「在留特別許可取得一斉行動」 (速報)No.19


●不許可になった2家族の訴状提出&法務省交渉
 6月30日に在留特別許可が不許可となり、提訴をすることを決めた3家族のうち、2家族の訴状を8月18日、東京地裁に提出しました。今後は法廷の場で、在留特別許可を求めていくことになります。また、残りの1家族についても近々訴状を提出する予定です。訴状提出後、法務省を訪れ、6月30日の不許可決定以来、収容されたままである父親と、2月に不許可となり同様に収容されているビルマ人、Mさんの仮放免許可が1日も早く認められることを申し入れを行いました。
 法務省側からは明確な答えは返って来ず、APFSの申し入れ書も受け取るだけは受け取るといった形式的なものでした。

●APFS子ども会議開かれる
 8月27日、浜松町にある船員会館にて「APFS子ども会議」を開催しました。
 これは6月30日に在留特別許可が不許可になり収容されている3家族の父親たち、2月2日に不許可となり半年以上収容されているビルマ人Mさんの仮放免が1日も早く認められことを訴えると共に、超過滞在の子どもの現状を同世代の子どもたちに広く伝え、理解してもらうことを目的にAPFSのメンバーの子弟が中心になって開いたものです。
 当日は6月30日に在留特別許可が不許可になった2家族の長女や7月12日、13日に出頭した子どもたちを中心に外国籍の子どもたち13名が参加しました。
 会議はそれぞれの自己紹介から始まり、日本の学校では外国人というだけでどうしても他の人より目立ってしまい「ワル」と思われ、ずっとイヤだったといった日常の不自由さや、国へ帰ることができないので母語を覚えるチャンスがないのがとても悔しい、もし在留特別許可が認められ母国と行き来できるようになったら、母語を学び、通訳になって日本と母国の交流に役立ちたいといったそれぞれの将来の夢など、活発な意見が交わされました。
 また、2月の裁決によって同じような境遇の子どもたちに在留特別許可が認められたことで自分たちにも希望が出てきたことはうれしいけれども、日本に住んでいる期間はさほど変わらないのに子どもの年齢が一つか二つ違ったことで在留特別許可が認められた家族と、認められなかった家族がいるのはとても不平等で納得がいかないとの声が多く寄せられました。さらには、日本人は景気の良いときには外国人の受け入れをだまって認めていたのに、不景気になると追い出そうとするのは差別だと思うし、自分勝手だといった声や超過滞在は悪いことだけど、どんな人でも人権が尊重されるべきだから、超過滞在外国人の人権を尊重するような策を望む声、超過滞在外国人が合法化されるような法律を作ってほしいなど、率直な意見も寄せられていました。
 残念ながら事前の準備不足のため、日本人の子どもの参加は引率者の大人を含めて4名となってしまいましたが、超過滞在の子どもたちそれぞれの思いに耳を傾けていました。
 会議の後半では、参加者の中で学齢前の2人をのぞいた小学5年生から高校3年生までの11名が「法務大臣様」宛てにそれぞれの思いを手紙に書き、翌28日の申し入れの際に提出しました。
 この日は翌28日の法務省前行動があったため、大半の子どもたちはそのまま宿泊。「もっと良いホテルに泊めてくれ」などと冗談まじりの不満の声もあったものの「学校の林間学校のようにあれダメ、これダメを言われないからラク」と夏休み最後の週末を修学旅行気分で楽しんでいました。普段は同世代の日本人か、日本に住む同国人の友人としか接する機会のない子たちですが、年齢や国籍がバラバラでも、違和感なく交流し、親交を深め合えたことも大きな収穫だったようです。
 なお、当日の意見及び法務大臣宛ての手紙の一部を9月前半にAPFSのHPに掲載する予定です。ぜひご覧下さい。

●8月28日、法務省前行動
 8月27日の子ども会議に続き、28日には子どもたちを中心に東日本入国センターに収容されている4家族の父親の仮放免を求め、法務省前にて座り込み及びリレートークなどを行いました。
 6月の裁決以来、不許可になった家族の子どもたちは、夏休み中にはなんとか父親の仮放免が認められるのではないかと期待していましたが、その希望がまったくないため「お父さんを返してもらうことを直接法務大臣にお願いしたい」との強い希望が出されていました。APFSとしてもその声に応えることができるようにと、同日、11通の子どもたちの手紙を携え、民主党の川橋幸子参議院議員の同席のもと、再び仮放免を求める申し入れを行いました。法務省側からは上原巻善法務省入国管理局警備課補佐官、礒部哲郎法務省入国管理局警備課執行係長、山中英俊法務省入国管理局警備指導官の3名が出席し、応対しました。申し入れは1時間を超える長いものとなりましたが、法務省側は当初「在留特別許可が不許可になったことは退去強制処分が決定していることだから、個々の健康状態などに問題がない限り、仮放免を認めないのが原則」「仮放免許可か否かは東日本入国センターが決定するもので、本省からの働きかけはできないので申し入れをされても困る」と強固な姿勢を示していました。APFS側から「働きかけではなく、せめてAPFSが本省に仮放免の申し入れを行ったことを東日本入国管理局に何らかの形で伝えてほしい」と要望を出しても「何らかの方法で伝えるようにする」と曖昧な答えしか得られませんでした。
 しかし、同席の川橋議員から「いつどんな形で伝えたかくらいは、最低限公開すべきではないか」との意見が出されたことで態度を軟化させ、川橋議員の事務所あてにAPFSから申し入れがあったことをいつどんな形で伝えたかを連絡することを確約しました。
 川橋議員より法務省の回答の説明があると、子どもたちからは一斉に「ありがとうございました」の声があがっていました。
 この日の東京は30度を超える残暑で子どもたちの健康が心配されましたが、大きな問題も起きずに無事、法務省前での行動を終了することができました。
 APFSでは川橋議員の事務所に連絡があり次第、再度、4名の仮放免を申請する予定です。詳細は後日、報告いたします。

2000年8月30日

ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(A.P.F.S.) 


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