市民への情報提供と説明責任〜ケーススタディ:こども科学館と中央第6地区再開発事業

1、一般市民に公表されている情報は
■こども科学館(仮称)はホームページ等で
・平成15年の春に「サイエンス・クエストタウン“科学を探究する街”」(イメージ図等)を公表<「こども科学館(仮称)展示基本計画策定業務報告書 平成15年3月 千葉市」が元>
同時に「市民アンケート調査 平成13年12月 千葉市」概要、及び「科学館・博物館の現状と課題に関する調査 平成14年 7月 千葉市」概要を公表
・平成16年の春に「こども科学館(仮称)展示基本設計」概要を公表<「こども科学館(仮称)展示基本設計委託報告書 平成16年3月 千葉市」が元>
■中央第6地区再開発事業は
・平成15年8月 市街地再開発事業及び地区計画の都市計画決定の際の「市民説明会」と、その際の資料
・同時期、市の都市再開発課のホームページにて事業概要等とイメージ図(1ページ)
・平成17年5月 千葉市中央第六地区第一種市街地再開発事業〜「こども・子育て支援」と「生活・産業の情報発信」の拠点施設〜 ちば市政だよりにて公表(見開き2ページ)

2、不分明であったので、情報収集を図ったところ
■こども科学館は
・経緯表の通り、当初は「科学館」として平成3年第5次5カ年計画に初めて盛り込まれ、緑区の自然環境の良いところに立地を考えていた。
・平成 5年 3月「星と緑の科学館構想 千葉市科学館調査委員会」<各界の識者が委員>
・議会等では早く科学館を作るべきだとの意見が出ているが、その後は遅々として進まなかった。
■中央第6地区は
・平成 5年12月 千葉市土地開発公社が旧扇屋ジャスコ土地・建物を買い取る。
・平成 7年10月 千葉中央第六地区市街地再開発準備組合発足
しかしその後、再開発事業は事業化に時間を要し、
・平成12年 3月に策定された「千葉市新総合ビジョン」においても、こども科学館、中央第6ともに、措定されていない。しかし急遽12年度になって具体化が進み、
中央第6地区は市の行政施設を中心に考えることで事業化を図る方向となり、その目玉として、9月に中央第6地区にこども科学館等の整備が決定され、
・平成13年 3月「千葉市新五カ年計画」において、こども科学館、中央第6地区再開発事業が措定
■こども科学館の基本構想は一般市民には知らされることなく、
・平成13年 3月「中央地区公共公益施設等事業化検討調査報告書 千葉市」が纏められ、報告書で、こども科学館の規模が12、000uとされている。
・同時期に纏められた「千葉市こども科学館構想提案書 科学館構想勉強会 千葉市」は公表されなかった。この提案書でも、こども科学館の規模は12、100uとされている。
そして中央第6地区再開発事業の方は、経緯表に見るように、業務代行方式により事業が進んでいく。
一方一般市民がこども科学館のイメージを知らされたのは、第1章で説明したように、その後の、平成15年の春に「サイエンス・クエストタウン“科学を探究する街”」(イメージ図等)で、である。市はアンケート調査を実施したので不要との見解で、パブリックコメントは実施されなかった。

3、説明責任が果たされていない
■こども科学館を中央第6地区へ変更した理由・説明
前述のように、科学館は、緑区の星空がよく見えるところに構想されたのが、何故、急遽中央第6地区に変更になったのか説明がない。それどころか当初は「星と緑の科学館」構想が存在したことすら説明がなかった。またこども科学館基本構想が無いことについても、調べていくうちに「千葉市こども科学館構想提案書」というものが存在したことが判明した。
■中央第6地区再開発事業保留床単価の決め方
都市計画審議会の傍聴等で判明した事業計画諸元から算定すると、商業床35万円/u、公益施設69万円/uと通常とは逆転した単価となっている。議会議事録では商業床と他のスペースの仕様の違いが保留床単価の違いであると市は説明した。しかし資料「中央地区公共公益施設等事業化検討調査報告書 千葉市」によれば、商業施設保留床単価を先決めして事業計画の検討をしている。

【経 緯 表】


・平成 1年度   千葉市文化センターに情報と科学のフロアー設置
・平成 3年度   科学館アンケート調査実施 
・平成 3年 3月 第5次5カ年計画において「科学館」建設が盛り込まれる。
・平成 3年 5月 ジャスコ株式会社から千葉市に対して,施設,用地の公共的利用について検討を依頼する旨の要望書が提出
・平成 4年度  「科学館調査委員会」にて基礎的調査実施。
・平成 4年10月 中央銀座商店街振興組合から中央地区の地域活性化の拠点として活用されたい旨の要望が提出
・平成 5年 3月「星と緑の科学館」構想:千葉市科学館調査委員会
・平成 5年12月 千葉市土地開発公社が旧扇屋ジャスコ土地・建物を買い取る。
・平成 6年度   国の総合経済対策で地方債枠の拡大が図られる。
・平成 7年 5月 千葉市公共用地取得事業特別会計にて買い戻し(償還期限 平成17年3月31日 元本返済)
・平成 7年10月 千葉中央第六地区市街地再開発準備組合発足
・平成 9年度   公共公益施設用地利用計画策定調査
・平成 9年 3月 市の導入施設のイメージについて四つの案を再開発施設構想として取りまとめ,組合に提案をした
・平成 9年 3月 「千葉中央第六地区周辺再開発基本構想報告書」
・平成 9年 6月 準備組合では,上記提案のもとに検討を重ね,事業の基本的方向としてメディア拠点と,ハイグレードな都市型住宅街が望ましいとの考えから,これにふさわしい公共公益施設の設置などについて,市に要望が出された。
・平成 9年12月 千葉市より4施設計画案の提案
・平成10年 3月「千葉中央第六地区市街地再開発基本計画報告書」
・平成11年 3月「千葉市新総合ビジョン」原案発表
・平成12年 3月「千葉市新総合ビジョン」<「科学館」のまま、中央第6地区事業も未措定>
・平成12年 3月「千葉市中心市街地活性化基本計画」策定
・平成12年 3月「千葉中央第六地区市街地再開発事業推進計画報告書」
・平成12年 9月 中央第6地区にこども科学館等の整備を決定
・平成12年11月「千葉市新五カ年計画」原案決定
・平成13年 1月「千葉市こども科学館(仮称)市民アンケート調査考察」
・平成13年 3月「千葉市新五カ年計画」<こども科学館、中央第6地区事業措定>
・平成13年 3月「中央地区公共公益施設等事業化検討調査報告書」千葉市<こども科学館12、000u>
・平成13年 3月「千葉市こども科学館構想提案書」科学館構想勉強会(12、100u)
・平成13年12月 「市民アンケート調査」:抽出した市内各区の小中学校12校に通う児童生徒の保護者を対象
・平成14年 2月 中央第6地区事業「事業計画作りに協力する事業者」を公募
・平成14年 3月 千葉市が「事業計画作りに協力する事業者」を決定
・平成14年 3月「中央第6地区再整備事業事業化推進業務報告書」公共公益施設基本計画編 千葉市:<こども科学館計画諸元及び概略プラン>
・平成14年 7月「科学館・博物館の現状と課題に関する調査」
・平成15年 3月「こども科学館(仮称)展示基本計画策定業務報告書」
・平成15年 7月 準備組合が特定業務代行者を公募
・平成15年 8月 市街地再開発事業及び地区計画の都市計画決定
・平成15年10月 特定業務代行者決定
・平成15年12月 千葉中央第六地区市街地再開発組合設立
・平成15年12月 こども科学館に係るワークショップ開催・アンケート調査実施
・平成16年 3月 「こども科学館(仮称)展示基本設計委託報告書」
・平成16年11月 中央第6地区権利変換計画の認可
・平成17年 5月 中央第6地区建設工事着工
・平成17年 6月 こども科学館展示実施設計作成

以上(サポーター会員 家永尚志)

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