「労働情報」 号外 1977年5月26日 第3種郵便認可 毎月2回 1.15
日発行
アジア太平洋の労働者をつなぐ
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No.39
2004年9月
アジア太平洋労働者連帯会議(APWSL)日本委員会 機関誌(季刊) 定価300 円
発行所 東京都台東区上野1-1-12 新広小路ビル 協同センター労働情報 気付
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アメリカから二つの食品関連労組が来日
深まる国際連帯の経験
山崎 精一(APWSL日本委員会)
今年になってアメリカから二つの争議組合が支援と連帯を求めて来日した。共に食品関連の組合で、一つはニューヨークの老舗のレストラン「グランドセントラル・オイスターバー」の労働者、もう一つはワシントン州シアトル近郊のパスコにあるアメリカ最大の食肉加工会社タイソン・フーズ社のパスコ工場の労働者たちであった。組合の所属は前者はホテル・レストラン従業員組合(HERE)ローカル100,後者はチームスターズ労組ローカル556であった。この二つの来日争議組合の受け入れの経過を振り返り、その特徴を整理してみたい。
オイスターバー争議報告
タイソン・フーズ社の争議については別掲の飯田勝泰さんの報告などをみてもらいたい。先に来日したオイスターバー争議について簡単に紹介する。
今年の3月に品川駅に東海道新幹線の新駅が誕生し、これに合わせて港南口の再開発が行われ、その最後に駅ビル・アトレ品川が完成した。ここにニューヨークのグランドセントラル駅で創業90年の老舗レストラン「オイスターバー」がフランチャイズで出店することとなった。ところが、本店では従業員100名中72人を組織するHEREローカル100が協約交渉を巡って争議となり、昨年の12月5日からストライキに突入していた。争点は新規採用スタッフの賃金切り下げ、ウェイター給与の切下げ、新規スタッフの健康保険の自己負担、年金制度の改悪などである。組合は連日ピケを張っているが、非組やスト代替要員を雇って店は営業を続けていた。
オイスターバーは日本人観光客にも有名であり、利用者の4割は日本人である。そこで会社はWDIという日本の会社とフランチャイズを結び、海外で初めての店を3月3日に品川駅に出すことにしたのである。この開店にオーナーと実質的な経営者である総支配人が来日するため、組合も日本店のボイコットを訴えるために当該2名を含む4名の訪日団を送りこんできた。
HEREはレストランを組織しているために国際産別としては国際食品労連(IUF)にも加盟しているため、訪日団受け入れの要請はIUFを通じてIUF日本加盟労組連絡協議会(IUF−JCC)に来ており、さらにそこから産別のサービス連合などにも伝わっていた。一方、95年のホテル・ニューオータニの来日の経過から国際労働研究センターに、さらに最近の世界社会フォーラムでの出会いからフィリピントヨタ労組を支援する会など多くの日本の労組・団体に働きかけがあった。その連絡が来日の10日足らず前で、しかも手当たり次第に連絡している状況で受け入れ態勢を作るのは非常に困難であった。
国際労働研究センターを代表して高須裕彦さんが受け入れの調整に当たったが、品川店のボイコットの是非や宣伝行動を巡ってIUF−JCCなどと当該労組の意向のずれが埋まらないまま来日を迎えてしまった。
応援する会の結成
来日後の3月2日、開店を前にして、全統一労組事務所で来日行動を支援する労組・団体の代表が集まり、当該からの話をよく聞き、日本側の受け入れ態勢の問題点を整理し、相互に理解しあった。その上で、翌日の品川支店の開店に向けての宣伝行動を取り組むことを決定し、「HEREローカル100ニューヨークオイスターバーの労働者を応援する会」を結成した。その場でビラを作り、動員をかけ、マスコミに連絡し、レイバーネットにページを作り掲載するなど、見事な協力と熟練にアメリカ側はびっくりすると同時に、ようやく自分たちと同じ活動家たちと出会えたと喜んでいた。
翌日5時に全統一、神奈川シティユニオン、全国一般南部、闘う国労闘争団、レイバーネット、などの60名が結集し、品川駅港南口で当該とともに宣伝行動を展開した。その後、日本側のWDI社への要請、オイスターバー総支配人への追及行動も取り組まれた。この日の行動は翌日の朝日新聞でも大きく取り上げられ、マスコミ対策としても成功であった。この日の行動を巡ってもIUF−JCCとのギクシャクがあったが、最終的には日本の第一の受け入れ窓口はIUF−JCCとすることを再確認して収まった。
HEREローカル100は6日間の来日を終え、3月6日に帰国した。その後、3月26日には争議が解決し、全員が職場復帰したというニュースが届いた。解決の細かい内容は公表されていないが、来日行動が早期解決の力となったことは間違いない。
(ここまで高須裕彦さんが国際労働研究センターに提出した経過報告に基づき再構成しました。)
二つの争議支援経験の比較
今年来日したこの二つの米国争議組合は両方とも食品関係の労働組合ということが共通していた。しかし、先に来日したオイスターバーの方は、HERE本部の承認を得た来日であり、国際産別のIUFを通じて日本の産別にも連絡が入っていた。一方のタイソン・フーズの場合はチームスターズ労組本部は守旧派が指導権を持っており、改革派のローカル556の来日を承認していない。したがってIUFを通じての連絡もなかった。
ところが、オイスターバーの場合も以前来日したホテルニューオータニやブリジストン・ファイアストンの労働者たちと同様に争議行為の延長で来日したのであり、街頭宣伝行動や会社追及行動を求めていた。この当該の要求を受け入れて共に行動しようとする「応援する会」との共闘が来日してからできあがった。「応援する会」を担っているのはブリジストン・ファイアストン支援、ホテル・ニューオータニ支援を担ってきたのと基本的には同じ組合・団体であり、この間の受け入れの経験が充分に生かされていた。これに対してHEREの側は同じ組合のホテル・ニューオータニでの経験がほとんど伝わっていないために、当初多くの困難が生じた。
一方のチームスターズ労組はこれまでに来日行動の経験はないが、オイスターバーの勝利解決の情報などが様々な経路から伝わっていた。また日本に滞在中の組合民主主義協会のマット・ノイズさんが日本側受け入れの中心的役割を果たしたことが受け入れがうまくいった大きな要因であった。既成の労働組合の受け入れ態勢はなかったものの、来日前に不十分ながらも受入れのための労働組合や労働団体の集まりが持たれ、消費者団体との連絡も図られた。
来日したのは当該だけの2名であった。メキシコからの移住労働者で、スペイン語で話す現場労働者たちであった。これまでのアメリカからの訪日団には当該労働者が含まれていたが、必ず専従のオルグや調査担当が同行し、この人たちが全てを仕切っていた。しかし、今回は現場労働者のみの来日であり、草の根の職場労働者との交流が初めてできたという印象であった。宿泊もホテルではなくホームステイであったことも象徴的であった。慌しい日程であったため、チームスター本部守旧派との闘いの経過など組合改革のくわしい経過を聞くことができなかったのが残念であった。
改革派の組合であったが、日本の主流派の組合との共闘を拒んでいたわけではない。日本の食品関連組合であるフード連合を訪れ協力を要請した。その結果、フード連合は直ちに別掲の要請文をタイソン社に送った。国際産別の働きかけがない中で、当該労働者からの要請を受けて、このような国際連帯の行動を取ったことは高く評価される。
米国産牛肉の輸入再開問題で日米政府間協議が行われた時期を捉えての来日の判断が良く、マスコミからの注目も高く、効果的な宣伝が行えた。また食品の安全性を訴えたため、消費者団体、農民団体などからも協力が得られた。何よりも労働の安全と食の安全の両方をスローガンに掲げることにより、力強い呼びかけとなり、広い共感を得ることができた。
この二つの米国の争議組合の受け入れを通じて、このグローバル化の時代に争議が国境を越えるのが日常的になっていること、それに応じて相互の連帯の経験も積み重ねられ豊かになってきていることが実感できた。
今回の受け入れ態勢の構築にレイバーネット日本が大きく貢献したことを最後に指摘しておきたい。両方とも専用のページが作成され、支援行動を広げるのに大きな役割を果たした。支援行動の詳細については次のページをぜひ見ていただきたい。特にオイスターバーの方は臨場感あふれる動画が掲載されている。
http://www.labornetjp.org/Campaign/2004/OysterBar
http://www.labornetjp.org/worldnews/namerica/usnews/tslocal556
タイソン・フーズ社にみる職場と食品の安全
飯田勝泰(東京労働安全衛生センター)
この7月、米国産牛肉の輸入再開をめぐる日米政府協議が山場を迎えるなか、世界最大の食肉加工会社であるタイソン・フーズ社の労働組合の代表者が日本にやってきた。
7月19日、来日したのは、チームスターズ・ローカル556のメルキアデス・ペレイラ委員長とラファエル・アギラー組合員の二名。たった5日間の日本滞在中、農林水産省での記者会見、消費者団体や労働組合との交流、芝浦と場の見学、街頭キャンペーン行動、米国食肉加工労働者を囲む集いなど、超過密なスケジュールをこなした。
来日行動への支援を呼びかけた一人として、チームスターズ・ローカル556のSafe
Jobs, Safe food!キャンペーン行動の取り組みを報告したい。
危険で不衛生なパスコ工場
まず、チームスターズ・ローカル556の闘いの背景事情について、組合のファクト・シートと呼ばれる資料をもとに説明する。
タイソン社は世界最大の牛肉、豚肉、鶏肉の生産会社である。昨年の売り上げは245億ドル。ワシントン州のマブトンで米国初のBSE感染牛が発見されるまで、車で1時間ほどの場所にあるパスコの工場は日本向けの牛肉を生産する基幹工場だった。ここで生産される牛肉の15〜20%が日本に輸出されていた。
組合の調査によると、パスコ工場は全国でも最も非衛生的な食肉加工工場としてランクされているという。工場内では労働安全衛生規則が守られず、2002年には500人以上の労働者が労働災害にあい、重傷災害の被災率が同等規模の工場の全国平均の3倍近くにのぼっている。また、人道的なと畜解体の規則に違反しており、牛がまだ生きている間にと畜解体工程に送られている。タイソン社はこうした事実を否定し、BSEの全頭検査も必要ないとして反対している。
タイソン社は全米に100以上の工場を持つが、労働組合がある工場はたった9つにすぎない。パスコ工場には、チームスターズ・ローカル556があり、1500名の労働者を組織している。組合員の90%以上がメキシコ系の移民労働者であり、ベトナム、ラオス等のアジア系移民も働いている。
ところで、ローカル556では、6年前にチームスターズの改革派が執行部を握った。それまで本部の役員は会社と交渉するだけで工場に来たことはなかった。あまりに劣悪な工場の職場環境、過酷な労働条件に怒った現場の組合員が自主的な山猫ストに立ち上がったのをきっかけに、チームスターズの改革派がローカルの執行部を握った。
米国で初めてBSE感染牛が発見されてから、米国産牛肉は日本に輸出できなくなった。その影響で、パスコ工場の組合員は労働時間と賃金が減らされた。輸出再開のためには、日本の消費者がタイソン社の牛肉の安全性に信頼をもつことが必要不可欠である。ローカル556は、様々な消費者団体と連合して、タイソン社が職場を安全にし、安全な牛肉を提供するよう求めるキャンペーン「Safe
Jobs, Safe food!」キャンペーン運動を始めた。6月14日、組合は全ての食肉加工業者がBSE検査を行うよう農務省に要求するとともに、タイソン社がBSE全頭検査への反対をやめ、消費者の期待に添う安全な食品を確保するよう求めるよう決議をあげた。これに対し、タイソン社は組合否認の攻撃を強めている。今年5月から始まった労働協約改定交渉では、組合費のチェックオフを破棄し、組合員に組合脱退工作を行っている。
以上のようなバックグラウンドのなか、ローカル556はペレイラとアギラー両氏を日本に送ることを決定したのである。
成果の多かった来日行動
来日したペレイラ委員長とアギラー組合員の目的は、タイソン社の工場でと畜解体に従事する労働者の立場から、現場の実態を日本の政府関係者、消費者、労働者に伝えることにあった。7月20日午後2時、農林水産省の記者クラブで二人は記者会見に臨んだ。彼らの動きを事前に察知したタイソン社は、姑息にも記者クラブに「タイソンフーズはBSE検査に関するチームスターズ556の見解に合意しません」という声明文を配布した。
ペレイラとアギラーは準備した声明を読み上げ、農林水産大臣宛の書簡を公表した。ペレイラは「私たちは、科学者でもありませんし、BSEの専門家でもありません。しかし、私たちは、タイソン社については専門家です。私たちの組合員は、タイソン社が日本に牛肉を輸出したいと考えているその工場の中で、毎日、働いているのです」と述べた。アギラーはパスコ工場での食品の安全、労働者の安全、人道的なと畜解体ついて具体的な証言を行った。農林水産大臣宛の書簡では、工場の実態を詳細に記述し、労働者との直接の対話を呼びかけ、日本政府代表をパスコ工場に招待すると提案した。二人にとって記者会見はたいへんなプレッシャーだったと思うが、初日の大仕事を見事やり遂げた。夕刻、早稲田にある日本消費者連盟の事務局を訪問し、水原博子事務局長と懇談した。水原さんはローカル556のキャンペーンに理解をしめし、BSEの検査と米国産牛肉の輸入再開に関する日消連の立場も聞くことができた。
7月21日は、早朝から品川区の芝浦と場と食肉資料館を見学し、全芝浦と場労組との交流を持った。芝浦と場の職場環境やと畜解体作業などを見て、彼らは驚きを隠さなかった。ラインのスピードが桁違いに緩やかだ。パスコでは1時間300頭以上の処理頭数を芝浦では1日でやっている。作業者の判断でラインを止めることができ、チームによる組作業が行われている。日米のあまりの格差に、アギラーは「芝浦と場は天国のようだった」と語っていた。
7月22日は、正午に有楽町で街頭キャンペーン行動を行った。急な行動だったが、全統一労組、神奈川シティユニオン、全国一般東京南部、中小労組政策ネットワーク、下町ユニオン、東京争議団などの仲間が駆けつけ、ビラをまきと牛の着ぐるみでのパフォーマンスを行った。その夜、渋谷勤労福祉会館での「Safe
Jobs, Safe food!−米国食肉加工労働者を囲む集い」には50名を超す人びとが参加し、二人の発言を交えて活発な議論を行った。
「反省することなし」
7月23日にはチームスターズ労組ローカル556来日行動反省会・お別れ会が開催された。当該のお二人と、日本の受け入れ側の10人が参加した。わずか5日間の日本滞在だったが、盛りだくさんだった日程・行動を振り返り、日米双方からの反省点を出し合おうという企画であった。
ところが当該からは何も反省することなどない、満点以上の成果だった、というお話であった。チームスターズ本部からの支援がないので、ナショナルセンターや国際産別を通じての国際的なつながりがなく、組合費のチェックオフが止められお金もなく、不安ながらもとにかく来日してみた。来てみると小さいながらも支援の組織ができており、同じ仕事をしている日本の仲間たちとも出会え、消費者団体とも話し合い、マスコミにも取り上げられた。期待していた以上の成果であり、日本側の受け入れに感謝したいということであった。
日本側には消費者団体との連絡が当初うまく行かなかったり、いろいろと細かい反省点があった。しかし、今回来日したのが職場にいる草の根の改革派の活動家だということもあり、直ぐに通じ合うものがあり、国際交流連帯にありがちなもどかしさを感じなかった。この反省会に出席した日本側10人の内、5人が在日外国人であったことも今回の受け入れ態勢の特徴を示していた。スペイン語と英語の通訳もうまくいったし、何よりも日本の受け入れ側の中心として米国側とやりとりしたのが、滞日中の米国の組合運動活動家であったことが成功の要因だったことは間違いない。以前のホテル・ニューオータニやブリジストン・ファイアストンの来日の時から比べると国際連帯の深まりを感じた反省会・お別れ会であった。
帰国後しばらくしてから、ローカル556から受け入れに協力した各団体・個人に丁寧な感謝のメールが送られてきた。その後の情勢としては、タイソン社は他の工場の労働者を組織している全米食品商業労働者組合(UFCW)との協約交渉を終え、協約交渉の再開をローカル556に申し入れしてきている。9月早々にも交渉が再開され、どのような再提案をしてくるかが注目されている。ローカル556は会社側の交渉と平行して地域での共闘の広がりを追求している。9月30日にはパスコ工場での安全衛生問題についての公開集会をパスコで開く予定である。マサチューセッツ大学のブレナー教授が行ったパスコ工場の安全衛生状態の調査がこの集会で公にされることになっている。
国際連帯の広がりの方では、日本に次ぐ輸出先である韓国の労働組合・消費者団体とのつながりと連帯を求めている。日本では9月17日の東京総行動でタイソン・フーズ日本支社に要請行動を行う予定である。タイソン社に対する要請ファックスの送付も各団体、各個人からお願いしたい。(用紙はレイバーネット日本のホームページに掲載されている。)
送付先 03-3683-9765
東京労働安全衛生センター 飯田勝泰
タイソン社に対するSafe
Jobs, Safe food!キャンペーン行動はアメリカのワシントン州から日本へ、そして韓国へと広がろうとしている。タイソン社は世界一の食肉加工会社であり、しかも悪質な会社なので、このキャンペーンはすぐには解決しそうにない。今後とも当該組合の闘いを見守りながら、情報交換を続け、日本側として何ができるか考えていきたい。
(この記事は労働情報653.4号に発表された飯田さんの報告に山崎が後半部分を加筆したものです。転載を了承してくださった労働情報に感謝します。)
BSE検査と日本の消費者の食品安全に関するチームスター労組ローカル556の決議
▽ 我々は精肉加工労働者としてまた消費者として健康的で安全な製品の生産に努めてきた。
▽ 日本は米国産牛肉の最大の輸入国である。
▽ 牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛がワシントン州で発見されてから日本は米国産牛肉の輸入を禁止した。
▽ タイソン食品会社パスコ工場の製品の重要な顧客である日本の消費者は完全な全頭検査が食品の安全上不可欠であると考えている。
▽ 日本の消費者は米国産牛肉のBSE全頭検査を要求している。
▽ 日本では法律により牛肉のBSE全頭検査が実施されている。
▽ 米国の科学者と消費者団体は、「BSEの危険性を完全に取り除くためには全頭検査が必要である。」と言明している。
▽ 消費者連盟の世論調査によると米国の消費者の88パーセントは農務省がBSE全頭検査を実施すべきであるということに完全にあるいは、一部同意している。
▽ 米国産牛肉が日本市場から締め出されたことによりローカル556組合員の労働時間は減少し雇用保障は脅かされ、家族にも苦痛をもたらしている。
▽ 我々は日本の働く仲間と消費者を尊重しており、その期待する水準に応える牛肉を生産することに献身している。
以上の理由により、安全な食品と雇用保障を求める運動の一環としてチームスター労組ローカル556は全ての精肉加工会社がBSE全頭検査を行うよう農務省に要求する。 さらに、チームスター労組ローカル556はタイソン食品会社がBSE全頭検査への反対を止め、米国や全世界の憂慮する消費者と協力して消費者の期待に添う安全な食品を確保することを要求する。
2004年6月 チームスター労組ローカル556
フード連合からタイソン・フーズへの手紙
親愛なる ジョン・タイソン様
私たちフード連合は、日本の連合に加盟し、食品労働者約10万人を組織する労働組合です。もちろん、タイソン食品との取引関係を持つ多くの企業の従業員も主要なメンバーとなっています。また、私たちは、かつての日本の食品企業の不祥事を踏まえて、職場から「食の安全・安心」を確保すべく、経営者の皆さんの理解も得て、「食の安全・安心」キャンペーンをおこなっており、政府の農水省や食品安全委員とも密接なコンタクトを持っています。
さて、このたび貴社のパスコ工場の従業員も加入するTeamsters
Local 556とコンタクトを取る中で、貴社のパスコ工場の労働環境の実態が必ずしも良好ではないことを知りました。賢明なる貴社経営チームにおかれては、当然ご理解いただいていることと思いますが、「食の安全・安心」は、十分に安全・衛生に配慮された職場環境はもとより、正しく人間的に働くことのできる労働条件・労働環境、従業員による問題点の指摘を貴重なものとする経営の姿勢などがあってようやく実現されるものです。その点において、Teamsters
Local 556の貴社への要求である「労働協約に、食品の安全への配慮、労働の安全への配慮、労使協議の充実を入れる」という内容は至極当然のことであり、私たちフード連合の取り組みとも一致するものです。
また、日本の消費者は度重なる企業不祥事によって、こうした企業姿勢なくして安心して貴社の製品を口にできないことを学んでおり、現状においては、貴社やアメリカの食肉協会が日本のマスメディアに広告すればするほど、むしろ日本の消費者の不信は高まるばかりとなっています。もし、貴社が日本において市場を確保し続ける意思があるならば、Teamsters
Local 556と十分協議をおこない、きちんとしたCSRを確立されることが重要です。そうした貴社の寛大かつ賢明な姿勢が、貴社の製品に対する日本の消費者の信頼を確保することにつながり、日本における貴社の利益を最大化することにつながります。
早期にアメリカ、そして貴社からの食肉の輸入が再開されることを願う消費者でもある私たちとしては、さらにTeamsters
Local 556のメンバーと同じように自らの働く企業の健全な発展を願う私たちとしては、貴社が、Teamsters
Local 556を敵対するものとせず、労使協議をおこない、彼らの職場からの声に耳を傾けて食品と職場の安全を確保し、CSRの充実に意をくだいて頂けるようここに要請するものです。
日本食品関連産業労働組合総連合会(フード連合)
会
長 渡邉
和夫
韓国民衆運動をかいま見た4日間
ソウル6月行動に参加して 寺本 勉(大阪教育合同労働組合)
6月12日から15日までの4日間、私はAPWSL関西、アタックの仲間とともに韓国・ソウルを訪れた。韓国の民主運動団体が呼びかけた「ソウル6月行動」に参加するためである。私にとっては、一昨年6月に「ワールドカップ対抗キャンペーン」として開かれた児童労働をめぐるシンポジウムに参加して以来、2年ぶりのソウルであった。今回は、日本からも労働組合や市民運動団体、NGOなどから100名以上が大挙して訪韓するということだったので、かなり気合を入れて臨んだ4日間でもあった。
大阪からソウルまでは約2時間、1月にインドのムンバイまで20時間かけて行ったことを思えば、あっという間という感じだ。APWSL関西のIさん、Hさん、アタックのMさん、Yさんとともにひとまずホテルで休息した後、12日夜の集会場である光化門近くに急いだ。世宗(セジョン)文化会館の正面階段付近で、APWSL韓国のチャン・チャンウォンさんと合流し、集会場まで案内してもらった。この4日間、チャン・チャンウォンさんにはさまざまな形で大変お世話になった。この紙面を借りて、お礼を申し上げたい。
■歌と踊りが目立った集会
集会はというと、日本では考えられないことだが、片側2、3車線ある大通りの歩道寄り二車線ほどを「占拠」して車を並べ、大きなトレーラーの上を壇上にしたものだった。参加者は車道や隣接する歩道上に座り込んでいる。ワゴン車の側面をスクリーンにして、演説の様子などをテレビカメラで撮影した映像がリアルタイムで映し出されていたりもする。音響も、プロ並みの豪華な機材を使っている。集会は、3年前米軍の装甲車にひき殺された二人の中学生、ヒョスンさんとミソンさんを追悼する黙祷から始まったが、そのプログラムの半分以上は歌や踊り、寸劇、パフォーマンスといった表現形式を採用していた。
労働歌にあわせて、女子中高校生らが壇上で踊る場面では、参加者の多くが立ち上がって一緒に体を動かしていた。私の隣に座っていたセーラー服姿の高校生も、労働歌を口ずさみながら楽しそうに踊っていたのが印象的だった。あらかじめ聞いていたスケジュールでは、6時から「ヒョスンさんとミソンさんを偲ぶキャンドルナイト」、続いて7時から「イラク派兵撤回および朝鮮半島の平和を求める汎国民集会」ということだった。言葉が全くわからないので不正確かもしれないが、いつのまにか集会が始まって途中で紙コップにロウソクを差し込んだキャンドルが配られ、しかも終了予定時刻が過ぎても延々と集会は続けられていたという印象だった。
日本からの参加者の多くは早々と次のイベント(ソウル行動前夜祭)会場へと向かって移動し、取り残された格好になった関西からの参加者は「どうせ遅れたんだし」と半ば開き直って、ゆっくりと腹ごしらえをして会場の東国大学へと向かった。タクシーの中から、走りながら移動する学生集団も見えた。タクシーの運転手が、「あれは○○大学」とか教えてくれる。東国大学の周辺は、東アジア経済フォーラムの会場である新羅ホテルの近くということもあってか、機動隊の装甲車や整列して座り込んでいる戦闘機動隊員の姿が目立った。この戦闘機動隊員は、徴兵の際に軍隊と振り分けられて配属された若者たちだという。
■深夜までワイワイと前夜祭
前夜祭は、「グローバリゼーションと戦争および米国に反対し、朝鮮半島の平和を求める文化祭」と銘打って、夜の10時からの開催だった。これまた終了予定の12時とは無関係に深夜3時頃までやっていたらしい。韓国の活動家たちのパワフルぶりには本当に驚かされる。会場は、グラウンドに舞台を特設したもので、観客はスタンドに陣取るという形だった。グラウンド周辺には屋台が林立し、鍋料理の材料がズラリと並んでいた。歌や演説に飽きてきたら、鍋をつつけるという按配だ。日本からの参加者は、「千と千尋の神隠し」をもじった寸劇を披露することになっていて、私たちが到着した頃には舞台裏で準備に余念がなかった。この寸劇は、ブッシュと死神が「グローバリゼーション!」「イラク派兵!」などと叫びながら子どもを追いまわし、それに民衆が反撃するというストーリー(だったと思いますが、違っていたら脚本を書いた稲垣さん、ごめんなさい!)で、韓国の人たちに大受けだった。私の印象では、「文化祭」という割には演説の時間が多く、「自由貿易協定・WTO反対国民行動」(KoPA)のイ・ジョンフェ代表をはじめ民主労働党の代表などが熱弁を振るい、その合間にはシュプレヒコールが唱和されていた。
■画期的な日韓共同集会の開催
翌13日は一日中、集会やデモに明け暮れた。まず、午前11時(の予定だったが、日本側参加者の到着が遅れたりして、30分くらい遅れた)から、大学路のマロニエ公園で「日韓FTA阻止!日韓民衆共同決起大会」が開かれた。この集会は、KoPA(韓国)と「異議あり!日韓自由貿易協定」キャンペーン、脱WTO草の根キャンペーン実行委員会(日本)の呼びかけで行われたのだが、さらに言えば1月の世界社会フォーラム(インド・ムンバイ)で行われた日韓共同行動が契機となって実現したものだった。集会参加者は日韓合わせても200名ほど。しかし、参加者の数以上に意味のある集会だったと思う。集会で挨拶にたったKoPAのイ・ジョンフェ代表は、NAFTA締結後の10年間でメキシコの労働運動が破壊されたという経験を引き合いに出して、日韓FTAによって韓国労働運動の獲得してきた成果が水泡に帰してしまう危険性があることを指摘した。
日本側を代表して、「脱WTO草の根キャンペーン実行委員会」の田中徹二さんが「日韓FTAは、日本の多国籍資本の利益に奉仕するもので、アジアの労働運動