現代企画室

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リナ

姜 英淑/著
吉川 凪/訳
2011年10月刊行
定価2500円+税
4-6上製・292頁
ISBN978-4-7738-1113-1 C0097

母国の過酷な状況を逃れて国境を超えた22名の脱出者たち。そのひとりとしての少女リナ。彼女たちを待ち受けるものは何だったのか? 国境の向こう側には、夢見たものがあったのか? 殺人、人身売買、強姦、麻薬、売春——次々と襲いくる悲惨な出来事を乗り越えて、リナはいかに生きたのか。国家はもとよりふつうの意味での家族すら捨てたリナが選んだ新しい家族の形とは?



脱北した若い女性リナの、悪夢のような流転を読みながら、私は日本社会の労働者や路上生活者と接している気分でいた。

闇の労働市場で売られ続けるリナは、世界の奴隷ワーカーの輝ける象徴だ。

激しい怒りも悲しみも虚無もすべて飲み込んで成長するリナを、私はおののき崇める。(星野智幸)

【著者紹介】姜 英淑(カン ヨンスク)

1966年、韓国江原道春川に生まれる。ソウル芸術大学文芸創作科卒。短篇小説「8月の食事」が1998年のソウル新聞新春文芸に当選。以後、短篇集『揺れる』(2002年)、『毎日が祝祭』(2004年)、『赤の中の黒について』(2009年)を刊行している。『リナ』は、著者初の長篇小説として2006年に単行本化され、同年の韓国日報文学賞を受賞した。2010年には2作目の長篇『ライティングクラブ』が出た。金裕貞文学賞、白信愛文学賞受賞。

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