■■ 在留特別許可 ■■

サンドラ(ミンソウセイ)母子が在留特別許可を取得!!

−小学5年生、11才の娘と母親の母子家庭に異例の在特−

 

■ 引き裂かれた母子

 ビルマ(ミャンマー)国籍の女性、ソウソウミン(愛称スージー)さんは1992年に来日しました。そして日本人男性との間に子どもを身ごもりました。しかし、妊娠の事実を告げる前にこの男性は彼女の前から姿を消してしまったのです。残された彼女は、不安を抱きながらも一人で娘ミンソウセイ(愛称サンドラ)を出産し、養育してきました。娘のため、額に汗して必死に働いてきたのです。ミンソウセイは小学5年生となり、デザイナーになる夢を抱くようになりました。母子は地元の新宿区大久保地域に溶け込み、地域住民から愛されて生活をしていました。ところが、悲劇は2006年11月5日に起こりました。

 母ソウソウミンさんが職場へ向かう途中で警察により入管法違反容疑で逮捕されてしまったのです。20日間の留置を経て、母親は東京入国管理局に収容されました。そして退去強制手続きが始まりました。

 娘のミンソウセイは母親の逮捕直後から12月27日まで区内にある児童相談センターの一時保護所に保護され、大好きな小学校へ通うこともできない状態となりました。ミンソウセイの心に取り返しのきかない深い傷が刻まれてしまったのです。

 

■ 在留特別許可を求めて

 サンドラ母子は地元、新宿区で多くの友人に囲まれ暮らしていました。母親の摘発を知るや、こうした人々が中心となり「サンドラ母子を支える会」が立ち上げられたのです。独自の弁護団も結成されました。また、大久保地域で多文化共生のまちづくりに取り組む「共住懇」も「支える会」をサポートするようになりました。

11月中旬に「支える会」より相談を受けたAPFSでは同会と連絡をとりつつ支援の準備を始めました。

 東京入国管理局長は収容期限の60日間以内に在留特別許可の裁決を出すことができず、母親は2006年1月17日、仮放免となりました。(次回仮放免更新期日は3月14日)これで母子のケースは年間数百件しかない法務省案件となったのです。これを受けて「支える会」は構成団体を「スープの会」「APFS」「共住懇」「サンドラ弁護団」として新たに再出発したのでした。それぞれに得意分野を持つ各団体が有機的に結合し、巨大な波を作り、何としても母子の在留特別許可をかちとろう、ということが確認されました。

 仮放免直後の1月20日、「支える会」代表の後藤浩二さん、弁護団の張學錬弁護士、山口智之APFS事務局次長の3名が辻元清美衆議院議員秘書の大塚さんと共に法務省交渉を行いました。また、それぞれの団体のネットワークを使い署名活動を開始。2月15日に母子の地元、大久保での支援集会を企画するなど、在留特別許可へ向けて皆が気持ちを一つにして突き進み始めたのです。

 

■ 運命の日

 2月6日、東京入国管理局より母子に連絡がありました。2月10日に裁決が出されるとのことでした。全く予想外の出頭命令でした。母親の仮放免から一月も経っていません。異例の早さです。「支える会は」急遽、手元に届いていた署名を集約し、東京入国管理局へ提出しました。(590筆)

 当日、母子は支援者と共に入管の審判部門に向かいました。普段は明るい笑顔をふりまく娘のミンソウセイも不安気に母親の手を握りしめています。

 支援者は待合室で待機。母子が個室に入っていきます。

 やがて個室から母子が出てきました。支援者が声をあげます。「在特が出た!!」

 在留特別許可が(在留資格「定住者」)が無事に認められたのです。母子を囲んで「おめでとう!」と喜びの声が飛び交いました。母親は涙を流しお礼の言葉を繰り返すのみです。

 その後、入管前で取材を受け、午後からは司法記者クラブで記者会見が行われました。母親のソウソウミンさんは「辛かったけれど、子どものために警察署や入管の中で頑張りました。みなさん、ありがとうございました」と涙で語りました。また、ソウソウミンは並み居る記者やテレビカメラの前で緊張しながらも「うれしいです。ありがとうございました」としっかり語ってくれました。

 

■ 異例の在留特別許可

 今回のケースは、「日本国内に強固な生活基盤が形成された」ことを理由としてこれまでに在留特別許可が認められた家族と比べ、かなり特殊で難しいケースでした。

 なぜなら、@これまで考えられてきた黙示的判断基準より子どもの学年、年齢が低い、A 出頭申告ではなく摘発先行型であった、B母親のパスポートに事実と異なる記載(生年月日)があり不法入国と認定されていた、C生活が不安定な母子家庭であった、D父親が日本人であることは立証できていなかった、等々の不利な要素が重なっていたからです。まさに異例中の異例といえる裁決結果でした。

 しかし、考えてみれば、日本で生まれ育った11才の子どもとその母を無理やり日本から追い出す(退去強制)することなどどう考えても許されるはずがないのです。サンドラ母子のような非正規滞在家族は数多く存在します。法務省−入国管理局は今後も人道的見地に立って在留特別許可の積極的運用を行うべきです。

 

 最後になりましたが署名活動にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 




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ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY (APFS)