フィリピントヨタ労組来日、トヨタ本社へ解雇撤回を申し入れる

 

11月21日、フィリピントヨタ労組を支援する会の招きでフィリピントヨタ労組のエド委員長とクリス職場委員が来日した。エド委員長は8月にフィリピントヨタ社より233名の組合員と共に不当解雇されたが退職金を受け取ることを拒否し、解雇を撤回させるべく裁判で闘っている。クリス職場委員は組合の主だった役員が解雇された厳しい状況で、現在も工場内に留まり組合活動を続けている。

 二人は22日にトヨタ東京本社に不当解雇撤回の申し入れを行った。東京本社前にはフィリピントヨタ労組の闘いを支援する約200名が結集し不誠実な対応を繰り返すトヨタに抗議をした。当該のフィリピントヨタ労組を含む申し入れ団に対しトヨタは相変わらず不誠実な応答を繰り返した。

 25日には愛知県豊田市で激励集会が実施され、約80名が参加した。トヨタの地元でこうした解雇撤回の抗議集会が開かれるのは久方ぶりで、地元のマスコミにも注目された。

 26日には早朝より豊田市の2つの駅頭でビラをまき、宣伝を行ったのちトヨタ本社へ解雇撤回を申し入れた。支援する会の事前の申し入れに対し、トヨタは面談を拒否していたが、神奈川、大阪、京都、地元愛知から集まった約40名の抗議団の力強い抗議に申し入れ団を受け入れた。しかし、トヨタは要請書を受け取らず、対応した総務課の加藤氏は「要請は受け取れない。(要請書を)置いていってくれ、要請の内容はアジア部に伝える、現地で解決すべき問題」などという不誠実な対応に終始した。エド委員長は「トヨタが労働者を大切にしない会社だということがよおくわかった。」と憤慨していた。その後、豊田市役所内で記者会見を行い、中日、朝日、毎日の各紙で報道された。トヨタは広報を通じ「早期解決を望む」などと発表しているが口先だけで、その態度に解決姿勢は見られない。エド委員長とクリス職場委員は夕方に大阪へ移動しAPWSL日本委員会大阪主催の激励集会に参加した。

 28日には帰国激励集会があり、支援する会よりカンパ金が手渡された。エド委員長とクリス職場委員は29日に元気に帰国した。

2001年11月22日 

 

トヨタ自動車株式会社

社長  張 富士夫殿

要 請 文 

 

 私たちフィリピンと日本の労働者と市民は、フィリピントヨタ自動車会社の経営側によって行なわれて来た際限無きトヨタ自動車フィリピン労働者組合(TMPCWA=Toyota Motor Philippines Corporation Workers Association)潰しの暴挙に強い憤りを禁じ得ません。
 貴社の奥田 碩会長が会長を務めている日経連は、去る6月に発表した資料集「国際社会における責任ある企業行動のために」の中で『最も重要なものは、ILOが98年6月の総会で採択した「労働における基本原則と権利に関する宣言」である。この宣言は、結社の自由と団結権、強制労働の禁止、児童労働の廃止、雇用差別の撤廃を中核的労働基準として、ILOのすべての加盟国が、これを尊重し、促進するという約束をしたものである。』と述べています。また、貴社はその基本理念に「内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす」ことを第一に掲げています。しかしながら、貴社の子会社であるフィリピントヨタ社では、結社の自由と団結権を侵害し、フィリピンの労働法を遵守しない経営が現在も引き続き行われています。
 フィリピントヨタ社は、TMPCWAと労使協約交渉のテーブルにつくようにというフィリピン政府の度重なる裁定にもかかわらず、財力にものをいわせ訴訟を繰り返してきました。またフィリピンに進出した日系企業各社と結託して、フィリピン政府に対し「労働争議を解決しなければ、現地から撤退するぞ!」と圧力をかけた結果、8月9日、労働雇用省の付属機関である労働関係委員会は、「フィリピントヨタ経営側によって出された227名の労働者の解雇は合法である。」との訴えを認めてしまう不当な裁定を下しました。その1週間後、フィリピントヨタ社は233名(内15名は組合役員)の組合員たちを解雇するという暴挙をおこない、さらには、会社寄りの従業員たちを使いTMPCWAの平和な抗議行動を「重大な威圧行為」の刑事事件として26人の組合員(内2人は組合役員)を訴えています。
 これが日本を代表する世界企業が行うことでしょうか。「労働における基本原則と権利に関する宣言」を踏みにじった卑劣な行為としか言えません。
 私たちフィリピンと日本の労働者と市民は、解雇を断固拒否し、最高裁まで闘う覚悟をしているTMPCWAの組合員とともに、トヨタの暴挙に対して闘い続けます。
 私たちは、トヨタ自動車会社とフィリピントヨタ自動車会社に以下のことがらを強く要請致します。
1)233名の組合員の不当な解雇を撤回し、ただちに全員を職場に復帰させること。
2)26名の組合員への不当な刑事告発をただちに取り下げること。
3)フィリピントヨタ社の経営側がTMPCWAに対する敵視政策を止め、労働訴訟を取り下げ、正常な労使関係のもとで労働協約交渉のテーブルにつくこと。
4)フィリピントヨタ社がフィリピン政府に対し、工場閉鎖の圧力等をかけることをただちに中止すること。
5)一連の暴挙に対しフィリピントヨタ社が、TMPCWAへ謝罪すること。
6)海外事業展開に際しての労働・雇用に関する貴社の『企業行動規範』を公に開示すること。
以上の要求について文書にて11月末までにご回答下さるようにお願い致します。
Toyota Motor Philippines Corporation Workers Association
フィリピントヨタ労組を支援する会
フィリピントヨタ労組支援本社行動実行委員会
APWSL日本委員会
連絡先;フィリピントヨタ労組を支援する会
237-0063 横須賀市市追浜東町3-63-901

TEL&FAX 0468-69-1415