第49回 ボーンセンター露天風呂 「生活排水処理の主役は浄化槽」
【講師】
成岡 茂(ボーン運営委員)

平成24年1月30日(月)18時か〜20時ボーンの事務所で今年最初の露天風呂を開催しました。参加者は9名、報告者は私。テーブルを囲んで意見交換しながらのコミュニケーションは、まさに気持ちの交流がしっかりとでき、露天風呂で暖まったようでし た。以下概要です。

 長年、単独処理浄化槽しかなかったので、浄化槽は下水道が敷設されるまでのつなぎ役としての役割と考えられていた。平成12年の浄化槽法改正で平成13年度からは、合併処理浄化槽以外の浄化槽は新規設置を禁じられた。ただし、単独処理浄化槽はみなし浄化槽として認知されたため、単独から合併への転換がなかなか進まず、千葉県では平成21年度は1,000基に過ぎなかった。単独処理浄化槽の数が約41万基あるので単純計算では転換に400年かかることになる。ただ、浄化槽の寿命が30年とすると全て転換されるのに30年の歳月を要することになる。
 個人設置浄化槽は個人の持ち物という位置づけから、60%は個人負担で40%が補助対象となっている。市町村設置の浄化槽の場合は、個人負担は1割でであるが、この事業を推進するのに多大なエネルギーがかかること、下水道に代わり浄化槽整備区域として行政内で位置付けられていないなどの理由から、この事業は長柄町と睦沢町の2町の採択にとどまっている。
 人口集中地域は下水道、閑散地域は浄化槽が適していて、その均衡点が存在する。下水道は概ね現在の人口見合いで整備がなされていることから、これ以上の整備は止め、速やかに浄化槽に切り替えるべきである。下水道は管の敷設や処理場の維持管理など多大な財政負担を生じており、その維持管理費も下水道料金を低く抑えていることから、一般会計からの繰り入れが日常化しており、同じ市民でありながら税金の再配分に不公平が生じている。
 浄化槽は、設置期間が短く、その場での処理のため下流への流量が確保され、地震にも強く、被害があっても短期間で復旧が可能である。これに比較して下水道は復旧に数年を要している。事実、東日本大震災で被害を受けた仙台や習志野の下水道の復旧が進まず、仮排水となっており未処理に近い排水を海に流している。また、浄化槽は、設置、保守点検、清掃、法定検査と一連のサイクルをしっかりとフォローするとともに、浄化槽管理者は浄化槽の使用のルールを守る必要がある。浄化槽の設置工事は、浄化槽設備士が所属する浄化槽工事業者以外は工事ができない。工事には浄化槽設備士が実地に監督する事が義務づけられている。維持管理は浄化槽設備士が管理を受けもっている。
 手賀沼、印旛沼、東京湾などの閉鎖水域へ流入する浄化槽は、窒素や燐を処理する高度処理浄化槽でなければならない。これらの流域では、県が条例を制定するなどして強力な指導が必要である。

 文責:成岡 茂



 

BACK