資5 読者の皆様へ…
お詫びと訂正 文案


読者の皆様へ…お詫びと訂正 (文案)

995年9月〇日

                        栗 本  慎一 郎
                             「週刊SPA!」編集部

 

本誌「週刊SPA!」(1992年4.29/5.6合併号)32〜33頁に掲載した「栗本慎一郎の脱帽的ニュース新論−『甲山事件上告棄却 学園内の小権力のほうが国家権力よりも恐い!?』」という連載記事のなかで、以下の諸点について誤記および誤解をまねく記述がありましたので、訂正します。
 併せて、このコラムにより多大な被害を被った甲山事件の山田悦子被告、訴訟関係各位にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申します。

1.訂正個所は次のとおりです
@32頁2段目1行目「神戸地裁の判決は無罪だった。だが、事件から3、4年たったあとで、ほかの園児たちの証言が改めて取り上げられた。」
 事実は、逮捕―不起訴釈放―再捜査(事件から3〜4年後に初めて出てきた園児供述)―事件から4年後の再逮捕(二次)―起訴―神戸地裁無罪判決‥‥という経過です。ですから、一審無罪の後「園児新証言」が出てきたかのごとき記述は誤りです。因みに、これら園児証言は神戸地裁において審理され、判決では証明力のないものとして排斥されています。
 
A同頁2段目8行目「大阪高等裁判所は有罪の判決を下した。」事実は「一審判決破棄、神戸地方裁判所へ差し戻す」という、「差し戻し」判決です。

B同頁4段目終わりから4行目「『園児の証言を妥当とする論告に対し、高らかに軽蔑したかのごとき大声で(被告が)笑った』」
『』内のような事実は報道されたものの中にも見あたらず、事実と相違します。
その後に続く、「書き方への心証は有罪だった」という箇所についても訂正・撤回します。

2.読者に誤解を与えかねない表現箇所
 本誌の当該コラムは、甲山事件を別角度から切り拓こうと試みたものであり、当時警察 によって発表された新聞記事、週刊誌等の報道に基づいて、筆者の印象をまとめたものです。
  「この保母が殺された園児を抱き抱えて浄化槽のほうへ行ったなどの行動を見たという証言」、「教員一同が、残った園児たちの証言を抑える動きがあった」、「『変なことをいってはいけませんよ』とばかりの抑圧がかけられた(といわれる)」「精神薄弱者には証言能力がないと主張せんばかりであった」等の記述箇所は現在、裁判で重要な争訟点となっています。
 ことに、「蓋は重くて子供が持ち上げられるようなものではない」(32頁1段目15行目)、「園児がおそらくは内部の者の手によって殺されたのだ。」(33頁2段目15行目)という記述については、園児たちが浄化槽の蓋を開けて物を投げ入れて遊んでいた事実、一人の女子園児の死亡については自分が関与していたとする別な園児の法廷証言もあり、弁護側は殺人ではなく「事故説」を強く主張するなど、裁判所の判断が注目されるところであります。
 刑事裁判の報道やそれを論じるものとして、判決確定まで被告は《無罪の推定をうける》という基本的立場をとりつつ、今後も同事件を見守り、さらに報告をまとめたいと考えています。
 読者諸兄のご容赦、ご理解をお願いするものです。                                

           

 以上


この文案に関して扶桑社は基本的に同意したが、栗本慎一郎氏、その代理人のN弁護士との交渉が頓挫している

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