第15回 露天風呂
「まちづくりにおける市民農園の役割」〜クラインガルテンで健康とふれあいの社会を〜

◇ 講演要旨 ◇

○市民農園(クラインガルテン)とは?

クラインガルテンとは、"ドイツ語で小さな庭"という意味である。日本の市民農園とは、基本的に位置づけが異なる。

 

市民農園の日独比較

  クラインガルテン 市民農園
ドイツ 日本
土地の性格 公的な土地 農家の土地
都市的位置付 都市緑地 農地
利用期間 長期利用 短期利用
管理 利用者 開設者

市民農園とは、市民等が分区された農地を耕す空間をいう。我国では、農地は農地法により農家以外の市民は所有することが禁止されている。そこで入園利用方式(援農)ということで、市民が利用可能としている、いわば潜りの農園ということで、市民農園が成り立ってきた。

現在、市民農園の法的定義は、「市民農園整備促進法」と「特定農地の貸付に関する農地等の特例に関する法律」の2つの法律からなっている。

"10アール未満の小区画と通路に区分し、賃貸料または入園利用料を徴して、非営利的に利用させる"ものが法に基づく市民農園である。市民農園には、遠隔地型(週末型、滞在型)と日常型がある。また、市民農園の特徴は、@環境的土壌空間、Aリフレッシュ機能、B農業経営、C交流機能、D生涯現役として利用可能空間、などがある。


講師の廻谷義治氏

○これからの市民農園の方向
〜"地域"と"福祉"の時代に〜
高齢化社会とともに近隣関係の希薄化が進む現代は、健康や孤独の問題を抱える人々が増えていく。このような状況の中で、生活空間の中に健康増進機能や人々の交流機能が求められる。市民農園には、そのような複合的機能が期待されている。都市地域の日常型市民農園や中参観地域の滞在型市民農園(日本型クラインガルテン)など多様な展開が図られていくと思われる。すなわち、バランスのとれた活力ある地域社会を築いていく機関車役としての役割が市民農園に期待されている。

 

◇ 意見交換 ◇

最後に意見交換、質疑が行われた。「食文化づくりになる。」「地元コミュニティづくりの役割を担える。大きな時代の流れ。」「新しい開発でも取り入れたい。」などの意見が出された。

(運営委員 成岡茂)

   

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