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北西の祭典

アナ・マリア・マトゥテ/著
大西 亮/訳
2012年4月刊行
定価2200円+税
4-6上製・200頁
ISBN978-4-7738-1212-1 C0097

1936年——著者マトゥテが11歳の時、あのスペイン内戦は勃発した。多感な少女の胸には、苛酷な内戦のいくつもの記憶が刻まれた。

1953年——内戦に勝利したフランコの独裁体制は強固に続いていた。作家に成長していた著者は、〈兄弟殺し〉とも言うべき内戦の酸鼻な記憶を、聖書に記されたカインとアベルの物語を踏まえて、本作品に形象化した。

2010年——この閨秀作家は、セルバンテス賞を受賞した。



「物語ることはすなわち生きること」という信念に変わりはない。



〈セルバンテス賞コレクション〉

スペイン文化省は1976年に、スペイン語圏で刊行される文学作品を対象とした文学賞を設置した。名称は、『ドン・キホーテ』の作家に因んで、セルバンテス賞と名づけられた。以後、イベリア半島とラテンアメリカの優れた表現者に対して、この賞が授与されている。このシリーズは、セルバンテス賞受賞作家による、スペイン語圏の傑作文学を紹介するものである。

【著者紹介】アナ・マリア・マトゥテ(マリア,A.A.)

1925年、バルセロナの中流家庭に生まれる。カインとアベルの物語に着想を得た小説『アベル家の人々』(1948)で作家としてデビュー、『北西の祭典』(1953)、『人形芝居』(1954)、『亡き息子たち』(1958)、『最初の思い出』(1959)、『アルタミラ物語集』(1961)、『兵士たちは夜に泣く』(1964)、『罠』(1969)など、幼少期の思い出や内戦の記憶に支えられた作品を発表し、カフェ・ヒホン賞やプラネタ賞、ナダル賞をはじめ、数々の賞を獲得した。中世ヨーロッパを舞台とした英雄譚『望楼』(1971)を世に送り出す一方、ファンタジーや友情、夢や希望を明るく歌いあげた子供向けの物語も数多く手がけ、83年には『片っぽだけ裸足』で国民児童文学賞を受賞する。その後もいくつかの長篇や短篇小説を執筆、『望楼』につづく中世ヨーロッパものの大作『忘れられたグドゥ王』(1997)や『無人のパラダイス』(2008)などがよく知られている。97年、女性としては史上三人目となるスペイン王立アカデミーの正会員に選ばれ、2010年にはスペイン語圏でもっとも権威ある文学賞のひとつセルバンテス賞を受賞、国際的な名声を不動のものとした。

【著者紹介】大西 亮(オオニシ マコト)

1969年横浜市生まれ。現在、法政大学国際文化学部准教授。専門はラテンアメリカ現代文学。訳書にアドルフォ・ビオイ=カサーレス『メモリアス』(現代企画室、2010年)、セルヒオ・ピトル『愛のパレード』(同、2011年)がある。

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