美浜の会ニュース No.61


BNFLは「死の商人」 劣化ウラン弾を製造

 BNFLが劣化ウラン弾を製造していたことが明らかになった。BNFLはイギリス「ガーディアン」紙のインタビューに答えて「湾岸戦争の間、劣化ウラン弾の部品を国防省に供給していた」と認めた[1月12日付ガーディアン]。BNFLジャパンも国防省に劣化ウランを供給していたことを認めている。また、グリーン・アクションと私達は英国の核問題専門家デイビット・ローリー博士に報告書「BNFL社の軍事部門への関与に関する背景説明」を依頼した。デイビット博士の質問に対し、BNFLは「90年代初めまで、劣化ウランを国防省に供給していた」ことを認めた。
 米国・英国は、湾岸戦争で、さらにバルカン諸国に対して、大量の劣化ウラン弾を使用した。米国の帰還兵や欧州の兵士達、さらにはイラク等の子供や住民達に、白血病・ガン、先天性欠損、免疫不全等々多くの放射能被害が発生している。
 BNFLは、実際に使用された劣化ウラン弾=核兵器の製造にたずさわった。まさに、死の商人である。

BNFLは湾岸戦争以降も劣化ウラン弾を製造

 BNFLは湾岸戦争以降も劣化ウラン弾の製造に深く関与している。それを裏付けるのが、米国NRCが発給した劣化ウラン輸出ライセンスである。私達はこの輸出ライセンスをグリーン・アクションとともに入手した。
 1993年9月のライセンスXSOU8725では、BNFLの米国子会社であるBNFLInc.から、イギリスのBNFLへ約120トンの劣化ウランの輸出が承認されている。120トンの劣化ウランは、2万4千発の劣化ウラン弾に相当する。湾岸戦争で米・英国が使用した劣化ウラン弾は、約320トン。決して少ない量ではない。
 このライセンスでは、劣化ウランの供給者として米エネルギー省の名前が挙げられている。輸出される劣化ウランの用途について、95%が砲弾等の軍事製品用であり、5%が航空機や船舶のバラスト等の民生用であると規定されている。
 BNFLの手に渡った劣化ウランは、ランカシャー、プレストンにあるBNFLのスプリングフィールド工場で、イギリス軍の戦車(チャレンジャー)に使う、120mm砲弾の最重要部品に加工される。その後、その砲弾は、仕上げとテストのために、英国銃砲特殊金属(Royal Ordnance Speciality Metals Ltd.)と英国銃砲会社(Royal Ordnance PLC)に引き渡される。
 WISEアムステルダムによれば、BNFLは、これ以前にも、3つの輸出ライセンスを取得している。

「BNFLが劣化ウラン弾を製造していたかどうかは知らない」関電広報

 2月27日、グリーン・アクションと美浜の会の呼びかけで、関電に出向いた。福島県知事が「福島T−3プルサーマル見直し」を県議会で正式表明し、実質1年間はプルサーマル延期が確実となった時だった。「劣化ウランを製造したBNFL社との関係を絶つことを直ちに公に表明すること。プルサーマル計画を中止すること」を求める申入書を渡し、約1時間の交渉を行った。
 広報職員はニヤニヤしながら、「BNFLが劣化ウラン弾を製造していたかどうかは知らない」を繰り返すばかり。これに対し「知らないことそのものが大問題」「知らないでは済まされない」と参加者は厳しく追及。1週間後に文書で回答するよう要求したが、今だに「まだ分からない」と逃げている。20年以上にわたってBNFLとの取引を続けている関電が知らないわけがない。このことが公になるのを恐れているのである。

米国でのウラン濃縮の廃棄物が劣化ウラン弾の原料
関電分の劣化ウランが劣化ウラン弾に混入している可能性も


 劣化ウラン弾は、ウラン濃縮の過程で大量に生み出される核廃棄物を原料としている。原発の核燃料1s当たり、5〜10sの劣化ウランが廃棄物として生み出される。米国では50万トンもの劣化ウランが蓄積されている。核廃棄物が、安価で、人々を殺傷する核兵器として生まれ変わっているのである。また、再処理で生まれた劣化ウランも原料として使われていたことが最近明らかになった。
 日本の核燃料製造のための濃縮は、大部分を米国USEC社に依存している。米国の劣化ウラン弾の原料は、このUSEC社が供給している。日本の核燃料製造の過程で生じた劣化ウランが、劣化ウラン弾に混入している可能性も否定できない。
 交渉でこれらの点を追及されると、関電は「今は分かりません」を繰り返すばかり。関電分の劣化ウランは区別して管理され、劣化ウラン弾に混入していないのか等、交渉で問題になった点をまとめて質問書を提出した。私達は、1週間後に文書で回答すること、担当部署との交渉を要求した。しかし3/9の関電の回答は、3/23〜30の間に広報職員が口頭で行うというものである。

死の商人=BNFLといっさい手を切れ!

 BNFLのビジネスは、MOX燃料・核燃料の加工・製造、再処理といった放射能汚染をたれ流す「民生分野」にとどまらず、劣化ウラン弾の製造という「核の軍事利用」にまで及んでいる。BNFLは英国の核兵器戦略の根幹に位置する企業である。
 MOX燃料のデータねつ造、その後も続く安全無視の数々。その上に、劣化ウラン弾の製造。こんな企業と取引を続けることは、もはや許されない。BNFLとの取引は、全ての電力会社に及んでいる。各地でこのことを広く宣伝していこう。
 福島県知事はプルサーマル1年延期を表明した。続いて新潟県知事も新潟が最初になることは認められないと表明。これら知事の発言の背景には、東電MOX裁判、刈羽村の住民投票条例制定運動、新潟県での署名運動等の大きな力が存在している。プルサーマル計画の1年延期から、中止へと追い込もう。
 関電はMOX製造の新契約を行うな! プルサーマル計画を中止せよ!再処理契約を破棄せよ!


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