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異境

デイヴィッド・マルーフ/著
武舎 るみ/訳
有満 保江/解説
2012年2月刊行
定価2400円+税
4-6上製・312頁
ISBN978-4-7738-1206-0 C0097

ときは19世紀半ば、ところはクイーンズランド開拓の最前線。荒削りな自然の猛威にさらされ、

人びとが身を寄せあって暮らす辺鄙な町に、アボリジニに育てられた白人の男、ジェミーが現れた。

言葉をとりもどし、ヨーロッパの側に帰ろうとするジェミーを、人びとは戸惑いつつも受け入れる。

しかし彼の存在は、平穏だった町にやがて大きな亀裂を生みだしていく。



異質なふたつの世界の接触と変容を、両者に帰属し両者から疎外される存在を軸に

複数の視点から描く現代オーストラリア文学を代表する傑作、待望の邦訳。



「オーストラリア現代文学傑作選」刊行スタート!

「単一民族・単一文化」の白豪主義から、多文化・多民族の現実に目を向け、「差異」のアイデンティティへの転換をはかるオーストラリア。先住民や世界各地からの移民と共存する社会を目指す動きは、多様な背景に彩られた、豊穣な文学的成果にいま結実しつつあります。「オーストラリア現代文学傑作選」は、オーストラリアに出自をもつ、あるいは同国で活動する同時代の作家の文学作品を、10年をかけて1年1作のペースで紹介していくシリーズです。

【著者紹介】デイヴィッド・マルーフ(マルーフ,D.(デイヴィッド))

1934年、クイーンズランド州ブリスベン生まれ。父方の家族はキリスト教徒のレバノン人で、1880年代にオーストラリアに移住。母方はポルトガルに祖先をもつユダヤ系イギリス人で、第一世界大戦直前にロンドンから移住してきた。クイーンズランド大学で学び、卒業後に同大学にて2年間、教鞭を執る。24歳でオーストラリアを離れイギリスに滞在、ロンドンとバーケンヘッドで教職に就く。1968年に帰国後、77年までシドニー大学で英文学講師。現在は専業作家として、オーストラリアとイタリア南トスカナで暮らす。『想像上の人生 An Imaginary Life』(1978)で1979年度ニューサウススウェールズ州首相賞、本作品『異境 Remembering Babylon』(1993)で1993年度の同賞を受賞するなど、国内の重要な文学賞を多数獲得。『異境』は1994年度のブッカー賞の最終候補にも残るなど、オーストラリアを代表する作家として国際的にも高い評価を受けている。ほかに詩集も6冊出版、オペラの台本を執筆するなど多面的な創作を行なっている。

【著者紹介】武舎 るみ(ムシャ ルミ)

1958年、東京に生まれる。学習院大学文学部英米文学科卒。現在、マーリンアームズ株式会社取締役、翻訳家。主な訳書に、ジョーゼフ・キャンベル『野に雁の飛ぶとき』(角川書店、1996)、ウィリアム・アリスター『キャンプ—日本軍の捕虜となった男』(朔北社、2001)、カレン・アームストロング『神話がわたしたちに語ること』(角川書店、2005)、ヘンリー・ミラー『薔薇色の十字架刑—プレクサス』(水声社、2010)などがある。

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