放置自転車対策にみる千葉市の説明責任〜「市長への手紙」を通して


 駅前等の自転車放置は歩行者や車両の通行の妨げになり、緊急車両の接続に支障を来すので、駐輪場の整備等と同時に区域を定めて取り締まることが必要である。しかし駐輪場整備が追いつかないところもあり、自転車利用者の要求に応えられていないのも事実である。放置自転車対策の費用も相当の額に上っている。
 デンマーク等の国々では自転車利用者が多く、その為の自転車通行レーンの確保や様々な施策を公が講じている。これからのまちづくりは「コンパクトシティ」「持続可能なエコシティ」であるべきであると日本でも唱えられてから久しい。CO2を出さず、健康増進にも良いとして、自転車の利用を国も自治体もうたってはいるものの、「自転車族」は実際には肩身の狭い思いをしているのが実情である。車道を走れば自動車から圧迫を受け、狭い歩道を走れば段差があり、歩行者との接触事故の恐れもある。また買物や業務利用等における自転車利用も、最大の利点でもあるドアツウドアが駐輪規制等で儘ならない。
 このような状況は千葉市においても例外ではない。千葉市においても駐輪場の整備と同時に放置自転車等対策を講じているところである。この対策の一つとして放置自転車等規制区域の制定とその区域内における放置自転車等の強制撤去を行っている。しかしその施策の決定、実施においてはいくつかの問題がある。

■特に放置自転車対策として公権力による強制撤去を行い、2,000円(自転車の場合)の引取料の徴収を行っている以上、規制区域について市民への周知徹底を図り、且つ規制区域の標識設置は適切に行われているべきである。そこで千葉「市長への手紙」を通じて下記の提案を行い、説明を求めてきた。しかし残念ながら納得のいく説明が得られなかった。

1,「告示の効力発生日に係る提案」について
 今までの規制区域(変更を含む)告示では、効力発生日が告示日と同日である。しかしこの時点では規制区域拡大をした現地には標識が設置されていないことが多い。その為に、自転車利用者等との間でトラブルが生じた。
そこで、他県の道路交通法に基づく事例を示して、標識を設置した時をもって効力発生日とするように、今後は告示の内容を改めるべきであると提案した。
 しかし、千葉市からは告示日をもって効力発生日とする従来の見解を繰り返すだけで、何故か提案に対する良否の判断やその理由及びその考え方を回答してこない。これでは、施策の説明責任を果たしているとは思えない。

2,予算措置の問題と千葉県警察が管理する道路交通標識の活用
 「脱・財政危機宣言」にみられるように千葉市も財政が厳しく、放置自転車等規制区域の標識設置の予算がなかなかつかないこともあるのかなと思い、県警が管理する道路交通標識に自転車等放置規制区域のプレートを併設したら良いのではと提案したが、警察の標識には併設できないとの回答だけで、何故できないのかの説明がない。自転車も道路交通法の対象となる車両等であり、且つ千葉市自転車等駐車対策協議会は県警と千葉市自転車対策課との共管になっていると思われるので、県警と協議して知恵を出し合うべきである。

 上述のように市の回答は説明を拒んでいるとしか理解しようがない。説明できないということは、改善提案をやりたくないと受け止められてもしようがないと思うのだが?何故改善したくないのか!全く分らない。
 一見小さな問題のように思われるかも知れないが、一事が万事という諺もある。市組織の体質に起因することかも知れない。市民がこうした方が良いのではと気がついたことを、些事であっても市に改善提案をしていくこと、そしてそれに対して説明責任を果たす等市がしっかり受け止めてこそが、市政全般の改革に繋がっていくのであると思う。

ところで今回、「市長への手紙」を通じて得られた改善は以下の通りである。
@市のホームページにおける告示に、規制区域の地図が添付されるようになった。
A市のホームページ放置自転車対策費用の概要が紹介されるようになった。
B協議会委員の選任ついては公募委員の参画についても検討するとの回答を得た。
C市政だより等に規制区域告示のお知らせを掲載することを検討するとの回答を得た。
D市は「(仮)民間路上駐輪場設置・運営ガイドライン」を策定することとなっているが、この策定作業をすすめることとなった。
検討することとなっている課題については、今後も引き続き実現を見守りたい。


参考資料:「市長への手紙」と回答

平成21年12月23日 放置自転車規制区域の市民への周知等の問題
平成22年1月21日 回答

平成22年2月6日 「規制の効力発生」と放置自転車規制区域の市民への周知等について
平成22年3月5日 回答

平成22年4月30日 放置自転車規制区域の「規制の効力発生」と市民への周知等について
平成22年6月3日 回答

平成22年7月3日 千葉市自転車等の放置防止に関する条例における告示のあり方と標識設置について
平成22年9月30日 回答

※千葉市自転車等の放置防止に関する条例
(放置禁止区域の指定等)
第9条 市長は、この条例の目的を達成するため必要があると認めるときは、自転車等の放置を禁止する必要のある公共の場所を自転車等放置禁止区域(以下「放置禁止区域」という。)として指定することができる。
2 市長は、前項の規定により放置禁止区域を指定しようとするときは、あらかじめ関係機関の意見を聴くものとする。
3 市長は、放置禁止区域を指定したときは、その旨を告示するものとする。
4 市長は、必要があると認めるときは、放置禁止区域を変更し、又はその指定を解除することができる。この場合においては、前2項の規定を準用する。

以上

(サポーター会員 家永尚志)


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