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参議院議員大脇雅子君提出ILO第百八十一号(民間職業仲介事業所)条約に関する質問に対する答弁書

1999年9月17日

一の1について

民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)(平成十一年条約第九号。以下「条約」という。)第十条及び第十四条の「adequate」については、それぞれ各加盟国が確保する制度及び手続並びに各加盟国が定める救済措置の具体的内容が各加盟国の事情により異なることから「適当な」と訳し、また、条約第二条、第八条及び第十一条の「adequate」については、労働者を保護するに足りるという趣旨であることを踏まえ、「十分な」と訳したものである。

一の2について

お尋ねの「maternity protection and benefits」については、妊娠及び出産における保護及び給付のほか哺育に係る保護及び給付も含む意で用いられているため、「妊娠出産における保護及び給付」のように限定的に訳すことは適当でないと考える。また、「parental」については、関係国内法令において「parents」に該当する者を示す語句として「父母」が一般的に用いられているため、「父母」と訳したものである。

二の1について

条約は、民間職業仲介事業所の運営を認め、条約第二条においてその適用範囲を船員の募集及び職業紹介を除くほか、すべての種類の労働者及びすべての部門の経済活動とした上で、一定の場合には加盟国がその例外(特定の部門の経済活動について民間職業仲介事業所によるサービスの提供を禁止すること等)を設けることを認めている。条約第二条は条約第一条1に規定する「民間職業仲介事業所」に該当する派遣元事業主の取り扱う対象業務の国内法上の規定の仕方について必ずしもいわゆるネガティブリスト化を求めるものではないが、今回の改正により当該対象業務をいわゆるネガティブリスト化したことは、我が国が条約第二条の規定を円滑に実施する上でより適切な方法であったと考える。

二の2について

我が国においては、勤労者の団結権及び団体交渉その他の団体行動を行う権利は憲法上保障されており(憲法第二十八条)、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)において、労働者が労働組合を組織し、組合を通じて使用者と団体交渉を行うこと等が定められ(同法第一条等)、これを担保するため、使用者が行う不当労働行為(労働者が労働組合員であること等を理由とする不利益取扱い、団体交渉の拒否等)が禁止されているところである(同法第七条)。条約第四条に規定する労働者も、労働組合法の適用を受ける労働者であることから、同条の権利確保のための措置が講ぜられているものと考える。

二の3について

条約第五条は「性」を事由とする差別的取扱いを禁止しており、我が国においては、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三条により、職業紹介、労働者派遣等を行うに当たって、性別を事由として差別的取扱いを行うことが禁止されているところである。

また、条約第五条は、加盟国において「年齢」、「障害」等が国内法及び国内慣行において禁止されている差別の事由とされている場合には、民間職業仲介事業所が労働者を取り扱う場合についてもこれらの事由による差別を行ってはならない旨規定している。我が国においては、「年齢」又は「障害」を事由とする差別的取扱いを禁止する国内法及び国内慣行は存在しないため、これらの事由による差別に関しては、条約第五条の適用はないが、民間職業仲介事業所が合理的な理由なくこれらの事由により差別的取扱いを行うことは不適切であるため、必要な指導を行ってきているところである。

二の4について

職業紹介事業については、職業安定法等の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十五号)による改正後の職業安定法(以下「新職業安定法」という。)第五条の四において、個人情報の取扱いについて、職業紹介事業者が、求職者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合を除き、その業務の目的の達成に必要な範囲内で収集し、当該収集の目的の範囲内で保管し、及び使用しなければならず、求職者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないこととされているところである。

また、労働者派遣事業については、職業安定法等の一部を改正する法律による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)(以下「新労働者派遣法」という。)第二十四条の三において、右の職業紹介事業と同様の規定を設けているところである。

条約第六条(b)は、民間職業仲介事業所が処理する労働者の個人情報の範囲を関係する労働者の資格及び職業経験に関連する事項のほか、当該事業所が行う職業紹介事業、労働者派遣事業等に直接関連する情報に限定している。我が国における職業紹介事業者、派遣元事業主等が取り扱う個人情報は、それぞれの業務の目的の達成に必要な範囲内に限られており、その範囲は、条約第六条(b)の民間職業仲介事業所が処理する労働者の個人情報の範囲と合致するものである。

なお、職業紹介事業者、派遣元事業主等が収集等を行うことができる具体的な個人情報の範囲については、今後制定する予定である指針で明らかにすることとしている。

二の5について

条約第七条1は、労働者から手数料を徴収することを禁止しているが、労働者から手数料を徴収することが労働者の利益となるような場合には、手数料の徴収を認めることが適当であるとして、条約第七条2において、最も代表的な労使団体と協議の上特定の種類の労働者及びサービスについて例外的に手数料の徴収を認めることができることとしたものである。新職業安定法第三十二条の三第二項においては、原則として有料職業紹介事業者が求職者から手数料を徴収することを禁止することとし、例外的に求職者の利益のために必要があると認められるときとして命令で定めるときは手数料を徴収することができることとしており、現行の受付手数料等が考えられるが、具体的な内容、徴収方法等については、今後、新職業安定法の施行に合わせて改正する職業安定法施行規則(昭和二十二年労働省令第十二号)により定めていくこととしている。なお、有料職業紹介事業者が求職者以外の求人者等から手数料を徴収することは、条約上制約されていない。

二の6について

我が国においては、条約第十一条(a)結社の自由及び(b)団体交渉については、二の2についてでお答えしたとおり、現行法で必要な措置がなされているところであり、また、(i)支払不能の場合における補償及び労働者債権の保護については、賃金の支払の確保等に関する法律(昭和五十一年法律第三十四号)に基づき、未払賃金立替払制度が設けられており、条約第十一条に規定する十分な保護が保障されていると考える。

二の7について

我が国においては、条約第十二条(a)団体交渉については労働組合法により、(b)最低賃金については最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)により、(d)法令上の社会保障給付については雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)により、(e)訓練を受ける機会については職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)により、(g)職業上の災害又は疾病の場合における補償については労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)により、(h)支払不能の場合における補償及び労働者債権の保護については賃金の支払の確保等に関する法律により、(i)母性保護(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条に規定する産前産後に係る休業に限る。)及び母性給付並びに父母であることに対する保護及び給付については、労働基準法、健康保険法、育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)及び雇用保険法により、それぞれ派遣元が責任を負うこととされている。

また、(c)労働時間その他の労働条件については労働基準法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第四十四条(労働基準法の適用に関する特例)により、(f)職業上の安全及び健康の分野における保護については労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)及び労働者派遣法第四十五条(労働安全衛生法の適用に関する特例)により、(i)母性保護(労働基準法第六十五条に規定する産前産後に係る休業を除く。)については、労働者派遣法第四十四条、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号。以下「男女雇用機会均等法」という。)及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十四号)による改正後の労働者派遣法第四十七条の二(男女雇用機会均等法の適用に関する特例)により、いずれも事項に応じて派遣元若しくは派遣先のいずれかが又は派遣元及び派遣先の双方が責任を負うこととされている。



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