プルサーマルを巡る動き


7月26日:「刈羽村生命を守る女性の会」、村長に質問書を提出
 「刈羽村生命を守る女性の会」は、品田村長に対し、MOX燃料は健全と判断する根拠を問う質問書を提出。約1時間半にわたって交渉を行った[同行記参照]


7月25日:柏崎刈羽原発の取水口に大量のクラゲ
 東京電力は定例記者会見で、柏崎刈羽原発の取水口に、大量のクラゲが集まっていることを明らかにした。クラゲの量は累計で約3000立方メートルで、クラゲが原因で出力を下げた1999年の量をすでに上回った。


7月23日:上高町集落を皮切りに「対話集会」スタート
 村長の地元である上高町集落から「対話集会」がスタートした。この日の集会には約70名の住民が参加。住民からは、「反対の投票結果が出たのに、計画受け入れの白紙撤回をできなかった議会に不満がある」「燃料装荷直前の微妙な時期に集会を開くのには疑問がある」「民意を判断するのなら、もう一度住民投票をやるべきだ」等、反対意見が出た。一方、「投票結果とエネルギー政策への影響に、誰も責任を取らない」「東電は集落の利害にもかかわり、推進にならざるをえない」等、賛成側の意見もあった。また、聞いた意見をどう集約するのか問う声もあがったが、これに対して品田村長は、意見集約の仕方に「決まったシナリオはない。どう結論づけるかは、まだ分からない」と答えるにとどまった。


7月22日:「私たちの声を村政に届ける会」、品田村長に申し入れ
 「私たちの声を村政に届ける会」は、品田村長に、昨年の住民投票の結果を尊重するよう申し入れた。


7月22日:刈羽村議会議長ら、平沼経産相と東京電力に、決議を報告
 刈羽村の近藤宏栄村議会議長らは、経済産業省、東電本店を訪れ、6月27日のエネルギー政策に関する決議についての説明をおこなった。経産省は平沼大臣が対応した。近藤議長は「住民投票以来続いていた、エネルギー政策について議論することへの制約がほどけた」と報告。経産相は「全力で努力したい」「現地にも行きたい」と述べた。東電では、南社長や幹部らと30分にわたって意見交換が行われた。


7月18日:住民投票条例を直接請求した「私たちの声を村政にとどける会」は「対話集会」で声をあげていくことを確認
 村長が集落懇談会の開催を決定したことを受け、住民投票条例を直接請求した「私たちの声を村政にとどける会」は村内で会合を開催。「対話集会」に出席して、プルサーマル計画に対する声をあげていくことを決定した。



7月17日:原発反対3団体、県・市・村に申し入れ
 原発反対3団体は、昨年の住民投票で村民の意思はすでに示されているとして、三者会談でプルサーマル実施を認める判断を下さないよう、県・市・村に申し入れた。これに対して品田村長は、「投票結果が未来永劫生き続けるというものでもない。民意の変化はあり得るものだ」と述べた。


7月16日:品田村長、各集落の区長を集め「対話集会」への協力を要請−各区長から困惑の声があがる
 品田村長は、村内20集落の区長を役場に集め、集落懇談会を巡る話し合い(事務嘱託員会議)を非公開で実施。村長は各区長に、開催について協力するよう要請した。区長からは「賛否が激しく対立したり、村長が後で判断するためとなると、集落運営が大変になる」「住民投票では静かに反対した人もおり、そういう人は会に出てこない」等の懸念や意見が出された。これらの懸念に対して村長は、終了後「出席できない人には村長あてのはがきの利用して意見把握をしたい」と説明。この時点で、23日の上高町を皮切りに8月9日まで9集落での開催予定が決まった。


7月15日:村議会で旅費180万円の補正予算可決−「訪欧はプルサーマル強行のための周到に準備されたものだ」との批判
 刈羽村臨時議会は、品田村長のベルゴニュークリア社への出張旅費を含む一般会計補正予算を可決。一般会計補正の追加には、村長と担当課長の旅費、通訳料計180万円が含まれている。村長は、エネルギー政策に関する決議の可決の翌日、28日に経済産業省柏崎刈羽地域担当官事務所に相談、欧州出張の手配を依頼していたことを明らかにした。質疑で近藤容人村議は「訪欧はプルサーマルを強行するため以前から周到に準備していたのではないか」と質し、「訪欧はプルサーマル強行のための旅行だ」と批判した。


7月11日:帰国した品田村長、MOX燃料は「健全だと確信」と述べるも、パソコンでの「確認」はわずか30分、燃料データの公開も拒否されたことが明らかに
 品田村長はベルゴニュークリア社視察について記者会見し、「検査データの健全性を確認できた」と述べた。品質検査データの調査には、東電社員が立会い、検査データの呼び出しを村長が無作為に指示し、パソコンの画面上にデータをグラフ化する形で行われたと村長は説明。「図示されたペレットのデータはいずれも規格通りの外形寸法を示しており、指摘されるようなデータ改ざんがないことを確信した」と述べ、「この目で見たことを正確に村民に伝え、意見を聴取したい」と述べた。しかし、パソコンの画面上で直接データを確認したのはわずか30分間。しかも燃料データの公開については拒否されたことも明らかにされた。


7月11日:東京電力、「地元の理解は首長の判断が最も重要」と、8月下旬の三者会談を計画実施の判断根拠とすることを表明
 東京電力は柏崎刈羽3号機の定検計画書を、経済産業省と、県・柏崎市・刈羽村に提出。計画書の注釈で東電は、プルサーマルについて「地元の理解に引き続き努力し、その状況を踏まえた上で、当該燃料の装荷時期までに判断する」と述べた。定検は8月10日から46日間。MOX装荷が行われる可能性があるのは、8月下旬から9月上旬に予定されている燃料交換作業。柏崎刈羽原発所長は、定例記者会見で「理解活動に手ごたえを感じている」「村民の理解は得られている」とした上で、「地元の理解は首長の判断が最も重要」と住民投票結果を踏みにじる発言。8月下旬の三者会談の結果をMOX装荷の判断の根拠とする意向を表明した。また、仮に判断が9月中旬までずれ込んでも、装荷は間に合うとし、「これまで不具合が見つかって工程を変更することはままあった」と検査の延長にも含みをもたせ、ぎりぎりまで三首長の判断を待つ姿勢を示した。


7月10日:新潟県平山知事、「国内一番手もあり得る」と発言
 新潟県の平山知事は、定例記者会見で「国内一番手(の実施)もあり得る」と発言。「一番手には違和感を感じる」としていたこれまでの引け腰から一転、積極推進へと姿勢を変化させた。知事は、判断材料として刈羽村での「対話集会」を挙げ、「一番大事なのは、住民の本音としてどういう声が聞かれ、村長がどう判断するかだ」と述べた。


7月6−10日:品田村長、欧州視察旅行
 品田村長はベルギーとフランスを訪問。ベルゴニュークリア社と「第三者認証機関」AVIを視察。


7月5日:三者会談が開催−「対話集会」を受け8月下旬の再協議で実施を判断
 プルサーマル計画実施の可否について、新潟県の平山知事、西川市長、品田村長による三者会談が、県庁で行われた。三首長は、実施の容認・延期の判断は先送りにしたが、「対話集会」の結果を受け、8月下旬に再協議の上判断することを確認。


7月4日:反対派村議が、村長に公開質問状を提出
 近藤容人村議ら三人の村議は、品田村長のベルギーとフランス視察について「訪問の目的は何か」等、8項目の公開質問状を村長に提出。


7月4日:新潟県の産業労働部長、プルサーマル全国初実施もありうると発言
 新潟県の産業労働部長は、県議会産業経済常任委員会で、住民の理解があれば、全国初のプルサーマル導入もありうる、と発言。


7月4日:福井県高浜原発から、MOX返還輸送船が出航


7月1日:品田村長、村内全20集落での「対話集会」開催を表明
 品田村長は社民党国会議員団との懇談会で、プルサーマル計画への村民意見を聞く集落単位の「対話集会」を7月中に開催する意向を表明。6月27日の村議会での決議を受け、「村内に20ある全集落で集会を開く」「集会で住民投票から一年を経過した村民意識を探り、プルサーマル問題への村長としての判断材料を得たい」と述べた。また、MOX燃料の品質問題調査のため、ベルゴニュークリア社を近く訪問することも明らかにした。また同日の記者会見で、柏崎の西川市長もベルゴニュークリア社と仏メロックス工場を視察する意向を表明した。


6月30日:「刈羽村生命を守る女性の会」が決議賛成議員に質問状を送付
 「刈羽村生命を守る女性の会」は、「国のエネルギー政策に関する決議」に賛成した議員全員に、公開質問状を送付。


6月28日:品田村長、経済産業省に欧州視察旅行の手配を依頼
 品田村長、経済産業省に、欧州視察旅行の手配を依頼。(帰国後15日の村議会臨時会で明らかにされた。しかし、7月1日にベルギー行きを表明、6日からの訪欧であり、28日よりもっと以前から経産省と相談して決めていたことは明らか)


6月27日:村議会で「国のエネルギー政策に関する決議」が可決−「プルサーマル論議の凍結が解けた」と品田村長
 刈羽村議会の6月定例会において、原発推進派の提案した「国のエネルギー政策に関する決議」が賛成15、反対1で可決。決議の内容は、東電に継続的な理解活動、国には継続的な税財源の確保を求め、村長には「村民の意見をくみ上げる努力を行い、もっとも適切な行政判断を行うこと」を求めるもの。品田村長は閉会後、決議に関して「住民投票の結果がすべてという議会の空気が確実に変わった。プルサーマル論議の凍結が解けた。もう少し踏み込んで村民の意見を聞きたい」と述べ、プルサーマル問題について村民との懇談会を開く考えを示した。