現代企画室

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昭和テンペスト

猪俣良樹/著
2017年11月刊行
定価2700円+税
4-6並製・432頁
ISBN978-4-7738-1724-9 C0021

時代は、アジア・太平洋戦争を挟む1930年代から1950年代まで。舞台は、東京、神奈川、筑豊、満州、上海、浅草。実在した作家、鹿地旦の波乱万丈の動静と、幻のダンサー、上海リルの軌跡を結びあわせた先に見えてきたものは?
戦争へと向かう社会の実相を明かすエンターテインメントの荒業!

「上海リル」日本の敗北から間もない1951年、一斉を風靡した歌があった--「上海帰りのリル」”♪船を見つめていた ハマのキャバレーにいた/風の噂はリル 上海帰りのリル リル/あまい切ない思い出だけを/胸にたぐって探り歩く/リル リル 何処に居るのかリル/だれかリルを知らないか♪

敗戦時の在外軍人と民間人が600万人もおり、敗戦から1年半後の46年末までに500万人もの引揚者がいた日本では、戦争で引き裂かれた忘れ難いひとを捜し歩くこの歌が、人びとの心を惹きつけたのだろう。

上海は、生前の日本人が「活躍」した街で会った。アヘン戦争後、「条約港」として開講させた上海には、イギリス、フランスなどの外国人が警察・行政などの管理を行う一定の地域があって、「租界」と称された。のちには、日本、米国もこれに加わった。第一次大戦から第二次大戦にかけての1920年代から30年代、国際都市上海は「魔都」と呼ばれ、ナイトクラブ、ショービジネスが隆盛を極めた。新居本はここを根城に、中国侵略の道を突き進んでいった。戦後の流行歌「上海帰りのリル」は、明らかに、この上海の繁華街で華やかな時代を送り、敗戦後引揚げたひとるの女性を空想して、作詞されている。

【著者紹介】猪俣良樹(イノマタ ヨシキ)

作家、ジャーナリスト、脚本家。元NHK国際局チーフ・ディレクター。主著:『日本占領下 インドネシア旅芸人の記録』(めこん 1996)、『パリ・ヴェトナム 漂流のエロス』(めこん 2000)、『黒いヴィーナス ジョセフィン・ベイカー』(青土社 2006)、『植民地を謳う シャンソンが煽った「魔性の楽園」幻想』(現代企画室 2011)