第2回口頭弁論(1999年5月11日)

被告準備書面(第一)

 被告は、本準備書面において、訴状記載の原告らの主張に対し次のとおり反論を述べる。

第一 本件使用裁決の適用性

一 被告は、以下のとおり、駐留軍用地特措法14条、土地収用法47条の2基づいて本件使用裁決をしたものであり、右裁決は適法である。

1 那覇防衛施設局長は、平成8年3月29日、被告に対し、駐留軍用地特措法14条、土地収用法39条、40条に基づき、本件土地について、使用裁決の申請をした。

2 これに対し、被告は、平成10年5月19日、駐留軍用地特措法14条、土地収用法7条の2に基づき本件使用裁決をした。

二 原告らは、土地調書、物件調書や図面の作成手続きに違法があるから、本件使用裁決は違法であると主張する。しかし、以下に述べるとおり、原告らの右主張は理由がない。

1 裁決申請書添付の土地調書添付図面の作成時期について

 原告らは、土地調書の実測平面図は使用認定後に作成が義務付けられているとの前提に立って、右図面が使用認定の前に作成されているのは違法であり、したがって、本件使用裁決も違法であると主張する(請求の原因第4の2)。

 しかしながら、駐留軍用地特措法はもとより同法が適用する土地収用法も、土地調書の実測平面図の作成時期については何ら規定を置いていない。したがって、右図面を使用認定前に作成していたとしても、何ら違法の問題は生じない。原告らの右主張は、失当である。

2 裁決申請書添付の土地調書、物件調書作成の違法性について

 原告らは、土地収用法36条2項は、裁決申請書添付の土地調書及び物件調書を作成するに当たり原告らの地権者の現地立会権を保障しているとの前提に立って、右調書が地権者らの右立会いの機会を保障しないまま作成されたのは違法であり、このような違法な調書に基づいてされた本件使用裁決は違法であると主張する(請求の原因第4の2)。

 しかしながら、土地収用法36条2項は、土地調書及び物件調書が有効に成立する署名押印の段階で、調書を土地所有者及び関係人現実に提示し、記載事項の内容を周知させることを求めているにとどまり、土地調書及び物件調書作成の全過程で、土地所有者及び関係人に立会いの機会を与えることを要求しているものではない(最高裁平成8年8月28日大法廷判決・民集50巻7号1952ページ参照)。したがって、原告らの右主張は、その前提において失当である。

第二 本件使用認定の適法性

 原告らは、本件使用認定は「適正かつ合理的」の要件を欠く違法なものであるから、これに基づく本件使用裁決も違法であると主張する(請求の原因 第4の1ないし6)。

 しかしながら、仮に、本件土地の使用認定に取消しを得るべき瑕疵があるとしても、これが取り消されない限り、被告は、有効な使用認定が存在することを前提に、使用裁決をするものである。すなわち、本件使用認定に取り消し得べき瑕疵のないことは、被告が使用裁決をするための要件ではない。本件使用認定の瑕疵の有無は、その取消訴訟(既に御庁平成7年行ゥ第9号事件として係属している。)で審理判断されるべき事柄であって、本件訴訟における審理の対象ではない。

 なお、原告らは、使用認定に無効とすべき重大かつ明白な瑕疵が存する場合には、これに基づき使用裁決をすることができず、違法というべきであるとも主張する(請求の原因第1の1)が、原告らの右主張は、何ら本件使用認定の無効事由を具体的に主張したものではないから、本件使用裁決の違法の主張とはなり得ない(最高裁昭和42年4月7日第二小法廷判決・民集21巻3号572ページ)

第三 日米安保条約、日米地位協定、駐留軍用地特措法の合憲性

 原告らは、日米安保条約、日米地位協定が違憲無効であり、これを実施するために制定された駐留軍用地特措法そのものも違憲無効であって、無効な同法に基づく本件使用裁決は無効(違法)であると主張するが、原告らの右違憲の主張は争う。

第四 結論

 以上述べたとおり、本件使用裁決は、駐留軍用地特措法、土地収用法の規定にのって行われたものであって、適法である。

 したがって、原告らの請求は理由がなく、速やかに棄却されるべきである。



資料提供:違憲共闘会議


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