NCC Networking News



CONTENTS[102]

・気候変動、それは神に対する罪 行本尚史

・フイリピンの農村を垣間見て 星野正興

・ー女性への暴力を断ち切るためにー 高橋喜久江

・「9月30日JCO臨界事故1周年全国集会」のこの時を覚えて 高田 進

・NCC情報掲示板





気候変動、それは神に対する罪
気候変動に関する国連枠組み条約第6回締約国会議(COP6)と世界祈祷日に向 けて                                    行本尚史

 WCCが1990年に「正義・平和・被造世界の一体化(JPIC)」会議を韓国・ソウルで開催してから、今年で10年。そこでも明らかにされたように、人間は、創造主なる神と被造世界に対する責任を負っている。したがって、二酸化炭素などの温室効果ガスの過剰な排出がもたらす気候変動によって被造世界を壊すことは、その世界を造られ良いものとされた(創世記第1章)神に対する罪である。この罪は、CCRAIが専門とするアジアはもちろん、世界のあちこちですでに現実のものとなりつつある。人類は、この罪についての根本的な悔い改めを、神から求められている。
 1113日から24日まで、オランダのハーグで「気候変動に関する国連枠組み条約第6回締約国会議(COP6)」が開かれる。これは、1992年にリオデジャネイロで開かれた地球サミットで採択された「気候変動に関する国連枠組み条約」に基づき、その5年後、199712月に京都で開かれたこの条約の第3回締約国会議(COP3)」で、この条約をより具体的で拘束力あるものにしようと、「先進」工業諸国が多く排出している温室効果ガスの削減目標を定めた「京都議定書」を発効させ、実効性をもつものとするための、重要な会議である。 しかし、COP3の後、日本や米国などの「先進」工業諸国には、そのために自らの罪を悔い改めようとする姿勢があまり見られず、いかに削減するかというよりは、むしろ、他国にお金や技術を提供して自国の削減に代えようとするなど、京都議定書による拘束をいかにゆるやかなものにするかという戦略に、国際交渉の重点を移してきている。国内政策も実効性がみられない。途上国や環境NGOは、これらの戦略や政策が抜け穴になることを警戒している。
 WCCは、このような戦略や政策に頼ることは、気候変動による被害を先に受ける途上国や未来の世代に不利益をもたらす、不公平な、神への不正義であるとして、「先進」工業諸国に対し、まず自国内で削減をすすめるよう主張してきた。
 この不正義は、昨年9月20日、英国およびアイルランドのキリスト教NGO「クリスチャン・エイド」が、「先進」工業諸国に対し、重債務国の債務帳消しと自国の温室効果ガス削減の責任を同時に問う報告書「誰が誰に負い目を負っているのか?気候変動、債務、公平、そして生き残り」を発表したことで、さらに明らかになった。さらに、今年5月に同NGOは、「地球温暖化、不自然災害、そして世界の貧しい人々」という報告書を発表し、「先進」工業諸国が排出している温室効果ガスが発展途上国に人為的な災害をすでにもたらしているという不正義の緊急性を訴えた。
 また、今年7月には、アジアキリスト教協議会(CCA)が「地球は我らが故郷―アジアの気候変動に対する宗教者の応答」と題する国際会議をインドのバンガロールで開催、COP6への提言や宗教団体・CCA・個人の役割などを記した「バンガロール声明」を採択した。
 そしてWCCは8月16日、COP6に向けた声明「地球の大気―国際公共財のためにそれを大切にし公平に分かち合う責任」を発表した。同声明文は、地球の大気を破壊するという、神に対する「先進」工業諸国の罪は、その心と行いを改めた時にはじめて許されるとして、大気を国際公共財とするよう主張するとともに、COP6に対し、排出量の配分を公平にすることなどを勧告している。
 日本のキリスト教界では、WCCが1988年1月に出版した研究書「気候変動と持続可能な社会の追求」の日本語訳『地球温暖化とキリスト教』(新教出版社刊)が、気候変動問題に関する聖書研究の教材の付録つきで昨年5月に出版された。まだお読みになっていない方は、ぜひお読みいただきたい。また、NCCは、気候変動問題に取り組む日本の市民団体の連合体である「気候ネットワーク」(浅岡美恵代表)の一員として情報を共有し、ささやかながらこれに取り組み続けている。
 来年の3月には、南太平洋の西サモアのために世界祈祷日が世界各地で守られる。この国は、1998年にアルゼンチンで開かれた第4回締約国会議(COP4)において、小島嶼諸国連合の代表を務めた国であるとともに、気候変動がもたらす海面上昇による水没や嵐、作物への悪影響などの危機感を募らせているキリスト教国でもある。この世界祈祷日とCOP6に向けて、西サモアを含む神の造られた世界のいのちが守られるように、まず神に祈り、生活の簡素化を改めて心がけるとともに、気候ネットワークを支援し、日本政府にもっと積極的な政策をとるよう要求することが、日本のキリスト者の責任として必要なのではないだろうか。
 より詳しくは、気候ネットワーク(事務所=京都<075-254-1011>・東京03-3263-9210>)に問い合わせるとともに、次の文献や資料をごらんいただきたい。

1.気候ネットワーク 編『よくわかる地球温暖化問題』中央法規、2000年6月
2.気候ネットワーク 編「すべてはこれから!」(国際交渉に関するわかりやすい説明のパンフレット。同ネットワークより無料で配布中)。
3.CCRAI 編『アジア通信 別冊アジア問題シリーズ 気候変動とアジア―宗教者の応答』(近刊予定)。
4.WCC声明文(英語全文・要約・日本語要約ともNCCにあり。英文要約は、WCCのウェブサイトhttp://www.wcc-coe.org/wcc/what/jpc/emiss-trad.htmlにもある)。
5.クリスチャン・エイドの報告書がある英文ウェブサイト
http://www.christian-aid.org.uk/f_reports.htm
6.CCAバンガロール声明(英語全文・日本語訳ともNCCにあり)。バンガロール会議の主な資料はCCAから本として出版される予定。

(世界教会協議会(WCC)気候変動ネットワークメンバー、NCCキリスト教アジア資料センター
(CCRAI)主事、気候ネットワーク正会員)



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フイリピンの農村を垣間見て
ーNCCスタディーツアーから                         星野正興

T.垣間見る

 今年の8月1日から8日まで、NCCのフィリピン委員会主催のスタディツアーでフィリピンの農村巡りをさせていただいた。二人の良きディレクター(阿蘇、渡辺両氏)に導かれ、参加者は私と会津でコメを作る専業農民の矢沢さんの二人であった。
 今回の参加者は、農村関係ということで、巡回先もほとんどが農村あるいは農業関係のところであった。
 しかし、全体の期間がたった8日間という短いものであったために、充分な対話や見学ができず、それはまさしく「垣間見る」ものに過ぎなかった。その「垣間見た」ことから、日本でのことに関わる部分を抽出していささかの報告とし、それが、日本に於いて自らの足下を振り返るきっかけとなればと願うものである。

U.日本ODAによるダム建設

 ルソン島中部の山中に、今巨大なダムが建設中である。サンロケダムといい、このダムの完成によって、下流域の都市の水害が防がれ、また都市の電力がまかなわれるという。更には、農業用水の確保にもなるという多目的ダムである。しかし、もともとフィリピンは多雨多湿の国で、ダムがあっても水害は免れず、田畑への灌水など全く不要である。要は、工場への電力確保がせいぜいの目的なのだろう。
 このダム工事には、日本のODAとしての多額の資金が使われている。このODA援助にはたくさんの「仕様書」が附随し、日本製の機会、物資が多く使われ、結局日本の企業がここで商売をしているようなものである。
 サンロケダム工事のため、広大な森林が伐採され、農業を営んでいた人々の農地が水没し、水害防止どころか逆に、地域住民に多くの危険と迷惑を及ぼしている。
 農地を失い、強制移住を強いられた人々の話を聞いたが、雇用の約束は守られず、内職の手仕事による一ケ月数千円の収入で、大家族を支えているという。彼らには、何の希望も見つからない疲労と絶望の様子が現れていた。
 これも、日本がらみのことである。

V.日本からの農薬、化学肥料

 フィリピンの基幹産業は、水田による米作である。今、日本の中山間地の水田はその大半が荒廃しているが、フィリピンでは今でも棚田が生きている。一歩都市を出れば、一面に、すいでんが広がっている。
 機械化は進まず、ほとんどが手作業だ。そして、そのほとんどの農地が未解放の土地、すなわち、不在地主の土地なのだ。フィリピン農業の一番の問題は、いまだ農地改革がなされていないことである。その中で、小作農民達が手で苗を植え、手で収穫をする。
 一面に広がる水田を見て、気がついたことは、その水田一面に強い除草剤がまかれ、その土壌には厚く化成肥料が投入されていたことだ。もちろん、病害虫防止のためのきつい農薬も散布されている。
 今日本では、有機農業や低農薬農業がもてはやされている。もはや水銀系の強い農薬は使われることはない。化成肥料よりも有機肥料の方に人気が集まっている。しかし、フィリピンで使われている農薬や肥料は、もはや日本では不人気の、そして、もう使われることのないものが、日本の商社から出ているのだ。そして、それがしようされている田圃の中で、農民たちが手作業をしている。
 日本の有機農業ファンで意識的な消費者たちが、自分の安全だけを考えて終わる自己満足に陥ってはいないかと、考えさせられもした。

W.絡み

 フィリピンは、歴史的にも今日的にも日本と深く繋がっている。フィリピンが自国の問題として持つ「絶対的貧困層の人々」の事柄も、経済的不平等の問題も、農地の未解放の問題も、農薬漬け農業の問題も、そして自然破壊の問題も、すべて日本が絡んでいる。
 そういう現実の前に、我々は、ただうつむいて佇む事しかできないのだが、それだけでは何にもなるまい。このような絡みを、問いを持つ者同志の絡みとして行くのである。つまり、今回のような交わりが、草の根でけいぞくされる時、日本とフィリピンの絡みは、祝福された絡みへと変えられていくだろう。

(日本基督教団 牧師)

*今年1月12日から19日まで行われました第3回フィリピンスタディーツアー報告書ができあがっております。興味をお持ちの方は、担当幹事山本までお問い合わせ下さい。(セブ島総合開発、マクタン島自由貿易加工区と日本のODA見学、土地占拠農民共同体との交流)



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ー女性への暴力を断ち切るためにー

女性国際戦犯法廷を支持し、キリスト者の責任を役割を探ろうと、9月30日、日本福音ルーテル東京教会を会場に「女性国際戦犯法廷」に向けたキリスト者全国集会を同集会実行委員会が開催した。参加者は約200名。実行委員会は教派・団体を超えて、また、男性と女性が協働する形をとってメンバー構成されたことをご紹介したい。実行委員長は、在日大韓基督教会・前女性委員会委員の梁霊芝さん。
 実行委員会が呼びかけ、集会開催の協賛団体を全国に募った。遠くは九州・関西・北陸・東北・北海道を含めキリスト者団体48団体が名を連ねた。同時に、実行委員会は全国での学習会開催を呼びかけると、各地ですでにキリスト者が中心となった取り組み情報をお寄せいただいた。九州でも、北海道でも地道な取り組みがなされている。東京で開催したこの全国集会が、各地の取り組みと連携しながら、12月の「女性国際戦犯法廷」に向けて、さらにその後のキリスト者の動きに向かう歩みだしとなればと願う。


女性国際戦犯法廷に向けたキリスト者全国集会を終えて                                          高橋喜久江

 今年三月に開かれたNCC総会で、建議案「慰安婦」問題解決のために引き続き取り組み、女性国際戦犯法廷を支援することを実質化しようと、9月30日、女性国際戦犯法廷に向けたキリスト者全国集会が、日本福音ルーテル東京教会を会場として開かれた。NCC女性委員会が中心となり、実行委員会を形成し、協賛団体を募ったもの。当日までに48団体が名を連ねた。
 実行委員長の梁霊芝(ヤン・ヨンジ)さんの挨拶の後、松井やよりさん(VAWW-NET JAPAN代表)の基調講演が始まる。父君、平山照次牧師の戦争体験、1945年に応召し、中国へ赴くが、慰安所には行かなかったが、現在の自分の生き方に繋がる。1973年〜1974年頃、千田夏光・金一勉氏の本で「慰安婦」問題を知るが、運動には取り組めなかった。調査活動に取り組んだ韓国の尹貞玉さんは歴史的役割を果たした人、ハンギョレ新聞に寄稿し、挺身隊問題対策協議会が発足。被害者金学順(キム・ハクスン)さんが最初に名乗り出た。朝日新聞の記者時代、台湾での取材で被害女性と出会い、一人一人の個人史をたどれば事実が判明し、後半生への甚大な影響を知った。しかし、帰社すれば社内ではデスクが「毎日毎日強姦の話かね。被害者の話だけでなく、加害者の話も聞け。」という。旧日本軍兵士を探り当て面会すると「戦争だからね」と。加害者は罪障感なく、靖国神社参拝の兵士の聞き取りでも、2/3は肯定的であった。
 日本政府は1995年村山内閣の時に女性のためのアジア平和国民基金を設立し、国民基金から被害者へ見舞金を出し、内外の批判を受けている。同じ敗戦国でもドイツはヨーロッパ諸国との和解に努め、謝罪の行動をとっているのに比べ、日本はアジアでの不信をかっている。日本は自らの手による戦犯処罰はなく、A級戦犯容疑者が首相の座に就き、軍人恩給は合計すれば、巨額なものであり、閣僚が靖国神社に参拝するなどの状況である。東京裁判が天皇を戦争犯罪人としなかったのは、米国の占領政策の故であり、植民地被害は裁かれず、性暴力は不処罰である。オーストラリアの国際法学者ティナ・ドルゴポルさんは東京裁判の見直しを主張した。
 被害女性たちの死が続いている。つらい人生、償いのない人生であった。姜徳景(カン・ドッキョン)さんの加害者告発の絵が女性戦犯法廷を開く心的動機ともなった。12月8日から開く法廷は、過去に向けての法廷責任追及、未来に向けての再発防止を目的としており、各国から被害者を含めて多くの参加者が予定されている。物心両面での参加・支援を願う。法廷は終わりではなく、始まりであり、女性の手で歴史を作るのである。戦時のみでなく、日常的暴力に繋がる性差別を断ち切るために。
 松井さんの事実を押さえた話は参加者の心を開かせたことだろう。昼食後、午後の部、再開の前に、ビデオ「私たちは忘れない」の上映がある。姜徳景さんの生活、逝去を記録したものである。
 午後はパネルディスカッション。高嶋たつ江さん(日本カトリック正義と平和協議会)をコーディネーターに、高里鈴代さん(日本基督教団/基地・軍隊を許さない女たちの会)、福原啓子さん(日本基督教団/かながわ女のスペースみずら)、香山洋人さん(日本聖公会)、渡部静子さん(日本キリスト教会「慰安婦」問題と取り組む会)、吉高 叶さん(日本バプテスト連盟)がパネリストとしてそれぞれの立場から発言した。
 高里さんは基地の島に安心・安全はなく、暴力装置としての国家の存在。福原さんは「みずら」の現状からドメスティック・バイオレンス(DV)問題、妻は夫の所有物的な存在を言う。香山さんは聖公会の男性優位性、教会内の差別に敏感になる。渡部さんは台湾裁判の原告イワル・タナハさんの「成長」に感動し、私たちも変わらなければならないと。高嶋さんが公判で、タナハさんが「讃美歌を貴女たちのために歌います」といったことをコメントする。吉高さんは、外登法キャラバンで夕張炭坑地の朝鮮女郎屋との出会い、加害者を免罪し、天皇制を存続させている。真の赦しと和解の必要を言う。
 質疑で、自分もまた社会構造を支えている一人ではないか、アジア女性基金はどう支出されているのか、DV活動グループへの支出は分裂をもたらす。女性といえども加害者になる。聖職者として女性戦犯法廷の裁きは神の裁きではないかと思うなど、多くの発言・交流があった。
 最後のセッションは礼拝。小宮郁子さん(日本基督教団)、斎藤和己さん(日本バプテスト同盟)、笹森田鶴さん(日本聖公会)、増田琴さん(日本基督教団)により執り行われた。士師記11章のギレアドの人エフタの娘の悲劇、イスラエルの女たちの追悼の行動が読まれ、燭火礼拝が捧げられた。献金は女性国際戦犯法廷に献げられる。参加者200名。日頃市民運動の会合に出ない人々、不満を感じている人々の祈りと思いが叶えられた集会であったと自画自賛する。

(日本基督教婦人矯風会)

*48の協賛団体は以下のとおり。

 あけの星会/石垣カトリック教会女性会/外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協 議会/カトリック正義と平和京都協議会/カトリック正義と平和仙台協議会
 カトリック聖心侍女修道会新宿修道院/カトリック東京教区正義と平和委員会
 カトリック町田教会アクション・フォー・ピース/カンバーランド長老キリスト教会日 本中会神学・社会委員会/在日韓国人問題研究所(RAIK)/在日大韓キリスト教関東地 方女性連合会/在日大韓基督教会/在日大韓東京教会女性会/在日本韓国YMCA
 札幌YWCA/「従軍慰安婦」問題と取組む九州キリスト者の会/女性が教会を考える 会・東京/「女性国際戦犯法廷に向けてのキリスト者福岡集会」実行委員会
 聖心会第二修道院/戦争と女性への暴力を考える北海道キリスト者の会
 名古屋YWCA/日本カトリック正義と平和協議会/日本キリスト教会「従軍慰安婦」 問題と取り組む会/日本キリスト教会宇都宮松原教会/日本キリスト教会大会靖国神社 問題特別委員会/日本キリスト教会東京中会靖国神社問題特別委員会/日本キリスト教 会横浜海岸教会すみれ会/日本キリスト教協議会(NCC)/NCC女性委員会
 NCC平和・核問題委員会/日本基督教団神奈川教区性差別問題特別委員会
 日本基督教団性差別問題特別委員会/日本基督教団兵庫教区社会部委員会
 日本基督教団若松浜ノ町教会婦人会/日本キリスト教婦人矯風会/日本キリスト教婦人 矯風会横浜支部/日本聖公会東京教区日韓在日プロジェクト/日本聖公会東京教区人権 委員会/日本聖公会宮崎聖三一教会婦人会/日本バプテスト婦人連合/日本フェミニスト神学・宣教センター/日本YWCA/売買春問題ととりくむ会/日本基督教団東中野 教会社会委員会/ふぇみん読者の会・狭山/町屋新生教会/YMCAアジア青少年センター/「わたしと聖書」の会
*集会の模様を記録したビデオを無料で貸し出しいたします。(ただし、送料自己負担)

 担当幹事西原までお問い合わせ下さい。



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「9月30日JCO臨界事故1周年全国集会」のこの時を覚えて

 9月30日に水戸市内でJCO臨界事故1周年全国集会が雷雨の中行われました。主催は原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、反原子力茨城行動、茨城平和擁護県民会議で、賛同団体としてNCC核問題委員会が連帯しました。県民各層や東京など全国からの参加者が会場となった県教育会館を埋めました。
 この集会に先立って、9月24日に現地の東海村で「許すな、再処理、風化させるな。JCO臨界事故1周年全国住民の集い」などが行われています。この時は、参加者の人の鎖が原発施設を包囲して、一般住民の反・脱原発の強い意志と取り組みの発展の姿が全国紙の地方版に写真入りで紹介されました。
 今、原発と関連施設は何事もなかったかのように以前同じようであるのと、原発に骨までしゃぶられるような原発依存の姿は今も変わりません。このことは今年はじめの地元東海村村議会議員選挙があってもなお、村議会は原発推進の圧倒的絶対勢力ということに表されていることです。通常、事件・事故・出来事から1年と言うのは人々から容易に関心をなくさせ、過去のこととさせるものです。
 しかし、こと今回の事故はそうはさせません。地元民には原発がらみの人間関係の重さの中で、臨界事故放射能・放射線被曝の事実が、「いのちを選ぶ」という大切な現実の問いとして、そうさせないでいます。教会関係では事故以来市内牧師会(超教派 )は問題を共有してきました。他に、県内の原発賛成を標榜するような教会を除けば、原発への幻想に目が覚めつつあります。このことは原発問題がイデオロギー問題やエネルギー問題、環境問題として矮小的に教会に関わりのないこととしようとしても、現地の者には生活そのもののことで、信仰をもって生きようとすればするほど目の前での問いであるのです。自分たちの信仰による判断と言葉が求められたのでした。もちろん、全体がそうであるというのではありません。しかし、「原発に異議あり」の立場が村民の利益に反する異端児のようなものではなくなりつつあることは確かです。初めて私たちが押す脱原発の相沢氏が東海村村議会議員選挙で当選しました。
 9月30日の集会で日本原水禁の代表の発言に「今回の放射線被曝・・・・特に中性子線被曝が広島、長崎の爆心地のそれと匹敵する以上に、とてつもない殺戮と破壊力である」とありました。行政と原発推進企業の今日の姿は、明確に「いのち」を奪うことで歩んできたこの国の歴史の重い負を一顧だにしていないと言っても過言ではないと思うのです。普段、地方の静かな町にいて「いのちを選べ」との言葉は国家権力が見えてくるもの、信仰が真に問われるものと、思いを新たにするものです。

(日本バプテスト連盟 日立バプテスト教会牧師、「原子力行政を問い直す宗教者の会」)



JCO臨界事故1周年全国集会決議 

 昨年9月30日に起こったJCO東海事業所での臨界事故は、日本の原子力史上最悪の事故となりました。政府発表でさえも400名を越える多数の被曝者に加えて、広範囲にわたる放射能汚染、周辺住民の避難、31万人もの屋内退避など最悪の結果を招きました。その中で、大内久さん、篠原理人さんが相次いで亡くなりました。私たちはあらためて、核の恐ろしさを目のあたりにしました。広島−長崎−ビキニ−チェルノブイリと半世紀にわたる核被害に、新たに東海村の名を連ねることになってしまいました。
 この悲劇的な事故から一周年の今日、集会参加者の総意として、以下に決議し、政府及び関係者に申し入れ、対応を求めるものです。

1.政府及び原子力安全委員会の責任を明確にすること。

 JCOの事故責任は明らかですが、事故を引き起こした責任の一端を負うべき科学技術庁や原子力安全委員会は、何ら責任を追及されていません。ズサンな安全審査や許認可を許してきた監督者としての責任が今もって曖昧にされています。それどころか事故の早期の幕引きをはかるために、身内の学者を動員して事故調査委員会を立ち上げ、たった3ケ月で事故調査を終了させました。その中では事故原因などについて十分な議論がなされたとは思えません。私たちは、政府及び原子力安全委員会の責任を明らかにすると共に、第三者機関による事故の徹底究明を求めます。

2.発注者・旧動燃の責任追及と再処理工場再開中止を求めます。
 政府の事故調査委員会では、発注者である旧動燃(現核燃料サイクル開発機構)の責任がほとんど取り上げられていませんが、本来の施設の能力を超えた発注が事故の要因になっており、事故責任の一端を負うものです。「もんじゅ」でのナトリウム漏洩(ろうえい)火災事故、東海再処理工場の火災爆発事故と立て続けに事故を引き起こし「事故隠し」を重ねてきた閉鎖的体質にも原因があります。その旧動燃が現在、再処理工場再開を狙っていますが、地域住民の意見や再処理そのものの国民的議論などを全く無視した運転再開には強く反対し、中止を求めます。

3.被曝者すべてに徹底した補償と心身のケアを求めます。
 この事故により、多くの被曝者を生み出しました。今でも被曝の影響を心配し、不安を持っている人々が存在し、心身のケアや社会的ケアを必要としています。被曝者全てに徹底した補償と救済措置を政府の責任で行うこと。そして広範囲にわたる被曝者に対する徹底した健康調査を行うことを求めるものです。

4.原子力政策の転換を求めます。

 原子力の安全神話が崩れた現在、国民世論も原子力に対して多くの不安を持っています。今こそ、原子力政策の転換が求められています。ヨーロッパでは脱原子力を選択する国々が勢いを増しています。日本だけが、しゃにむに突き進むことは、早晩行き詰まることは明らかです。取り返しのつかない事故がまた再び起こる前に、再処理・高速増殖炉・MOXを始めとしたプルトニウム利用を即時に中止すると共に、脱原子力に向けての原子力政策の根本的な転換を求めます。
                             
           2000年9月30日                          JCO臨界事故1周年全国集会参加者一同

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[NCC情報掲示板]

事務局便り
*NCCより、皆様の所に続々と郵便物が届きます。
どうぞ、丁寧に中身を見てください。
10/11には、「障害者週間」(11月の第2聖日からの一週間)のポスター、「障害者」委員会からのニュースレター、東京近辺の方々には、特別講演会のご案内等をお送りいたしました。
今月末には、国際関係委員会より「わかちあい募金」のお願いが届きます。

*NCCの各委員会では、特別プログラムを企画して皆様にご参加を呼びかけています。お呼びかけは、NCCの加盟教団・団体事務所へ、また、キリスト新聞、クリスチャン新聞、NCCのホームページ等を通して行っています。皆様方の積極的なご参加をお待ちもうしております。また、報告書の作成を心がけております。参加したかったけれどできなかったあの集会の記録をみたい等のご希望がありましたら、ぜひ、事務局にお問い合わせ下さい。

*8月に出版いたしました『いばらの冠』(部落差別問題・人権教育テキスト)がたいへん好評です。ぜひ、皆様も一度手にとってご覧下さい。子どもの礼拝等でもご使用できます。20冊以上のご注文は、送料サービスのうえに、1冊800円とたいへん割安となっております。ご注文をお待ちもうしております。




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