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ムミアの死刑執行停止を求める市民の会
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死の影の谷間から
<死の影の谷間から>
ムミア・アブ=ジャマール/著
今井恭平/訳
現代人文社/刊
これまでの情報ログ

ムミアの再審請求に影


ニューヨークのムミア支援団体から入った情報によれば、ムミア・アブ=ジャマールの再審請求に大きな悪影響を与えそうな決定が相次いで下された。

2003年11月15日

無罪証拠の採用を拒否

 10月8日、ペンシルベニア州最高裁は、州一般訴訟法廷のパメラ・デンブ判事が先に下していた決定を支持した。それは、アーノルド・ビバリーによる自白供述(自分が真犯人であるというもの)、ムミア本人と現場にいた彼の弟の供述調書、ムミア側の主張を裏付け、検察側証人を切り崩す、捜査員や警察への情報提供者による宣誓供述などを証拠として取り上げないという決定である。

 デンブ判事も最高裁も、証拠そのものの評価には言及せず、たんに州法の定める証拠提出期限に遅れているというのである。この州法では証拠提出期限に例外規定があるが、一人の人間の生死に関わる無罪証拠について、例外規定は適用されないというのだ。  

死刑判決破棄を見直す?

 連邦最高裁の動きは、さらに深刻な事態を暗示する。2001年12月、連邦地裁ウィリアム・ヤーン判事が下した死刑判決無効の決定を見直すというのだ。
 ヤーン判決は、1982年の第一審死刑判決を無効としたが、その理由は「陪審員が死刑ではなく終身刑も選択しうることについて正確な説明を裁判官から受けていなかった場合、死刑は無効」という1988年のミルズ判決およびミルズ判決の効力は過去にさかのぼって適用できるというバンクス判決という2つの判例を根拠としている。それに対し、連邦最高裁はバンクス判決の見直しを決定した。バンクス判決がくつがえされるとミルズ判決は82年のムミア裁判には適用されず、死刑判決を無効としたヤーン判決は判例の根拠を失うことになる。  

「声なき者の声」のたたかいに連帯を!

 ムミアは1954年フィラデルフィア生まれの黒人ジャーナリスト。貧しい者、迫害される者の側に常に立つその報道姿勢から「声なき者の声」Voice of the Voicelessと呼ばれる。1981年12月、白人警官が何者かに射殺された事件に巻き込まれ、一貫して無実を主張するが、人種差別と政治的偏見に凝り固まった裁判の結果、死刑判決を受ける。1995年以来再審請求を続けている。
 また彼は、獄中から米国のコソボ、アフガン、イラクなどへの軍事侵略に対する根底的な政治暴露と批判を繰り広げている。
  世界中で彼の無実を信じる人たちの運動が、これまで彼をかろうじて死刑台から守ってきた。「声なき者の声」を消し去ろうとする米国の反動支配層の意図を許さない運動の継続がいま問われている。