ニュース第57号 00年6月号より

空飛ぶモニョンゴロ村 

      モニョンゴロ村世話人 佐藤隆司

 

 園田さんより原稿書きの依頼を受けてしまった。森づくりフォーラムで受け付けてくれるあの森林ボランティア保険には大変お世話になっているので、恩を仇で返すわけにはいかず気軽に引き受けてしまったのだが、いざ、専門紙に文章を書くとなると、犬やヤギに眉毛を書くようなお気楽、ごじゃっぺ(栃木弁でいいかげんの意味)モードではいかんだろうし。困ったものだ。トホホ

 と嘆いてすでに140字、まずは専門的な高度なことは書けないことはお許しを。本当は貴重な紙面をお借りする以上、空飛ぶ百足村の山仕事活動について限定すべきなのでしょうが、林業と間接的には関係のあることも多いので、この場をお借りして村の活動をご紹介させてください。

●空飛ぶモニョンゴロ(キクユ語でむかでの意味)村

 いかにも怪しげな宗教団体のようなこの名前だが、実はどこの宗教とも関係がない。また、どこか特定の政党とも結び付きもなく、イデオロギーや国境にとらわれることもない小さな広場のようなものです。そして村について無理に定義付ければ、「空飛ぶ百足村」は等身大の農林水産業・福祉・教育・環境・NPO・NGO支援活動などを通じて「ひと・もの・こころとは?」「生きるとは何か?」を考える出会いの場と言ったら良いのかもしれません。

 百足村の「百足」はむかで競争の「むかで」。どんなに最強の99人でも疲れ弱っている人1人に合わせられないと転んでしまう百足競争から由来しています。

●活動の紹介

【村立むかでの学校】

 毎月、各方面の先生を交え「生きることは何なのか」、お話しを伺ったり、実際に等身大の技術を習ったりするための学校です。卒業はありません。どなたでも随時入学・退学できます。1講座終了ごとに1単位習得です。習得証明書は先生を囲んでの記念写真とサインと一言です。

・むかでの学校には入学試験も卒業試験もありません。むかでの学校には専業の先生も生徒もいません。すべての人が先生で生徒だからです。むかでの学校は「空飛ぶ百足村」の学校です。

・これからの講座の予定は

・「熱帯材貿易から見た森林問題」

 古沢紘造さん:駒沢大学アフリカ経済学

・「山での暮らし75年・鎌と鉈の研ぎの実際」

 柳岡長男さん(元芳賀北部森林組合柳岡班班長)

・「牛乳からモッザレッラ・チーズ、ストリングス・チーズ を作って食べよう」石井文子さん(牧場で乳牛を飼育)

・「老いについて。介護の実際」

 阿久津美幸さん(ホームヘルパー1級・福祉施設職員)

その他、多くの先生に参加していただく予定です。

 

【村立図書館アフリカ文庫】

 1000冊近いアフリカ関連本を地域の人に無料で貸し出す小さな図書館です。アフリカを通じて自分の生活や生き方を考えてもらう施設です。アフリカ本以外も多くの本がありますので、読書で心を癒されたい方はぜひともご利用下さい。

【福祉喫茶店兼フェア・トレードショップ(計画進行中)】

 知的ハンディをもつ友人たちの夢ある就労場所を作るため、また利用者のくつろぎの場所を提供し、第3諸国支援のためフェア・トレード商品を始めます。「もの」には必ず意義があります。良いものを購入し、適正な利益を現地の村人に返すことは誰にでも簡単にできる国際貢献です。現在はアフリカ文庫の場所を借りて、環境に優しい石鹸をはじめ、近くの福祉施設で作った再生はがきなどを販売しています。

【村の薪屋】

 クヌギ、コナラ、サクラ、クリ等、里山の樹木が中国産のシイタケに押されたり、薪や炭材として売れずに放置されています。「だったら太くすればイイじゃん。」「ち、ちょっと、待って!」

 太くなり過ぎた樹木からは「ひこばえ」が出ずに切り株は再生できずに死んでしまいます。モニョンゴロ村ではそんな里山を大事にするために薪屋を始めました。薪の利益は福祉喫茶店建築資金に充当されます。現在、業務用薪割機を40万かけて購入しました。マイナスからの出発です。どなたでもできる簡単な作業なのでボランティアさんを募集しています。あなたの優しい気持ちお待ちしています。

【村の合宿所・だんご虫山荘】

 遠方からの参加者が利用できる合宿所です。一泊3モニョンです(モニョン紙幣を得るためには、ボランティア活動が必要です)。モニョン紙幣がない方は外貨で500円です。

【村立ブルーベリー農園】

 空飛ぶモニョンゴロ村の活動資金を得たり、土を身近に感じてもらうための畑です。現在、300本ほどのブルーベリーを植えてあります。苗がまだまだ小さく恐縮ですが1本2千円で村民になって、活動維持のためご協力いただきますと1年間オーナーになれます。摘み取りはオーナーさんのご自由。何口でも可能なのでご支援下さい。

 

 毎春に地元の森林組合に協力していただき、大学生に山仕事を経験してもらう森林体験塾を開いてきました。今年で5年目になるこの催しはこれまで「南やみぞ山地森林体験塾」として、独立の活動としてきましたが、これからは通年で行う「むかでの学校」の授業の一部になります。これからも地拵え、植林、枝打ち、草刈り、除間伐、搬出を体験する講座になると思います。

 モニョンゴロ村の活動を紹介しましたが、何かの機会にでも一度お越しください。

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