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『ＡＣＴ―市民の政治―』177号（2002年9月9日）

Line　Up

　　◆茨城県笠間市「ふじみ湖」
　　　　　　　湖が巨大な産廃処分場に
　　◆CATCH　UP　　◆いずみ（編集長コラム）
　　◆［１面関連］　湖保存運動・田中宏さんに聞く
　　◆「チェチェンの子どもを支援する会」通信�B
　　◆平頂山事件訴訟判決とその意味（上）
　　◆〈ニュースの焦点〉　東京電力の大不正事件と臨界事故、そして浜岡原発
　　◆〈末端私論〉　中野区長選報道に質問
　　◆〈写真コラム・路傍の片隅から〉�B
　　◆OLのつぶやき（16）
　　◆ＡＣＴ平和講座・「有事法制」３法案と立憲主義の危機�@
　　　　　　　　　　古川純（専修大学／憲法学・平和学）
　　◆いまなぜ教育基本法を改定するのか（上）
　　　　　　　　　　矢倉久泰（教育ジャーナリスト）
　　◆経介☆政子の永田町たちばなし（７）
　　◆虹と緑の500人リスト　第５回総会報告
　　◆第３回ヨーロッパ緑の党連盟総会報告�A　今本秀爾（緑の政策ゼミナール・関西）
　　◆自立支援訴訟・萩原さん再び勝利
　　◆市民派議員リレートーク（51）　朝倉幹晴（千葉県船橋市議）
　　◆小田急高架事業訴訟・高裁審理へ
　　◆ECOひいき　静岡　ふぇあうぃんず
　　◆BOOK Review
　　　　　にしおけんじ 著　　やまだひろみ　絵　　『戦車は止まった』
　　　　　石川真生　『沖縄ソウル』
　　◆［映評］　『ロバート・イース』（アメリカ／監督：ケイト・デイビス）
　　◆2002･8･6ヒロシマ　戦争と核のない世界へ
　　◆広告（３面）　『軍縮』8月号ほか……宇都宮軍縮研究所
　　　　　　　　　　　 『オバハンからの緊急レポート』・『言論の覚悟』……創出版
　　　　　 　　　　　　ビデオシリーズ『人権ってなあに』……�潟Aズマックス
　　　　　　 （６面）　『虹と緑』12号……虹と緑・地方自治政策情報センター

この湖が巨大な産廃処分場に

　　　　　　　　　　　写真提供：ふじみの輪

茨城県笠間市「ふじみ湖」
県の第３セクターが10月着工へ
希少生物もろともやられてしまう

　いま、世界一若い湧水の湖が、産業廃棄物最終処分場建設のために、そこに住む貴重な動植物とともに、葬り去られようとしています。最大水深39ｍ、外周約1.2km、面積約３万�u、青く透明な、小さいけれども美しい湖。地図上では探せないその湖は地元の人びとから、いつの頃からか「ふじみ湖」と呼ばれています。
　茨城県中西部に位置する笠間市福田地区に、突如としてその姿を現したのは、今から15年ほど前。86年に閉山した採石場跡地から湧き出す地下水により、閉山後１年で、ＰＨ８の弱アルカリ性湖水を満々と湛え、今日にいたる時の流れのなかで徐々に周辺の自然環境を回復し、豊かな湿地帯を形成してきました。
　湧水量は毎日100トンともいわれ、伏流水を含めればどれだけになるのか、正確にはわかりません。これまで一度もきちんとした調査がおこなわれてこなかったからです。
　そして、この湖と周囲の里山は、オゼイトトンボ（生息地南限）、ハッチョウトンボ（全国有数の生息密度）、タガメ、ゲンジボタル、オオタカ・ハイタカ・ノスリなどのタカ類やヤマセミ、シラン（自生地北限）など、多様な生物の宝庫となっています。
　また、隣接する涸沼川（ひぬまがわ）には清流のシンボル魚であるギバチが棲息し、その下流には、62種類の魚類やシジミ、ヒヌマイトトンボが棲息する汽水湖、涸沼があり、周辺九市町村の上水源にもなっています。

　エコフロンティアかさまという名のイカサマ

　この湖を埋め立ててまで産廃処分場の建設が予定されているのです。県が100％出資し、市が一般廃棄物の焼却を委託する、（財）茨城県環境保全事業団が運営管理する県内の産業廃棄物最終処分場（埋立量240万�u）および溶融処理施設（処理能力145トン／日／二炉）の名称は、「エコフロンティアいかさま」ならぬ「エコフロンティアかさま」。冗談のような本当の話なのです。
　笠間市民にとってのメリットは、現在稼働中の古い焼却炉を自前で建て替えることなく、県の第三セクター（といってもほとんど県の直営）に委託し「ダイオキシン発生の少ない最新鋭のガス化溶融炉で焼却できる」という点。
　しかし実際に笠間市民三万人が出す一般廃棄物の量は、11年で「エコフロンティアかさま」を満杯にする廃棄物の総量のうち１％、あるいは0.1％という試算もあります。つまり、笠間に集められるごみのほとんどすべては、茨城県内の産業廃棄物ということになります。
　さらに、建設予定地の福田地区には二百世帯ちかくの住民がくらしています。涸沼川の清流のほとり、豊かな里山と水田が広がり、そこで生産される上質の米とそばを心から誇りに思う人びとが生活しているのです。
　99年10月、茨城県公共処分場懇話会によって採石場跡地＝ふじみ湖が「最有力候補地」に選定された当時、一致団結して計画に反対した福田地区も、それから３年、行政などからの「いじめ」「いやがらせ」によって少なくない住民が切り崩されたと言われています。それでも、最近のアンケート調査によると、７割の住民が「断固反対」の強い意志を貫いています。
　ですが、時間は止まってくれません。10月着工が目前にせまっているのです。

観光と芸術のまちに与えられた贈りもの

　笠間は、近世には笠間稲荷の門前町、笠間焼の名で知られる焼き物のまちとして、近代に入ってからは御影石の産地として栄えてきた、観光と芸術のまちでもあります。
　そんな笠間の人びとにとって「ふじみ湖」という存在はどれほど素晴らしい自然からの贈り物でしょう。湧水それ自体が貴重な資源であり、笠間市民にとっては重要な観光資源になりうるでしょうし、また笠間を訪れる人びとにとっても自然とふれあい自然から学ぶための得がたい教材となるにちがいありません。
　しかしこの３月、笠間市内で7000筆、市外から１万5000筆の合計２万2000人分の署名を集めた反対請願を、市議会は14対１という圧倒的な数の力によって不採択としました（棄権３、欠席１）。５月の市長選でも、反対派候補の善戦及ばず、現職の３選を許す結果となり、地元住民や市内の反対運動にとっては厳しい情況がつづいています。
　21世紀は水の世紀ともいわれます。秋の国会では自然再生法案の審議、来春には日本が議長国になって世界水フォーラムの開催が予定されています。湧水湖をごみで埋めたてる公共事業など世界的にも前例がないそうです。
　「ふじみ湖」を守れるかどうかは、笠間市民、茨城県民にかぎらず、日本市民に突きつけられた喫緊の課題です。　

大島　正裕（編集委員）

★「ふじみ湖プロジェクトＹ・ふじみ湖保存賛成」のWebサイト　
　　　　　　　　　　　　　　　　→　http://homepage3.nifty.com/hujimiko/

２面に関連記事掲載

いずみ

　ヤッシーが勝った。よもや負けるとは思わなかったが、保守の侮れぬ底力が骨身にしみている者としては、一抹の不安を拭いきれなかった。加えて対立候補は女性である。一般的に女性は権力欲薄く、清廉潔白とみられている。前回の選挙では、ヤッシーのペログリ三昧が、女性にややそっぽを向かれたのかもしれない。敵の人選は巧妙だと感じ入り不安は倍加していた。
　ヤッシーは、なんと開票率１％で当確。ダブルスコアに近い得票で圧勝した。しかも前回苦戦した郡部と女性票でも大差をつけて勝った。理屈っぽいと言われる長野県民だが、前回の勝利がいささか情緒的ムード的勝利だったとすれば、今回はまぎれもなく県民の理性の勝利である。
　ゼネコンと民主党ボス羽田に食い物にされ、１兆6000億円もの財政赤字の元凶である公共事業費を、ヤッシーは今年度だけでも18％もカットした。数千億円かかるダム建設も中止した。国への愚かな陳情もやめた。そのかわりヤッシーは地元の伝統産業の復活のために、たとえば造林予算を50％アップした。福祉、医療、教育など緊要緊急の予算は増額した。県民はヤッシーの政策に共鳴したのだ。
　知事室をガラス張りにし、特権的記者クラブ制度を廃止し、どこにでも出かけて市民と直接対話する手法は、たしかにパフォーマンスである。しかしこのパフォーマンスは透明度と開放性を高め、特権制を排除するヤッシー流政治手法の象徴なのだ。だから旧来の政治から疎外されてきた人たち、たとえば郡部の女性などに圧倒的に支持された。
　マスコミや評論家は「こわすから創る」への二期目の出発にあたって、政策ブレーンを擁し、県議会と折り合いをつけろという。ヤッシーマークも外せと忠告する。要するに「創る」ためのおとなの智恵を磨けというのだ。
　おとなの智恵が徳島県や千葉県の知事のような智恵を意味するのであれば、そんな浅智恵は不要である。勲章よりヤッシーマークが似つかわしい。こどもの蛮勇と恬淡さを笑ってはならない。来春の県議選に、蛮勇ふるって古狸（おとな）を追い出せ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小寺山康雄　

ECOひいき

ふぇあうぃんず　（静岡）
　＊フェアトレード＆エコロジーショップ＊

　「フェアトレード」という言葉をご存知でしょうか。フェアトレードとは、アジアやアフリカなどの生産者から労働に見合った適正な価格で商品を買い取り、輸入することで人びとの経済的自立を助けようという、貿易による国際協力の形です。
　当店は静岡県の浜松市内で初のフェアトレード専門店として今年四月にオープンしました。店内には、インド、ネパール、ケニアなど十数ヵ国からフェアトレードで輸入した商品がたくさんあります。
　フェアトレードの商品はまた、環境保全型商品でもあります。製品は現地で豊富に手に入る自然素材を用い、手編み、手織り、草木染め、伝統的な自然農法など、人や環境負荷を与えない方法で手作りされます。オーガニックコットンのシャツ、有機栽培のコーヒー、ポリビアの無農薬ココアを使って作ったチョコレートなどは、フェアトレードというだけでなく、質の良さ、おいしさからもたいへん人気があります。
　何かを買うという行為は、その品物を作る人、流通する人、販売する人を支援することになります。フェアトレード商品を買っていただくことは、途上国の貧困をなくし、地球環境を守ろうと努力している人たちを経済的に支えることになるのです。
　コーヒー、紅茶、Ｔシャツなど、どうせどこかで買うものであれば、ぜひフェアトレードのものを選んでください。
　近くにお越しの際には、ぜひ当店にお寄りください

【連絡先】浜松市元目町128−１
　　　　　　TEL　053-455-0650（FAX兼）
　　　　　　fwind1@aol.com

店・モノ・活動を‘ECOひいき’!!

　ＡＣＴの名物コーナー「ECOひいき」に登場してくださるみなさんを募集しています。「ECO」なお店、会社、グッズ、運動、などを是非、ＡＣＴで紹介させてください。自薦・他薦は問いません。紹介文は、本紙だけでなく、ＡＣＴのウェブサイドにも掲載させていただきます。
　�@お店・グループ名　�Aお店の紹介や商品説明、活動案内（500字以内）　�B連絡先（お店などの場合、「行き方」も）　�C執筆者氏名　�D掲載紙送付先・原稿に関する問い合わせ先　―を明記し、ＥメールかFAX、もしくは郵便でＡＣＴ編集部［act@jca.apc.org］までお送りください。地図・写真などを添付していただければ、それも一緒に掲載いたします。（編集部）

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