キューバ日本人移民100周年記念事業

---チェ・ゲバラとその真実---

アルベルト・コルダ写真展

日本人がキューバに移住して、100年目を迎える今年、キューバでも記念行事が開催される予定で、ここ日本でもキューバ日本人移民100周年事業の一環として、キューバでもっとも著名な写真家、アルベルト・コルダ氏を招いて、「アルベルト・コルダ写真展〜チェ・ゲバラとその真実〜」を開催します。

冷戦構造が崩壊し、世界が混迷を深めるなか、昨年、ゲバラ没後30年を迎え、遺骨がボリビアからキューバにもどるなど、チェ・ゲバラに関心が高まっています。偉ぶらず、高ぶらず、寡黙に理想の実現に向けて行動したゲバラに関しては日本のメディアでも「ゲバラ・ルネッサンス」として多数取り上げられ、現代の若者も、「現代のポップスター」として共感しているようにも見えます。

本写真展では、ゴルフ、釣り、カメラを手にして楽しむゲバラの日常等、密着取材しなければ撮影できない貴重な作品が多数含まれます。そんなゲバラを撮り続けた現代史の数少ない目撃者、アルベルト・コルダ氏の作品はフランス・イタリア・カナダ等でも個展が開催され、氏の初来日となる今回の写真展では作品・講演等を通じて、ゲバラの実像に迫るとともに、作品の背景にある激動のキューバ社会の歴史的真実を明らかにします。

美しい自然と明るく陽気なラテンの文化が育てた開放的でのびのびとした雰囲気を持つキューバ。そんな環境によって生み出されたコルダ氏の作品は芸術的価値だけではなく、ゲバラやキューバ革命に対する間違った認識や偏見をも払拭させてくれる、魅力あふれる作品ばかりです。

革命家・冒険家・意志の人・文章家・無私のロマンチスト……。

様々な言葉で語られるゲバラの多面性をこの機会に自らの眼で確かめてください。


人間としてのゲバラ 藤原新也

60年代から70年代にかけてチェ・ゲバラは学生運動家たちにとってのヒーローだった。当時の学生たちにとって“体制”といえばアメリカ(帝国主義)であり、キューバのアメリカ支配との闘いの中でもっとも不屈にして先鋭な闘士となったチェ・ゲバラの存在が神話となるに相応しかったのである。

それから四半世紀あまりを経た90年代末期、チェ・ゲバラの存在は長い冬眠から目覚めたかのように若者の間で静かなブームを呼び起こしている。しかしそれはかつてのゲバラ像が若者に与えたような意味合いにおいてではない。この物の満ち足りた世の中において身体の弛緩し、そして自らの人生というものに確固とした方針や信念を持ちえぬ世代にとって、ゲバラのその人生を一つの信念のもとに燃え尽きさせた存在が、ひとつの人間の神話として浮かび上がったのである。つまりいずれの世代においてもゲバラは一個の神話であることをやめないという点において共通しているのだが、私個人としては長い間かたくなに神話でありつづけたゲバラの一人の人間としての側面をこの写真展で見ることができれば幸いだと思う。なぜならヒロイズムというものはそれを名指された本人も、それを信奉する人にとっても時にそれぞれの者を窮屈な場に追いやることがあるからである。

アルベルト・コルダ写真展に寄せて

田沼武能 アルベルト・コルダ写真展実行委員長/日本写真家協会会長

チェ・ゲバラの有名な写真、ゲリラヒーロー(ベレー帽の写真)を実は、アルベルト・コルダ(本名:アルベルト・ディアス・グティエーレス)と言うキューバの著名な写真家が撮ったということは余り知られていない。今回キューバ共和国大使館キューバ写真家協会(FOTO TECA DE CUBA)等の尽力により、そのアルベルト・コルダの写真展が開催され、ゲバラの写真はもとより、カストロがゴルフや野球に親しむ姿や、初期のファッション写真等、コルダの全貌が披露される。そこには、革命家のゲバラだけでは無く、人間ゲバラが写っており、ゲバラの持つロマンチシズムの多面性を見事に捉えている。最近キャパ展・ピューリッツァー展等、ヒューマンドキュメントな写真展に多くの人が集まると言う。本来の写真が持つ、人間とその時代を捉える、ドキュメンタリー性が再評価されているのは嬉しい。新たな『人間の世紀』が始まろうとしているに違いない。


●対談(対談のゲストは変更の可能性があります。ご了承ください)

 11月7日[土] 15:00−16:00

 アルベルト・コルダとチェ・ゲバラ伝の作家、三好 徹氏との対談

 11月8日[日] 15:00−16:00

 アルベルト・コルダと写真家、長島義明氏との対談

アルベルト・コルダ Alberto Korda

本名:アルベルト・ディアス・グティエーレス

1928年 9/12 ハバナで生まれ、商業を学ぶ。

1956年 ルイス・A・ピエルチュと共に“ESTUDIOS KORDA(コルダ・スタジオ)”を設立、カメラマンとしての活動を開始。ファッション写真等もてがける。1959年キューバの革命運動に取り“FOTOGRAFIA  EPICA REVOLUCIONARIA(革命叙事写真)”を代表するまでとなる。1959−69年フィデル・カストロのカメラマンとして活動。今回の写真展にもカストロの写真がある。

1960年 世界的に有名な、ベレー帽をかぶったゲバラの写真“GUERRILLERO HEROICO(ゲリラヒーロー)”を撮る。海中写真、ヌード写真も得意とする。

[JR]東京駅より徒歩5分(京葉線東京駅と地下1階コンコースにて連絡)

有楽町駅より徒歩1分

[地下鉄]

有楽町線:有楽町と地下1階コンコースにて連絡

日比谷線:銀座駅より徒歩5分/日比谷駅より徒歩9分

千代田線:二重橋前駅より徒歩5分/日比谷駅より徒歩9分

丸の内線:銀座駅より徒歩5分

銀座線:銀座駅より徒歩5分

三田線:日比谷駅より徒歩7分

写真展ホームページ

http://korda.zipang.ne.jp/


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