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九州から〜被拘禁者の人権を巡る状況


1.城野医療刑務所受刑者暴行致死事件のその後
城野医療刑務所で、収容期間が一番長い人は30年以上にもなる。収容されている人の内訳は、拘禁反応により特別な処遇を必要とする人、限定責任能力とされて死刑相当の刑罰を減刑されて受刑中の人。前者は拘禁されている限り、拘禁反応が改善するはずはなく、後者は、非常に劣悪な施設に生涯閉じ込められて外に出てこれない。こうした実態の公表と改善こそが急務である。

2.「北九州矯正センター」構想
当初案では収容棟の1・2階が少年鑑別所となっており、弁護士会をはじめとする多くの反対があった。管理機能を集中することによって、職員から被拘禁者を人間的に取り扱う余裕を奪っている。同センターに対する意見を表明するため、96年1月26日に福岡県弁護士会北九州部会は「北九州矯正センター構想を考える市民集会」を開催、150名もの参加があった。その後、法務省・福岡矯正管区は少年鑑別所施設と拘置施設について別棟にするとの計画変更を北九州市等に伝えていたことが明らかになった。現在、未決・既決を一緒にするな、医療刑務所は早急に建て替えよ、少年鑑別所は併設するな、という点で反対運動を展開している。

3.熊本刑務所受刑者発信不許可国家賠償請求訴訟の判決
 96年1月26日熊本地裁は、91年に受刑者の親族との手紙の遣り取りを不許可とした熊本刑務所側の処分を「正当な理由がなく、発信が阻止されたのは違法だ」として、国に3万円の支払いを命じる判決を出した。

4.小倉刑務所刑務官不起訴処分事件
96年1月25日小倉検察審査会は、94年に小倉刑務所で集団行進中の行状を「態度が悪い」とし、それに受刑者が「抗弁」を行ったとの理由から両手に背後で金属手錠をかけ、取調室等で暴行したとして、特別公務員暴行容疑で受刑者に告訴された刑務官6人を不起訴にしたのは、不当と議決した。

5.死刑確定囚の記録閲覧を拒否
北九州大学教授石塚伸一氏が死刑囚の確定判決記録の閲覧を福岡地裁小倉支部に請求したところ、「死刑執行準備のために法務省刑事局へ送っているので記録はここにはない」とされ、閲覧不許可の処分を受けた。これに対し、石塚氏は準抗告を提起、現在継続中。この中で国・福岡地方検察庁は、石塚氏の学会での発表を引用し、石塚氏が死刑囚について県弁護士会に人権救済の申立てをしている死刑廃止論者であり、閲覧を通じて死刑執行を妨げようとしていると認められる、等と主張している。