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第 145 国会報告
決算委員会
1999年5月17日

雇用対策ほか


○大脇雅子君 私は、先回、国会で採決されました労働基準法の問題について少しフォローアップをしてみたいと思います。

国会答弁を私が文書にして送りましたところ、ある弁護士から「Q&A 労働基準法はこう変わる」という新旧対照の本が送られてきました。そこには「監修 労働省労働基準局監督課」というふうに書いてありまして、このような記述がありました。「上限基準に適合しない三六協定は無効となるのか」というところで、QアンドAがあって、その解説に、「今回の改正により、労使は三六協定を締結するに当たり、その内容が上限基準に適合したものとなるようにしなければならない労働基準法上の義務を負うこととなります。この規定は、労使に基準に適合するようにする遵守義務を課したものですので、上限基準に適合しない三六協定が締結されている場合は、労働基準監督署より是正を求められることになります。」、ここまではいいんですが、「ただし、労使が上限基準を踏まえ、十分話合いの上締結した三六協定は、直ちに無効とはならないものと考えられます。」と書いてあるわけです。

そこで、私はお尋ねをしたいのですが、時間外労働に関する労働大臣の定める基準が、今までの目安時間の単なる行政指導の根拠から法的な効力を持つところまで来たというふうに言われているわけですが、従来の目安時間ではなくて上限基準を大臣が定めるという意味をどこに求められているのか、確認をしておきたいと思います。

○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました、先般改正させていただきました労働基準法の三十六条の三項で、新たに三六協定の内容につきましては労働大臣が定める基準に適合したものとなるようにしなければならない、こういう規定を加えていただいたわけでございますが、これは単なる努めなければならないという努力義務とは異なる規定ぶりでございまして、この規定は労使に三六協定を結ぶ際の限度基準の遵守義務を課したものというふうに理解しておりまして、私ども、この規定に基づいて目下厳正な指導に当たっているところでございます。

○大脇雅子君 そうしますと、その上限基準を踏まえた三六協定の届け出の状況は現在どのようになっているんでしょうか。施行前と異なる特徴はあるのでしょうか。

○政府委員(伊藤庄平君) 現在、この四月に至るまで、昨年改正させていただきましてから、私どもは新しい残業時間の上限基準のパンフレット、リーフレットを作成いたしまして、組織的に説明会等を展開してまいりました。

施行になりました四月から新しい三六協定の受理に当たっておりますが、この新しい上限基準に適合するように、時間はもちろんでございますが、一週あるいは四週、それと、あわせて一年という上限も両方規定するような改正もあわせて行っている。また、育児、介護等に当たられる女性の方々についてのいわゆる激変緩和措置としての経過措置もあわせて三六協定に織り込んでいただく、そういった非常に大きな改正点がございます。

何よりも大きい改正点は、法律に根拠を持った、労使はこれに適合したものとなるようにしなければならないという遵守義務を課した点がございますので、各労働基準監督署の窓口におきまして、新たな三六協定の受理に当たりましてそういった点について事業主の方に厳正な指導を行っているところでございます

○大脇雅子君 先回の委員会での質問で、上限基準を超えた労使協定については、甘利大臣から、「当然是正勧告を行い厳正に対処するとともに、そのような業務命令は合理的な理由がないものとして民事上争い得る」というふうに答えていただいているわけです。これを通達や解釈にも明解に規定していただきたいという要望をいたしましたが、それは間違いありませんね。

○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のとおり、この新たな上限基準を徹底させるべく厳正に指導を行うということにつきましては、私ども施行の際に通達も発しまして、他の労働基準法違反事例と同様に労働基準監督署名による是正勧告を行う、しかもこれについては指導の文書も出して、文書による是正を行わせていく、そういったことも指示いたしておりまして、そういったことを御指摘を受けて厳正に対処しているところでございます。

また、この施行に当たりまして、全国の都道府県労働基準局等に私ども法律の趣旨について説明会等も開催しておりますが、そういう際にも、先生から質疑の際に御指摘のあった点、今特にお取り上げになりました適合していない三六協定等につきまして、もちろん強行法規としての性格は適合したものになるようにしなければならないという遵守義務でございますが、民事上の効力等につきまして、もしそういった形で違反したまま不合理な残業命令を命じた場合は民事的な問題として争い得る問題になるケースもあり得ること等も徹底をさせているところでございます。

○大脇雅子君 そうしますと、先ほど申し上げました労働省労働基準局監督課監修のこの「労働基準法はこう変わる」という本にある「ただし、労使が上限基準を踏まえ、十分話合いの上締結した三六協定は、直ちに無効とはならないものと考えられます。」という書きぶりと、今まで踏まえてきた問題と少し距離があるといいますか、違うのではないかと思うんですが、その点、どういうふうに解釈されるでしょうか。

○政府委員(伊藤庄平君) ただいま御指摘ありましたそのQアンドAの本でございますが、私どもの労働基準局の監督課が監修しているということでございます。その中でも、答えの方で、「上限基準を超えて締結された三六協定は直ちに無効とはなりませんが、上限基準を超える三六協定については、労働基準監督署による厳正な指導により、是正を求められることになります。」という答えをいたしているというふうに私ども承知いたしております。

ただ、先生御指摘ございましたように、民事上の効力の部分について非常に簡単な記述にとどまっているという御指摘はそのとおりかもしれません。この労働基準法で新たに設けさせていただきました遵守義務、直ちに民事上の効力まで否定するという性格ではないということは前回の質疑の際にもお答え申し上げているところでございます。

ただ、それが合理的な理由なく上限基準を超えていて、それに基づいてもし残業の業務命令を出して拒否した場合のいろんな解雇等の不利益取り扱いがあった場合には、当然何らかの形で新たな規定が設けられたことは裁判所等の判断の際に考慮されるものというふうにお答え申し上げていますが、そういった詳しい記述がないというのは、確かにちょっと民事上の効力について労働基準法についての解説ということで触れなかったのかもしれませんが、その辺については私ども、十分都道府県の労働基準局の方にはそうした趣旨は今までも徹底させてきておりますので、今後ともそうした趣旨の徹底については努力をさせていただきたいと思っております。

○大脇雅子君 そうしますと、この監修という意味はどういう意味なんでしょうか。監督課のだれかが目を通しているということですか。変にちょっと言えば、それは労働省がつくったというようなことになるわけでしょうけれども、どういうふうに理解したらいいですか。

これに対して、労働省としてはこれは労使に対してミスリードをする危険性があるわけですね。だから丁寧ではない。誤りではないけれども誤りをもたらすような不徹底さがあるということが言えて、やはりこういう解説書というのが出回ると、せっかくつくった労働基準法の魂を失うのではないかという気がいたしますので、これに対しては労働省は何かできますか。

○政府委員(伊藤庄平君) この監修といいますのは、労働基準法の規定につきまして、私ども、いわば法律の解釈等に誤りがあるものは当然チェックするのが監修かと存じますが、この「Q&A」、上限基準を超える三六協定は「直ちに無効とはならないものと考えられます。」ということで、「直ちに」ということで恐らく含蓄を含めていたのであろうかと思います。

民事上の効果の問題につきましては、先ほど申し上げましたような事例の場合には、民事上何らかの形で裁判所等で争われる場合にこういう新たな規定が設けられたことは重みを持ってくるんだろうというふうに感じております。

そうした趣旨につきましては、私ども、全国の都道府県労働基準局等に対して趣旨を十分徹底し、また新たに同時に設けさせていただきました民事上の労働条件等をめぐる争いについての個別の紛争処理のシステム等に当たりましても、そうしたことを念頭に置いて私ども十分誤解のないように対応するよう指示してまいりたいと考えております。

○大脇雅子君 現場では確かにそのように指導を徹底していただければ、これを見て間違ったなということがまた窓口で突っ返されるのかもしれませんが、しかしこれはもうかなり売れていて、これを読んでみると、十分話し合いをすれば何か有効なような感じに読めるものですから、これはやはり現場の労使関係をかなり混乱させるのではないか。

監修ということですとやはり監督課も責任があるのではないかと私は思うんですが、もう少し、今度は初版を二版にするとか三版にするときにはここを変えるようにということは言えますか。

○政府委員(伊藤庄平君) これは書かれた方、また出版の方とその辺を話し合っていかなければならない、その結果を見なくてはいけない問題かと存じますが、ここに書いてありますように「直ちに無効とはならないものと考えられます。」ということでございますので、この「直ちに」ということに含められた含蓄、この辺が間違って労働基準法上のいわば遵守義務が定められている世界でもこの上限を超えることができるんだというような誤解が広まらないようには私ども十分努力をしていきたいと思います。

この三六協定については、効力を発生するためには労働基準監督署に届け出ることが要件の一つでございますので、この届け出がされないと、それ自体が強行法規として罰則を伴う義務づけでございますので、そういう段階で十分先生御指摘の懸念が出ないように、この上限基準を超える三六協定については厳正に是正を求めていくように努力をいたします。

○大脇雅子君 現場での是正措置等はその熱意は十分私もわかったわけですが、この書きぶりが誤りではないにせよ、ほとんど誤解を招くような書き方をしているという、これは弁護士が私に持ってきたものですから、やはり普通の人なら含蓄などというようなところで理解はもっとできないと思うので、ぜひ、これは監督課の監修ということであれば、やはり次の版のときには必ずチェックをしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のように、ここはあくまで民事上の効果について触れている部分でございまして、労働基準法上の遵守義務を定めている、いわばそのレベルの効力の問題ではないというふうに私ども受けとめておりますし、ここに「直ちに」ということで記された意味合いが、先生の方にお話があった弁護士の方等もし誤解を受けているような向きがあるとすれば、そういった点につきましては、この本を著述された方、また出版社の方に次の機会等にはそういった懸念があることについては十分伝えてまいりたいと思います。

そういう結果で、私ども、もちろん強制力はございませんけれども、最善の努力はさせていただきたいと存じます。

○大脇雅子君 これは結構出回っていると言われておりますし、丁寧にやはり書いていただいて、改正の趣旨等、私たちが国会で審議したことを反映してそして現場できっちり運用していただきたいと思うので、ぜひ監督課の方とのお話し合いを望みたいと思います。

次に、激変緩和措置の取り扱いについて、これはどのように指導され、現場では三六協定として届け出がございますか。これは特定女性労働者が申し出た場合ということになりますと、知らないとこれはどうにもならないし、どのように現場では対応されているんでしょうか。

○政府委員(伊藤庄平君) いわゆる激変緩和措置の対象となる育児あるいは介護等を行っている女性の方について、残業時間について従来の女性保護規定に準じた配慮をしていくべきのこの三六協定上の措置を求める条項でございますが、これにつきましては、国会の御審議の中からも大変重要な位置づけをさせていただいた激変緩和措置でございますので、私ども、四月に至るまでの組織的な説明会等の際には、パンフレット、リーフレットを作成して組織的に説明会を展開いたしましたが、その中でも、一、二、三と大きなチェックポイントを三つ挙げまして、もちろん一番目、二番目は時間数や労使が遵守すべきことを強調したものでございますが、チェックポイントの三にはそうした育児、介護を行う女性の方についての取り扱いについての三六協定に入れるべき事項を詳細に解説いたしまして普及に当たりました。

また、四月以降、具体的な三六協定の受理に当たりましても、この点について上限基準に適合しないものがあれば、これは全体の上限基準を超える三六協定の場合と同様、労働基準監督署名による是正勧告を行い厳正な是正を求めるようこれも通達によって指示をいたしておるところでございます。

○大脇雅子君 この激変緩和措置は三年間ということで、三年後は女性労働者と男性労働者も踏まえて家事、育児の責任を持つ人たちの時間外労働の拒否の請求権というのを法制化するという道筋のワンステップなわけですが、大体いつごろからそうした検討会というのを行われるのでしょうか。三年というのも早いので、できるだけ早目に、前倒しとまでは言いませんけれども、ぜひ着手をしてほしいと思いますが、何か予定はございますでしょうか。

○政府委員(伊藤庄平君) これは、先生初め国会の非常に御熱心な質疑の結果、修正を通じまして、改正法の附則におきまして、家族責任を負う方についての将来における長時間労働を防止していくための措置として検討すべきことが取り上げられた問題でございます。私ども、大変重要な課題であるというふうに認識させていただいております。

目下、育児休業制度が施行されて間もないところでございますが、そうした法律に基づきます育児休業の普及、また同法に織り込んでおります育児をされる方についての勤務時間の短縮措置等々も同時に動き出しておるわけでございますので、そうした実施状況について今情報等の収集に当たっているところでございます。

三年後にそういう検討を行うという規定でございますので、そうした情報の収集等を急ぎまして、法律どおり、三年後のそういった検討に十分間に合うように、私ども情報等の収集ができ次第、どんなふうに検討を進めスケジュールを設定していくか詰めてまいりたいと思っておるところでございます。

○大脇雅子君 ぜひ三年後の見直しに向けて着々とお仕事を積み重ねていっていただきたいと思います。

それでは、大臣にお尋ねしますが、労基法が改正されまして、やはり残業の削減を通じた労働時間の短縮とか、家族的責任を理由とする時間外労働の限度基準の遵守など、私たちが行った働く人たちのための重要な施策というものの徹底について、御決意を伺いたいと思います。

○国務大臣(甘利明君) 時間外労働の上限基準の設定に関しましては、先生が先ほど御指摘のとおり、基準法改正によりまして、従来からの行政指導の根拠の位置づけから法的な遵守義務へと大きく変えたわけでありますし、さらにこの法案を提出する際には、当時与党の一員であられた先生の強い御意思、御指導もいただきまして、その書きぶりについても我々としては一歩踏み込んだつもりでございます。

そこで、この書き方について、どういう場合に例外項目といいますかそういうことが想定されるのか等々については、今までも参議院における労働・社会委員会においてもいろいろ議論もなされましたし、今も局長からも答弁がありました。基本的には、これを遵守させるために他の基準法違反の事案と同様に、監督署長名で是正指導をしてまいりますし、先生の御意見もいただいて、しっかりとこれが法の趣旨にのっとって履行できますように最大の努力を払っていきたいというふうに思っております。

○大脇雅子君 時間が参りました。終わります。

ありがとうございました。



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