「在留特別許可取得一斉行動」 (速報)No.9



 今年も残すところ10日を切りました。A.P.F.S.にとっても本当に忙しい1年でしたが、21名の結果はまったく見えない状態であることには変わらず、年の瀬ぎりぎりまで気の抜けない年末です。12月初旬から中旬にかけての動きをご報告いたします。


●シンポジウム報告

 12月11日、板橋区産文ホールにて、「岐路に立つ入管政策〜超過滞在者と在留特別許可〜」を開催しました。駒井洋筑波大学教授の基調講演に引き続き、パネルディスカッションが開き、在日コリアンの在留特別許可の経験、フランス、アメリカそれぞれの政府のアムネスティを含めた非正規滞在外国人への対応の現状、また「国際人権法と正規化」をテーマに、それぞれの分野の研究者からの報告がありました。当日は120名の参加がありましたが、研究者や支援団体の関係者だけではなく、学生、会社員など幅広い層からの参加があり、21名の問題への関心の高さがうかがわれました。
 なお、このシンポジウムの様子は、2000年1月下旬に駒井洋、渡戸一郎、山脇啓造編で、明石書店よりブックレットとして発売される予定です。シンポジウムの詳細をお知りになりたいかたはぜひとも一読ください。


●口頭審理まで79日は違反事由があきらかだから by 法務省

 12月14日、衆議院法務委員会にて民主党の北村哲男議員より、今回の21名に関しての質問が行われました。「これまで在留特別許可は日本人との結婚などに限って認められてきたが、日本人と身分関係にはなくても、日本社会に定着し、善良なる市民として、日本社会に貢献している人たちにも在留特別許可を認めるなど、幅広い観点から検討していく必要があるのではないか」といった趣旨の答弁の後、21名の在留特別許可に関して、具体的な質問が行われました。
 21名の審査については「個別のケースに関しては述べられない」としたものの、出頭から口頭審理まで79日という審査のスピードについては「日本人との婚姻のケースなどについては偽装結婚の疑いがあるため、慎重に審査する必要があるが、今回の21名は違反事由が明らかな、オーバーステイのため、審査にさほど時間はかからない」との回答でした。また、子どもの権利条約をどうとらえるか、さらには8月に入国管理法及び難民認定法が改定されたときに付帯決議として決定された「家族の結合」についてどう考えるかの質問に対しては、どちらも「決定に際しては、充分に配慮していく必要があると考える」との答えでした。
 なお、同日、研究者の共同声明に協力をいただいた研究者グループから、21名に関する質問趣意書が保坂展人衆院議員(社民党)より提出されました。1週間程度で回答があるとのことですので、結果がわかりましたら、また当速報にてお伝えいたします。


●キャラバン隊、北上中!

 12月15日、法務省前で出発式を行い「在特一斉行動」への理解と「27万人署名」への協力を全国の皆さんにお願いするための全国キャラバン隊が無事、出発しました。キャラバン隊は17日 北九州、18日 熊本、19日 福岡、20日 北九州、21日 大阪(〜24日)、25日 京都、26日名古屋、27日 静岡、28日 神奈川と九州から北上し、28日に帰京。法務省前にて報告会を行う予定です。日程は順調に進み、22日現在、関西地区にて活動を展開しています。
 以下、コムスタカ-外国人と共に生きる会、中島 真一郎氏からいただきました九州でのキャラバン隊の活動報告です。

12月17日 北九州港到着 (下関市での街頭宣伝活動)

  18日 正午から午後1時 熊本市 手取カトリック教会にて交流会
     (コムスタカ事務局メンバー5名と 熊本日々新聞社の記者1名の 計6名参加)
     昼食後、午後2時から4時頃まで熊本市上通りアーケード入り口付近で名で
     街頭署名運動、72名分が集まる

  19日 福岡市天神にて街頭署名(午後3時から午後4時半)あいにくの雨と寒さの
     なか11名で街頭署名活動、176名分が集まる。
     午後5時半から午後7時半、美野島司牧センターで交流会に10数名にて報告
     と意見交換がおこなわれる。

  20日 キャラバンメンバーは、夕方北九州港より関西へ


●一時旅行許可願いが不許可に

 全国キャラバンは当初、APFSのスタッフが車で各地を回り、各地の会場に当事者が駆けつける予定で、すべてのスケジュールを組んでいましたが、参加予定の当事者4名の一時旅行許可願が不許可となり、参加が不可能になりました。「本省の指示があり、今回の一時許可願いについては全員に認められない」とのことで、その理由は「許可に足る理由がない」ですが「具体的な理由については回答ができない」と詳細な説明は一切されませんでした。「一時旅行許可願」は主任審査官の裁量によってできるもので、不服を申し立てる制度もありません。APFSでは「在特一斉行動についての真実が知りたいとの全国からの要望に応えて行う行動であり、日本国憲法にも移動の自由、表現の自由は認められていること」「申請人には常時、APFSスタッフ及び現地の受け入れ団体の支援者がつくため、逃亡のおそれは全くないこと」「今回の行動は在特を求めている当事者自身が、在特取得のためにより有利になるための行動であること」などを明記した理由書を作成し、「入管から出頭要請があれば、即、帰京し、指定日時に出頭すること」を誓約した上で提出しましたが、不許可の決定に変わりはありませんでした。
 さらに、本省の所轄部門である警備課執行係と話し合いましたが、「今回の不許可処分については本省として指示は出していないし、各入国管理局の主任審査官の裁量によってなされていることなので、指示をするなどということはあり得ない、ただし、出先機関から意見を求められれば参考意見は言う」とのお役所的な責任の所在のはっきりしない回答が返ってきました。
 その後、せめて全国キャラバンの後半だけでも当事者が参加できないかと、12月22日に再び、1名の一時旅行許可願を申請しましたが、同日夕方、「やはり許可できない」との返事。キャラバンは法務省前の報告会まで当事者の参加がないまま、行うことが決定的となりました。今回の主任審査官の判断は納得いくものではなく、APFSとして厳重に抗議していくと共に、支援の輪がさらに広がるように、これまで以上に活発に活動を行っていきます。


●5300名分の署名は確実に法務大臣の手元に渡されます

 11月下旬より開始した27万人署名は、12月15日に第1回集約日を迎えました。全国各地から集まった署名はちょうど5300名分。12月20日、APFSの吉成勝男代表とスタッフ「21名に日本の暮らしを!27万人署名」実行委員の計5名が、5300名分の署名を法務省へ提出してきました。APFS側からは「27万人署名はこれからも続き、規模の大きな団体の集約分は第2回以降に集まること」をアピールすると同時に「これらの法務大臣に直接、渡していただき、21名の結果を慎重に検討してほしい」とこちらの要望を伝えました。法務省側は最初こそ「法務大臣に渡す」ことへ難色を示していましたが、最終的に「渡す」ことを確かな回答を得ることができました。これは5300名分の署名を法務省としても重く受け取らざるを得ないことの表れといえるでしょう。

 第1回集約まで1ヶ月足らずとわずかな時間ながらも、5300名分の署名を集めることができたのは、全国の皆さんのご協力のたまものです。本当にありがとうございました。ひとまず第1回集約と法務省への提出が無事終了したことの御報告と御礼を申し上げます。
 第二回集約は2000年1月下旬の予定です。詳しい日にちは後日改めてご報告いたします。

1999年12月22日 
ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY
(A.P.F.S.)


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ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY (APFS)