「2001年の相談内容の全体傾向」

 

 毎週土曜日の3時半から行っているAPFSの相談活動には、数字に表れないものも含めると、年間7〜800件の相談が寄せられる。大まかに見ると、その6割は労働相談、3割はビザなどの在留資格の相談、そして1割が医療・生活相談である。

 ここ数年の特色としてあげられるのは、まず労働相談では長引く不況を反映して、解雇と未払いがますます増えていることだろう。解雇の場合は予告もなく、いきなり「明日から来なくてもいい」と通告されるケースがほとんどだ。未払いも高額化し、何ヶ月も未払いが続いたあげく、会社が倒産するケースも多くなってきた。  

  また、解雇の理由として「研修生を入れる」という口実も目立っている。研修と実習を含む「技能実習制度」は、1992年の発足当初から外国人単純労働者を確保する抜け道となっている。しかし、少子化による労働者不足を補おうと、2000年初頭から政府や財界が外国人受け入れに動き始めたため、これまで日本の単純労働市場を担ってきた超過滞在者を切り捨て、「さらに安くて」「安全な」研修生に切り替えようという雇用者が、増えているためらしい。

 在留資格関係の相談として、1999年に始まった「在特一斉行動」以来、めっきり増えているのは、小さな子どもを持つ超過滞在家族からの「在留特別許可」に関するものだ。この「在特」に関する相談は年間で百数十件、毎月10件を下らない。

 結婚関係の相談では、以前は日本人と超過滞在者の結婚や、その後の「在特」を取得する際の相談が多かった。しかし、最近は日本人との結婚による「在特」が取りやすくなったため、在特申請中に夫が逮捕されたといった、問題のあるケース以外の結婚相談は少なくなり、かわって、離婚に関する相談が増えてきた。

 離婚の相談では、一方的に離婚届を出された、子どもの親権を取りたいといった外国人男性側からのものがほとんどで、知らない間に妻に商売の名義を書き換えられていたというような相談もあった。

 移住労働者の長期滞在・定住化が進むなかで、税金、交通事故、医療など、生活に根ざした相談も増えてきた。税金関係では還付に関するものが多く、雇い主が源泉徴収票をくれないといった相談が中心だ。これは税金還付に関する情報が一般化したためだが、情報が一人歩きして「払った税金はすべて戻る」という誤解も生じている。

 交通事故では、自転車に乗っていてはねられるといった日常的なものが増え、被害者のはずが責任を問われた、降りるはずの保険が十分に降りなかったというような、言葉の不自由さによって不利益をこうむるケースが目立った。

 医療関係では、ガンになったバングラディシュ男性から相談を受け入院させたが、3ヵ月後に亡くなった。この男性の遺体はAPFSのメンバーからの募金で、本国に送り返されている。





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