8. オタワ条約 1999年〜2004年の実績の「検討」/「評価」
2004年12月3日
ナイロビ・サミット議長
(外務省 要約)
イントロダクション
「検討」は、これまでの成果及び条約の目的を達成するために今後締約国が実施すべきことを記録するためのものである。
I.条約の普遍化
条約は1999年に発効し、今日までに143 カ国が締結した。対人地雷の製造及び使用は著しく減少し、その輸出入はほぼ途絶えた。条約は未加入国にも受け入れられた規範(norm)となっており、そのうち多くの国が対人地雷の移譲禁止ないしモラトリアムを実施している。しかし、51カ国が条約を締結しておらず、アジア及び中東において、また、新独立国家諸国の間で条約への支持が低い。
・貯蔵地雷廃棄
これまでに廃棄期限を迎えた全ての国が廃棄を完了し、3700万発以上の地雷が廃棄された。今日、124 カ国が貯蔵地雷を有していない。しかし、幾つかの締約国が大量の地雷を有している他、特定の種類の地雷(PFM 1型)の廃棄に伴う技術的困難等が課題でおる。
(JCBL註:PFM 1型地雷は通称バタフライ型地雷。中の液体火薬が硝酸を含み、焼却すると有毒ガスを発生し、廃棄に当たり環境問題を伴う。
締約国ではベラル−シュ、署名国だが未締約国のウクライナが数百万個のPFM 1を貯蔵しており、この問題に苦慮している。)
III.埋設地雷除去
地雷原の特定、囲いの設置、地雷除去のための国家計画の策定、地雷回避教育等において、重要な進展が見られた。主に人、地雷犬、機械によって地雷除去が進み、除去技術の改良も行なわれた。新しい技術の研究開発に多大な投資がなされてきたが、課題を克服するために更なる投資が必要である。一方で、地雷被害国の状況に合致し、入手可能な技術を維持する必要があると共に、技術を開発する側と使用する側の間の情報及び意見交換を更に強化していかなければならない。
. 犠牲者支援
犠牲者支援は公共医療サービスの一環でおり、人権及び開発の問題でもある。緊急医療、リハビリテーション、社会・経済復帰、公共政策の各分野で進展があったが、犠牲者に関する情報収集、医療物資及び人手の欠如、サービスへのアクセス等が課題である。特に、地雷犠牲者の数が多い23カ国*が直面する課題は大きい。
*(アフガニスタン、アルバニア、アンゴラ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブ
ルンジ、カンボジア、チャド、コロンビア、クロアチア、コンゴ民主共和国、
エルサルバドル、エリトリア、ギニア・ビサウ、モザンビーク、ニカラグア、
ペルー、セネガル、セルビア・ モンテネグロ、スーダン、タジキスタン、タイ、
ウガンダ、イエメン)
V. 条約の目的達成に重要な事項
−協力と援助
条約が成立して以来、22億ドル以上の資金が動員された。今後5年間の支援ヘのコミプトメント、資金の効率的な運用、地雷被害国のオーナーシップが課題である。
−透明性と情報交換
第7条報告に加え、会期間活動によって透明性及び情報交換が促進された。今後の課題は、報告書未提出の国がきちんと報告を行うこと、提出率を維持することである。
一禁止されている活動の防止及び条約遵守の促進
今後5年間の課題は、全ての締約国が第9条に基づいて国内実施措置を取ることである。また、条約遵守の促進は協調の精神に基づいて行なわれるべきである。(JCBL註:対人地雷を禁止する国内法の制定が完了したか?)
一条約の履行支援
条約の履行を円滑にするために、会期間の活動計画が策定され、その下で、4つの常設委員会及び調整委員会が活動している。
別添:条約第5条に基づく義務履行のため報告を提出した国
(JCBL註:地雷の埋設地域、除去計画、除去実績に関する報告を提出した国)
アフガニスタン、アルバニア、アルジェリア、アンゴラ、アルゼンティン、ボ
スニア・ヘルツェゴヴィナ、プルンディ、カンボディア、チャド、チリ、コロ
ンビア、コンゴ(共)、コスタリカ、クロアチア、サイプラス、コンゴ(民)、
デンマーク、ジプティ、エクアドル、エリトリア、仏、ギリシャ、グアテマラ、
ギニア・ビサウ、ホンデュラス、ジョルダン、マケドニア、マラウィ、モーリ
タニア、モザンビーク、ニカラグア、ニジェール、ペルー、ルワンダ、セネガ
ル、セルビア・モンテネグロ、スーダン、スリナム、スワジランド、タジキス
タン、タイ、テュニジア、トルコ、ウガンダ、英、ヴェネズエラ、イエメン、
ザンビア、ジンバブエ