86.  瀬戸内寂聴/ドナルド・キーン/鶴見俊輔「同時代を生きて――忘れえぬ人びと――」( 岩波書店、2004.02.)(2004/04/04搭載)

 この本には、小田実さんの小説に対する評価、小田さんと岸恵子さんとの関係についてのエピソードなどが出てくるが、ベ平連についての話題は、以下に一部引用した部分以外には、ほとんど出てこない。

瀬戸内 小田さんは、闘争、闘争って、政治なんかやってるよりずっといいですよ。一時、知事選挙かなんかに出そうでしたけど、出ないでよかった。
鶴 見 
小田が官僚になったら失敗していたでしょう。だけど、小田には吉川勇一がついてたからね。小田は、どこから金が入って、どういうふうに使ったかなんて、ぜんぜん書いてないけど、吉川がきちんと残したから、小田は辻元清美みたいな目にあわなかった。
 だいたい政治運動をやると文章は駄目になるんだけど、小田はけっこう保ってるね

瀬戸内 
そうでしょう? あれだけのことをしてねえ。
鶴 見 
『「アポジ」を踏む』(講談社刊)なんていいでしょう? それから、この『玉砕』(新潮社刊)もよかった。
瀬戸内 
荒っぼいようで、荒っぼくないんですよ。
キーン 
小田さんのもっとも難しいところは字がなかなか読めないんです(笑)。
鶴 見 
私より、ちょつとうまい程度かな(笑)。……

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