ICRPによる放射線防護基準改悪反対!
5月17日広島行動の報告

 5月17日、ロジャー・クラークICRP委員長の招待講演が行われる日、私たちは、国際放射線防護学会(IRPA[注1])が開かれている広島国際会議場前で、ICRPによる被曝防護基準改悪に反対する抗議行動を行いました。「プルトニウム・アクション・ヒロシマ」と「阪南中央病院東海臨界事故被害者を支援する会」との共同行動です。
 「放射線防護基準改悪反対!」「DON'T WORSEN RADIATION PROTECTION SYSTEM!」と書いた大きな横断幕を掲げ、ハンドマイクによるアピールを行いながら、会場に入る学会参加者に、日本語と英語で作った声明文を配りました。そして、クラーク委員長の講演が始まると、会場に向けてシュプレヒコールを行いました。[注2]
 その後、原爆ドーム前と、商店街で広島市民に向けたビラまき行動を行いました。「被曝基準改悪に反対しましょう」と訴えながらビラを渡すと、非常に受け取りが良く、「被曝」という言葉に対する広島市民の思いを実感しました。被爆の「語り部」を長年やっておられる市民の方は、ビラを丁ねいに受け取ってくださいました。
 ビラまき行動の後は、新聞、通信社、テレビ局各社との記者会見です。18日の朝刊には、「市民グループが放射線線量限度緩和反対訴え(中国新聞)」「広島の市民団体抗議(毎日新聞)」と大きく取り上げられました。
 私達は、ICRPによる被曝防護基準改悪への批判にまだ着手したばかりです。しかし、ICRPと推進派がこれから始めようとしている策動の端緒において、小さいながらも「NO」の声をあげてきました。被曝基準改悪に反対する具体的な行動の第一歩となりました。今後もさらに、東海事故被曝切り捨て、そして基準改悪の問題に取り組み続けて行こうと決意を新たにしています。(2000年5月19日)

[注1]国際放射線防護学会(IRPA)は、米欧、日本など42カ国の関連学術団体が加盟する大きな国際学会であり、1966年に結成されました。単なる学術団体ではなく、ICRPの活動の「科学的」な支柱として、各国政府、推進派と密接な関係を持つ、政治的な性格を持つ組織です。今回広島で開催されている第10回大会初日には、秋篠宮が来広し、大会そのものに参加しました。政府・推進派にとってのIRPAの重要性を示すものです。また、放射線防護に「貢献」した人物に与えられるシーベルト賞が前放影研理事長の重松逸造氏に、日本人で始めて与えられました。

[注2]今回の広島行動で特徴的だったのは、学会主催者側の異常なまでの過剰反応ぶりです。声明の配布を始めるやいなや「許可は得てるのか」「敷地内で横断幕を張るな」等々、しつこく妨害を繰り返しました。どうもBNFLと関係があるらしい英国からの参加者の一人は「放射線よりタバコの方がはるかに害は大きい」などという議論を吹っ掛け、妨害を行おうとしました。アメリカからの参加者は、自然放射線とたいして変わらない等々の意見をわざわざ言いにきていました。ドイツからの参加者は、このような批判活動は非常に重要だと語り、声明を知り合いにも渡したいからほしいと言ってくれしまた。また、会議場前での予定の行動を終了した後、私たちが休憩のために会議場内の喫茶室に入るため会館内に入るやいなや、市民の立ち入りは全く自由であるにも拘わらず、10名以上の大会関係者と私服警察官までもが私たちを取り囲むように着いてまわり、写真を撮るなど、嫌がらせを続けました。本当に腹立たしい限りでした。アジアで始めて、もちろん日本で始めての開催であり、その上、ICRP委員長が次期勧告に向けた基準改悪の口火を切る場でもあったということで、反対派をなんとしても排除しようという意図の現れです。(H)





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