い中でそれをやった場合に、場合によってはそれが悪用されて、逆に失業者が大量に発生してくるというような可能性があるわけでありまして、徐々にそれを展開していく必要があるんではないだろうかというふうに思っております。

それともう一つ、ワークシェアリングとの関連で一つだけ申し上げたいんですが、日本ではワークシェアリングが行われてこなかったんだろうかということにつきましては、これは必ずしも意見が学者の間でも一致しているとは思いません。むしろ、景気のよしあしに応じて総実労働時間というのはかなり日本の場合には調整するというようなことをやってきたわけであります。特に、それが残業時間というような形で、景気が悪くなれば一番最初に雇用調整の対象、そのストラテジーとして残業時間が使われるということでありますので、その点については、見方は違いますがワークシェアリングをやってきた。ワークシェアリングというのが一体どういうような定義が与えられるんだろうかというようなことを考えていかないと難しいんではないだろうかと思います。

それと、日本でなぜ残業時間を調整することができたのかといいますと、やはりそれに応じて給与が変わるということがあったと思います。ヨーロッパあたりで考えれば、時間給で支払われているというような人たちが多いわけでありますから、そういった場合に時間が半減すれば給与の方も半減してくる。その半減する部分をどういうふうに保障していくのかというようなところであるわけでありますが、日本の場合、月給制をとっているような場合には、必ずしも労働時間が短縮されたからといって月給を引き下げるのかどうか。労働時間が半分になったときに、月給は半分でいいよというようなスタイルになるのかどうかというようなところで、いろんな労使の間での意見合意といったものを得にくいというようなところが実態としてあるかと思います。

ただ、私は、鈴木参考人と同じように、ワークシェアリング、労働時間を短縮するというようなことも今や日本の雇用創出を考える上では検討しなければならない時期に差しかかってきているというふうに思っております。

○大脇雅子君 鹿野参考人にお尋ねしたいんですが、先生の予測によりますと、失業率が増大をして負のスパイラルというものが見込まれる中で、望まれる雇用機会の創出ということですが、我が国の雇用創出力が弱いという弱点をどういう戦略でもって克服していったらいいか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(鹿野達史君) 基本的にはやはり景気運営と一体となってという形が望ましいんではないかなというふうに思います。

ですから、現状、経済全体を考えた上で、特に雇用という面が、かなり雇用調整が先導する形での景気後退というのが現状の姿かと思いますので、全体の景気悪化に歯どめをかけるといったところをまず前提として、その上での労働市場の整備といった形で、全体として経済を立ち上げていく中で雇用機会を創出していくという形が望ましいんではないかというふうに考えております。

○大脇雅子君 三人の参考人の方にお尋ねをしたいんですが、今まで労働組合の運動なども右肩上がりの成長を前提としてさまざまな運動を起こしてきましたし、企業も政府もまた同じようなものであったわけです。しかし、規制緩和が進行していく中で、賃金や所得の格差が拡大をしていくということの危険が言われているわけです。経済戦略会議でも、我が国ではセーフティーネットをきっかり張っていくことを特色とするんだというようなことを言っているわけです。

今、働く人たちのために最も必要なセーフティーネットというものは一体何なんだろうかということですが、それについてちょっと御意見を伺いたいと思います。鈴木先生からお願いします。

○参考人(鈴木宏昌君) ありがとうございました。

私は、個人個人の労働者にとりまして一番必要なものは、市場で自分の能力を売れるような、そういう能力を持つことだろう。ただし、その能力を持つというのは、現在すぐに持てと言われてもとてもできませんので、これは中長期的な目標になるんだろう。特に、私は職業能力に関するこれまでの仕組みというのが非常に欠陥が多かったというふうに認識しております。

ですから、最後的にはセーフティーネットというのは個人の能力をいかにしてふやしていくか、そして現在のところは雇用をいかにして確保していくか、こういう両面かなと考えております。

○参考人(樋口美雄君) 私が考えます最も必要なセーフティーネットということでございますが、セーフティーネットにはやはり二つの意味があるんではないかというふうに思っております。

一つは、やはり所得保障をすることによって安心を国民に与えるというようなこと。このことは、ある意味では失敗してもある程度の保障がされるんだというようなことで、やはりリスクの高いものに再チャレンジするというようなことを可能にする。ただ安心してそこにそのままとどまってしまうというようなことでは実は困るわけでありまして、二つ目のセーフティーネットの意味というのはまさに再挑戦を可能にするというような役割をセーフティーネットは持っているんではないか。

そういった視点から、自由競争の社会においては必ずこのセーフティーネットがなければ競争自身が機能しない、セーフティーネットのない社会においてはみんなが萎縮してしまって、挑戦しようというような人たちがだれも出てこないわけでありますから、自由競争をする上ではどうしてもセーフティーネットの充実といったものが必要になってくるんだろうというふうに思います。

そうなった場合、今の二つの目的を達成することができる最大のセーフティーネットは何だろうかというふうに考えれば、やはり本人がやる気、意欲を持っている場合にそういったチャンスをつくり出すというようなことであります。例えば、勤め人として会社に勤めようということであれば、そのときには雇用創出が最大のセーフティーネットだと。本人がやる意欲があった場合に、それを雇いましょうというような企業があれば、これは財政支出をしなくてもある意味ではセーフティーネットとして機能するものでありますから、これが最大ではないだろうか。そうした場合に、企業としてはどういう能力を持っている人というようなことが条件として出てくるわけでありますから、それに対してその能力開発を自分でしていく、それに対して行政としてやはりセーティーネットとしてそれをサポートしていくというようなことが必要なのではないかというふうに考えております。

○参考人(鹿野達史君) まず、右肩上がりの経済成長、この全体が崩れた中ではやはりかぎとなりますのは個々人の能力といったところで言えるかと思います。そうした点では、能力開発といった点が一つの大きなかぎになるのではないかというふうに考えております。

アメリカにおきましても、確かに能力別の所得格差が広がっているわけですが、全体的な学歴なり能力の向上によりまして、その格差の拡大にはようやく歯どめがかかってくるという状況が出てきておりますので、そうした方向を目指すべきではないかなというふうに考えております。

そうした点では、労働市場におきましては、所得の補てんとその期間の長期化、その間に能力開発ができるような制度並びにその枠組みをつくっていくべきではないかなというふうに思います。

○大脇雅子君 ありがとうございました。



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