千葉市の「処分場反対者リストを産廃業者に漏洩」の背景にある
地方自治の放棄とゴミの焼却・埋立て主義

□「ごみゼロ宣言」の徳島県上勝町(http://www.kamikatsu.jp/kankyo/gomi/frame.htm)

昨年5月末、ボーンセンター(市民研究所)会員4名で四国を視察したことは本通信の「四国訪問記」で何回かにわけて報告されていますが、徳島県上勝町、この典型的な中山間地にも脇町から険しい剣山スーパー林道を経由して訪れました。34種類分別でリサイクル率8割の実績をあげ、2020年ごみ排出ゼロの「上勝町ごみゼロ(ゼロウェイスト)宣言」を03年9月に行った町です。町役場の大部屋の執務室の片隅でまちづくり推進課の星場課長から2時間ほどお話を伺いました。村には収集車はなく、住民が直接ゴミを村に一つの分別ステーションに持ち込む、そしてそれらは有価物として全国の業者に引き取られる、星場さんはステーションのことを「ごみのスーパーマーケット」と形容されました。分別しても資源化できないごみはどうしても残る、そこで再資源化を企業に義務付ける「資源回収法」の整備を国に要求していくとのことでした。生ゴミをゼロにするためにほぼ全戸に生ゴミ処理機を設置する際には、町職員がまず自ら試しコツを習得する、ごみゼロに向けての取り組みでは住民の理解を得るため、町職員があらゆる会合に行って説明したといいます。そこにあるのは厳しい財政の中、国の補助金行政やまやかしの廃棄物政策を拒否するだけでなく、逆に国の姿勢を正し、地域の資源・コミュニティーで自立を目指す自治体とその先頭に立って取り組む町長以下町職員の姿です。

星場さんと一緒に(上勝町役場前にて)

□個人情報漏洩事件「調査打切り宣言」の千葉市

千葉の原風景とも言われる谷津田が広がる千葉市の郊外、緑区小山町の産業廃棄物最終処分場(安定型)建設計画については、住民団体の反対者のリストを市の職員が産廃業者に漏えいした問題を巡ってマスコミで大きく取り上げられましたので、すでにご存知のことと思います。氏名、住所、電話番号を漏洩された市民は市に提出した抗議書の中で、「市がこうした行為にはしる背景には、コンプライアンスに対する市職員の認識の薄さと市民の側にではなく業者に顔を向けた産廃行政という組織体質があります。これらに対する深い反省と抜本的な改革を強く求める」としています。このことは、結局のところ致命的欠陥のある廃棄物処理法、焼却・埋立て路線など国の政策に従順な千葉市の廃棄物行政を根本から改めることに他なりません。しかし、被害者である市民にヒアリングすることもなく矛盾点を放置したまま早々と個人情報漏洩を巡る「調査打ち切り宣言」をした千葉市の姿勢には、業者の報告内容(住民合意や環境調査などのウソ)を鵜呑みした職務怠慢を反省する姿勢すら見られません。
世界の焼却炉の2/3が日本に集中し、国内の不法投棄の1/3が集中する千葉県、次世代に良好な環境を引き渡す責任を果たす為には一刻の猶予もありません。地方分権社会といわれる時代、環境を保護再生し、地域の資源・コミュニティーで自立した自治体を目指すべき時代です。上勝町と千葉市の違い、それは地方自治、市民自治に対する正反対の姿勢といえます。

(運営委員・川本 幸立)


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