最近の文献に出ている「ベ平連」評価 ・「ベ平連」についての記述
 
212  大矢雅弘「福岡ベ平連の歴史」(「窓」論説委員室から)(抄)『朝日新聞』2013年2月26日夕刊13/02/
27掲載)

  『朝日新聞』2013年2月26日夕刊のコラム「『窓』論説委員室から」に「福岡ベ平連の歴史」という文が掲載されています。以下に紹介します。

 作家の小田実さんらが呼びかけた「ベトナムに平和を!市民連合(べ平連)」はその最盛期、全国に「べ平連」を名乗る団体が約400もあったという。
 なかでも「福岡べ平連」の活動は盛んだった。九州大の数学担当の教員らが始め、1965年10月から73年ごろまで毎月3度の「十の日」デモを続けた。「福岡べ平連」を名乗りだしたのは68年ごろのことだ。
 埼玉大の市橋秀夫教授(50)によると、東京の「べ平連」のことは関係書もあるが、地方の「べ平連」についてはほとんど知られていない。
 「一市民として、自分たちの自立した世界をつくる試みがあったことを将来の世代に伝えたい」。市橋さんは福岡べ平連」事務局長を務めた石崎昭哲さんらから聞き取りを重ね、当時のビラなども収集しながら記録作業を進めている。
 英国の近現代史が専門の市橋さんによると、英国は口述記録から歴史の実相に迫るオーラルヒストリーが盛んだ。対象は著名人に限らない。03年まで法律で差別されていた同性愛者の記録も、200人分以上を大英図書館が所蔵しているという。
 口述記録の蓄積が日本は足りず、「社会の厚みは出てこない」と市橋さん。歴史に埋もれてきた人々の言葉がいかに貴重なのかを、改めて考えさせられた。   (大矢雅弘)

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