一坪反戦通信 Vol.81 一坪反戦通信 87(1997.9.8)

軍用地を生活と生産の場に!
No. 87
1997年9月8日
東京都千代田区三崎町
2-2-13-502
郵便振替 00120-8-45850  電話:030-910-4140  FAX:03-3386-2203
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック


◆本号の記事 ◆


(97年8月13日、名護市役所にて署名簿の提出)


名護市民が起ち上がった
市民投票実現にむけて。
緑深い山々を挟んで
東海岸から西海岸から。

「ヘリポート=海上巨大軍事基地」が
あっていいものか、なくてよいものか
それを決めるのは市民の一人一人。

暑くて、暑い夏
老いた人たちは土地の記憶を思い起こし
若い人たちはいい街をつくっていこうと
署名簿が重ねられていった。

一万九千七百三十四名(注)の声・声・声
イクナミヨと名づけられたその波は
今、名護市長と市議会に押し寄せている。

忘れるなかれ 二度の反対決議
命まで預けた覚えはないと、今
三度かかげる『ヘリポートはいらない!』


ヘリポートいらない名護市民の会による集計数。9月2日の名護市選挙管理委員会による集計では17,539名。記載のまちがいや二重署名などによる差と思われる。


第6回公開審理 & 名護市の闘いの報告

市民の会より安次富さん

 暦の上では秋になったが、まだ蒸し暑さが残る八月も末の三十日。関東ブロックは中野勤労福祉会館にて集会を開いた。平日の夜でもあり、予定を三十分遅らせて七時開始となった。

 夏休みともなれば闘争もひとやすみ?とはいかないのが沖縄の現実でもある。公開審理あり名護の闘いありで、いつもより熱い夏の報告を聞こうと集まった人たちで席が埋まった。

 高安さんの司会のもと、ここ数回定着してきたスライドによる説明も加わって、約二時間半、いつもより多彩な顔触れの話を熱心に聞き入った。

今回は豊見城村立公民館にて

 冒頭、当山会長は先日死去された兼城賢二前会長に哀悼の意をささげ、地主側も「実質審理を行なう」と明言したことを高く評価、共に冥福を祈った。

 代行から会長になった当山さんは、会場からの「正々堂々とやれよ」の掛け声に「ありがとうございます」と応じるなど、余裕のあるところをみせて審理を開始した。

 地主側の意見陳述は、前回積み残しの(1)伊江島補助飛行場に加え、(2)瀬名波通信施設、(3)嘉手納飛行場についての順で行われた。

 (1)高宮城清さんは、五十年代、伊江島農民が耕作中に米軍に逮捕され即決裁判にかけられた、その時の傍聴の怒りを訴えた詩を朗読した。読むうちに当時の怒りが現実の怒りに重なる。次に長野真一郎代理人が、自由に出入りしている黙認耕作地・住宅地が、どうしても米軍に必要な土地とは言えない、と指摘した。

 (2)神田高代理人は新垣昇一さんの土地について、九十二年分断されて、いびつな形で返還されたため、住宅が建てられないことを指摘、裁決却下を主張した。

 (3)嘉手納弾薬庫内にある先祖の土地を継いで三代目の伊佐眞正さんは「思い出の土地を奪われた怒りは消えることはない。ここの弾薬でベトナムの罪のない人々が殺された。戦争につながるもには絶対に使わせない」と強い口調で言いきった。

 次いで当日参加した八王子市の中学教師の佐藤茂美さんから、伊江島の歴史は土地収奪と人権じゅうりんの歴史そのもであったことが非常に印象に残った、と感想が述べられた。

名護市民投票のゆくえ

 七月十二日の集会に次いで、再び名護から安次富浩さんにかけつけて頂いた。

 まず、八月八日をもって市民投票条例制定にむけた署名の集約期間が終了したこと、最終的な発表で一万九千七百三十四名、目標とした一万三千名をはるかに越え、実に有権者の過半数に達したことが報告された。

 この民意の重さを受けとめて、市民投票実現へ不退転の決意で望むことも強調された。

 今後の予定として、名護市議会が九月十一日に開かれ、ヘリポート基地反対議が一般質問を行なう。会期二週間の最後あたりに決議がなされるか、審議未了で先送りもありうる。推進協としては議会を傍聴して市民投票反対議員にプレッシャーをかけることを考えていることなどが明らかにされた。

さまざまな形でヘリポート阻止を

 東海岸には人魚伝説のジュゴンが生息しているのではないかと推測されている。それを守ることを運動の一つに据えたいと思う。

 九月十一日に発足する「海上軍事基地を許すな 島ぐるみネットワーク」も自然環境をメインにすえてやっていこうとしている。

 ヘリポートをつくるのに四兆円という試算が出ている。思いやり予算=国民の税金で払われるわけで、これを払わない運動もできればよい。さまざまな運動をつなげてヘリポートを阻止していこうとよびかけられた。

 最後に、今回の署名提出のため関東から三名が駆けつけたことに対して感謝された。その内の一人、前田けい子さんは署名した一人一人の思いが伝わってきた体験を語り、市長と市議会はぜひこの重みを受けとめるべき、と感想を述べた。

(野口)



普天間の移設先・辺野古ではいま −第3信−

 過日、名護を目指して一路、バスで東海岸を北上していた。辺野古にさしかかり、許田清香さんの描いた菩薩様が目に入る。ん?その横に新顔の立て看板が...。島袋勝雄さん率いる「辺野古活性化促進協議会」が今度は、はっきりと振興策を揚げている。三十分後に着いた名護十字路にある市民投票推進協の事務所でそのことを話すと、ヘリポート容認派の本音がわかって却って議論しやすくなった、と答えが返ってきた。

地元で勉強会

 キャンプ・シュワブと隣接する辺野古、その南に位置する豊原区、久志区で、この間二回、海上ヘリポートの勉強会が開かれている。六月二十三日には久志地区建設業界が、豊原・久志全世帯に呼びかけて、豊原区で行なった。

 講師は造船業基盤整備事業協会・メガフロート技術研究組合・マリンフロート推進機構から。

 約一ヶ月後の七月十六日には、辺野古公民館で「活性化促進協議会」が主催し、百名近くが参加した。沖縄海洋空間利用技術研究会からきた講師は、杭式桟橋工法を説明、防波堤をとりつける浮体式工法に比べ「潮害が少ない」「より多くの地元企業が参入できる」と話したという。

容認派も活気づく

 ヘリポート反対派が盛り上がると容認派も活気づくようで、今まで以上に動きをみせている。「活性化促進協議会」の会長の島袋勝雄さんは、有権者の過半数を越えた署名数に驚きながらも「署名活動では反対派の主張だけが一方的に宣伝された」という。そして今後は一層力を入れて、ヘリポート建設のメリットを訴えて行く方針を明らかにした。

 メリットとは何か?政府が県内移設をごり押ししてヘリポートを造ってしまうのであれば、その見返りとして最大限の振興策を獲得することに他ならない。子や孫の職場を確保し、あるいは学校を誘致して地域の活性化につなげようと思い描く。

 比嘉名護市長が言うように、過去、北部に予定されていた職業訓練短期大学、老人保養施設などが全てもっていかれたことがある。その北部の中でも、市中心部の西海岸に比べて東海岸はとり残されてきたという思いが強い。

 容認派が市とタイアップして政府から取り上げつつあるのが、国立高等専門学校とNTT番号案内センターの誘致二件である。この様なものが巨大軍事基地を抱え込み豊かな海を失ってまで得るに値するものなのか、と言うことは簡単である。そのような形でしか地域振興を図る手だてがないと思わせるしくみが問題ではないだろうか。それにも増して重要なのは、何を豊かさと考えるか、である。

                           (野口)


県収用委員会が基地内立ち入りを延期

「地主の立ち入り拒否は不公平」と

 沖縄県収用委員会は、八月二五日の臨時委員会で、米軍用地強制使用手続きの一環である、土地収用法に基づいて申請していた米軍基地内への立ち入り調査について、米軍が反戦地主・代理人らの立ち入りを拒否したことで延期することを決定しました。

 基地内立ち入り調査は、那覇防衛施設局が作成した土地・物件調書に地主が異議を付した土地や、地籍不明確地等について、直接地主を立ち会わせて現況を確認するのに必要な手続きです。

 強制使用対象地の一二施設について八月二五日、二九日と一〇月七日の三回に分けて行われることになっていました。

 当山・収用委会長は、会見で「収用委員だけで調査を強行すれば、これまでの審理をぶち壊しにし、逆に混乱を招く」と延期の理由を説明し、「地権者を立ち入らせて調査するのは、裁判でいえば現場検証のようなもの。地主を伴わない調査は不適正」と指摘して、従来通りの法的原則を貫く立場を示しました。

さらに「施設の管理・運用上の理由で米軍が拒否するのは納得できない」として、米軍に拒否理由を求めていくとしています。

今回の県収用委員会の決定は、実質審理をすると宣言している収用委員会の立場をいっそう明確にしたものです。反戦地主会・違憲共闘会議も「収用委員会が実質審理を貫く姿勢を改めて示したもの」として、収用委の決定を評価し、地主の立ち入り実現にむけてのとりくみを強化していくことにしています。


関連記事:沖縄タイムス琉球新報


ごまかしと逃げの防衛施設庁

建設省へも抗議・申し入れ行動

 関東ブロックでは九月四日午後、軍用地強制使用手続きに関して防衛施設庁と建設省に抗議申し入れを行った。参加者は二五人、強制使用への抗議と審査請求についての不誠意に対して激しく追及した。


この日の防衛施設庁への抗議・申し入れ行動の最大のポイントは、去る八月二〇日の萩・防衛施設庁長官発言。地元の反対運動等で「普天間の代替として海上ヘリポートができなければ、普天間基地の返還はない」という発言だ。まず九月三日付のヘリポートいらない名護市民の会から長官あての「萩防衛施設庁長官の平和を願う名護市民への脅迫発言に対する抗議決議」を読み上げて手渡した。

 対応した施設庁側は、普天間対策室・野中と用地調整室・木村(室長補佐)の二人。関東ブロック側が「海上ヘリポートに反対するなら普天間返還はない」などというのは脅しではないか! 脅しになると認めるべきだ! と追及した。施設庁側は、長官の発言の真意はちがう、脅しではない、SACO報告どおりの返還作業を続けているのだ−とごまかしの回答。

 しかし琉球新報に載った一問一答(八 月二一日)でも、県内移設ができなけれ ば「(普天間の返還計画も)動かない−としか言えない」と長官は明言している。

 また海上ヘリポート建設による環境への影響調査について、関東ブロックは「調査中だというのなら、調査の結果がまずいと判明したら建設はやめるのか? 」と追及、施設庁は「調査中、結果はまだ発表できない」の一点張り。得意の「逃げ」作戦だ。

 また八月二五日から予定されていた収用委員会の基地内立ち入りを「米軍の運用」を口実に拒否したことについて、関東ブロックは「米軍に『運用』の内容も聞かず、したがって理由もたださずに拒否するのでは、まったく『こどもの使い』ではないか! 」「どうして収用委員会の立ち入りならOKだったのに、地主が同行するのではNOになったのか?『米軍の運用』上ではなかったのか?」と追及。たじたじの施設庁側は回答できなかった。

 また建設省に対しては、五年間も私たちの強制使用裁決に関する審査請求を放置しておきながら、裁決の期限が切れた今になって請求人の意見聴取をするなどについて強い抗議を行った。

 対応した建設省側は、建設経済局総務課・土地収用管理室の堀、高橋。一二〇人の請求人という多数で、しかも他に類例のないケースだったために時間がかかったと経過を釈明したが、関東ブロックは「三年前にも今回(慌てて)やったことを、やろうと思いさえすればできたはず」と抗議した。建設省は「今回、沖縄開発庁の協力を得て、沖縄現地での口頭意見陳述ができた。三年前にはそうした方法を思いつかなかったので、できなかった」という。

 また請求している当の裁決が五年を過ぎて期限切れになってしまったことについて、関東ブロックは「請求人の請求権を奪ってしまったことは謝罪すべきだ」と要求した。しかし建設省側は「謝罪は(大臣決済が必要であり)できない」。

 さらに期限切れ後になって審査続行・請求人の口頭陳述続行をする<効果>については、「あくまでも一般論として」と断わった上で「たとえ期限切れであっても、違法の宣言を(建設省の)決定とするということもあり得る。どのような<救済>が可能かも含めて現在検討中である」という珍回答があった。


沖 縄 か ら の ア ピ ー ル

「伊江島土地闘争を映像で記録し、未来に生かす会」入会呼びかけ

(略称「伊江島土地闘争を生かす会」)

 映画「教えられなかった戦争」マレー半島編を創ってきた高岩監督が、沖縄編を創りたいという思いでここ数年取り組んできました。伊江島の阿波根昌鴻さんが保存している資料の整理作業をしながら、米占領下での伊江島の農民の土地取り上げ反対闘争を中心に据えた作品の制作が進められています。

 阿波根さんは、1950年代の闘争以来現在まで、反戦地主として生きてこられましたが、多くの記録を保存されています。膨大な量の写真、日誌、基地被害を克明に書き記した爆弾日誌、請願書、ビラ、録音テープ等々。その一部は著作や写真集で紹介されているものの、映像で表現されたものは、大衆的に使えるものとしてはきわめて少ない状況です。

 また、平和教育の修学旅行生なども多くが伊江島を訪れ、阿波根さんの証言や「ヌチドゥタカラの家」の保存されている展示に触れ、未来に向かって平和に生きるとはどういう事なのかを考え始める機会にもなっています。

 そこで私たちは、現在闘われている反基地闘争の源流ともいうべき50年代の反戦平和運動を担ってきた人々の、経験や思いを資料と共に映像で記録しておくことが、重要になってきている時期だと考えています。

 つきましては、伊江島土地闘争に関連する映像記録を永久に保存しよう、それもできるだけ長時間分を保存しようという高岩監督の努力を支え、また私たち自身が学び直すと同時に、これからの反戦平和運動に生かしていくために、是非とも「伊江島土地闘争を生かす会」にご入会いただきますようお願い申し上げます。

1997年7月7日


呼びかけ人(50音順)/有銘政夫(違憲共闘議長)/新崎盛暉(一坪反戦地主会)/池原秀明(反戦地主会事務局長)/石原昌家(沖縄国際大学)/謝花悦子(ヌチト゛ゥタカラの家)/新城晃(前伊江村教育長)/平良修(一坪反戦地主会) /高岩仁(映画制作者)/高嶋伸欣(琉球大学)/知花昌一(反戦地主会)/照屋秀伝(反戦地主会々長)/福地曠昭(人権協会)/村上有慶( 沖縄平和ネット)

(7月7日現在)


ご入会に関する問い合わせ先

▼関東ブロックも協力団体です。資金拠出の場合の振込先は郵便振替・01760−1−67333/口座名称・伊江島土地闘争を生かす会 (口数・金額は自由)


思いやり予算訴訟、東京でも始まる

年内に提訴へ

 今年五月一六日、「異義あり! 思いやり予算・関西」が国に対し、思いやり予算・米軍基地駐留経費違憲訴訟を起こした。これは沖縄の「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」のメンバーの「沖縄の基地をなくすために、思いやり予算の見直しなど日常生活でできることをしてください」という訴えに応えた行動だった。

 この関西の画期的なとりくみに、関東に住んでいる私たちの多くが共感し、積極的な関西の動きをうらやましく思ったりしていたが、いよいよ東京でも思いやり予算訴訟の準備が始まった。準備を進めているのは、先日結成された「米軍への『思いやり予算』を返せ! 訴訟<東京>」。

  「異議アリ! 関西」が日本政府を相手どった裁判を起こしたのに対し、「思いやり予算」を返せ! <東京>」では日本政府とともに米国政府をも訴える予定だ。「<東京>事務局」では両政府に対し、思いやり予算が国家予算に占める割合に応じた額の納税金額(消費税を含む)からの返還と、来年度予算執行に差し止めを求める準備を進めている。

 法的根拠のないまま、「思いやり」という名のもと、二、七〇〇億円が米軍の日本駐留のために支払われている。地位協定で規定されている米軍の駐留のための日本負担の費用などに使われているが「思いやり予算」は、それらととともに米軍の日本・沖縄駐留を「安上がり」なものにしている。

 「思いやり予算を返せ! <東京>」は、呼びかけ文の中で、思いやり予算をやめさせることが、米軍を撤退させるのに最も有効な方法であると訴えている。

 詳しいことはこれから決められるとのことだが、今年秋から年末ごろの提訴をめざし、原告になる人や賛同人の募集を始めている。

 年会費は三、〇〇〇円。

<連絡先>

 米軍への『思いやり予算』を返せ! 訴訟<東京>事務局

  東京都千代田区三崎町3-1-18 市民のひろば 気付

  電話:03-5275-5989、ファックス:03-3234-4118

   郵便振替口座:00120-4-406620「思いやり予算」違憲訴訟


 「異議アリ! 関西」の第一回裁判日は10月8日(水)午後1時15分〜2時大阪地裁202法廷で行われる。ぜひ支援を!
 (異議あり! 思いやり予算・関西 電話とファックス:06-562-6906)


地方分権推進委員会の勧告案と勧告

実質は国に権限集中

 米軍用地強制使用にかかわる地方分権推進委員会(実は中央集権推進委員会!)の動きをレポートしていた矢先に去る九月二日の分権委第三次勧告。それは八月二五日の勧告案で残した「沖縄の首の皮一枚」をも切り捨てたものだ。

 すなわち八月二五日の勧告案は、毎日新聞(八月八日付)が伝えるところの<強制使用の期間や補償額等を決める「収用委員会による審理・調査・裁決」については内閣法制局が防衛施設庁の内々の打診に対し、「収用委員会は財産権保護のため県に置かれている。その事務を国に移せば法制上の整合性が取れなくなる」>という問題点の指摘がある。埼玉新聞(八月二六日付)も「国の事務にする合理的な理由がない」と報道。大田知事が<分権委のヒアリングで「事務が)国に移れば財産権を侵害されるおそれがあり、県や市町村がかかわることができる仕組みを残してほしい」>(朝日新聞・八月二五日付朝刊)、<大田県知事が地元の総 意として「現行どおり、県や市町村が手続き面でかかわる仕組みを残してほしい」と述べた>(埼玉新聞)という意向を受けたかのように、<公開審理や裁決は引き続き県の収用委員会が行うこととする>(八月二五日付夕刊)ものだった。

 どんな経過があったのか明かではないが、去る九月二日に出された分権委の第三次勧告は、米軍用地の強制使用に関する限り、ミサイルを持たせるような内容だった。

 すなわち<▽強制使用を申請している防衛施設局長が審理途中で緊急使用を求めることができ、それに収用委員会が応じない場合は首相が裁決を代行できる▽

 申請が却下された場合、首相が却下を取り消して収用委員会に差し戻すだけでなく、新たに直接裁決できる権限を持てるようにする−−との制度も新たに加えた>(九月三日付・朝日)というとんでもないものである。これでは県に残される収用委員会は骨抜きで何の意味もなくなる。「収用委員会は財産保護のために県に置かれている」という内閣法制局の見解はどうなるのか?

 軍事基地があるということは、真っ先に攻撃の対象になるということだ。そのことを、その地で生活する人間の意思を問わずに、国家権力が土地を奪いとる。戦争が始まったら真っ先に死ね。そんなことが許されていいのか?

 橋本よ、沖縄を切って切ってめった切りにして、それでも足りずに足蹴にしてそれで「沖縄の気持ちはわかる」だと?それほど米軍に基地提供したければ、おまえの地元・岡山の土地を使え! おまえにそれができるか!

 大田さん、目を覚まそう。アメリカの奴隷・橋本にすり寄るのはもう止めようあなたの後には<国防の名の下に、住民の人権や自治の本旨が侵害されていいのか」という戦争体験にねざした国への不信感>(朝日・九月三日付)を持ったたくさんの県民がいる。



沖縄交流キャンペーンへの参加を

語やびら・パートII

 住民投票条例制定を求める名護市民の声の大きさに驚いた橋本首相は、“名護にヘリポートが建設されなければ、普天間基地の返還は実現しない”と恫喝をかけてきました。NONをヤマトからもつきつけましょう。

 それには現地の様子をしっかり知ることが大事。今年の沖縄交流キャンペーンは、名護から安次富浩さん・宮城次夫さん・宮城保さんのゲスト三人を迎えて行います。

 10月18日から25日まで、昼でも夜でも、大規模でも少人数でも、長時間でも短時間でもけっこうです。職場で地域で、集会を開いてください。

 日程・費用等、詳しいことは当関東ブロックの石塚(支援共闘部会)へ

  (電話:030-910-4140)

 ※現在、次の四地域の集会が決定してい います。集会成功のための協力・知人・友 人を誘っての参加も積極的にすすめてください。


 ☆キャンペーンへの賛同金は一口・団体3000円、個人1000円です。

郵便振替で送金してください:00150-8-12079 沖縄・一坪反戦地 主会関東ブロック


海上ヘリポートができれば?

死 ね ! と い う の か

 「ヘリポート」。まずこのことばが問題だ。このことばから連想されるのは、県庁の屋上などに(H)と記された災害救助用のそれであって、「危ない」などいうことは頭の片隅にも浮かんでこない。ところが、日米両政府がキャンプ・シュワブ沖に建設をもくろんでいるそれは完全な海上軍事基地(1500m×600m)なのである。 いま万歩さがって、「日米軍事同盟条約」(安保)に基づく軍事基地建設を認めたとしても、これはとんでもないものなのである。

 以下、沖縄タイムス(六月二三日付)に載った琉大・亀山統一氏の話をもとに問題点を報告する。


1500m×600mの下で

 横須賀で300m×60mの海上構造物を造って実験したところ、三か月だけで植物プランクトンが1000分の1、動物プランクトンが100分の1に減少した。

 海は大気と接しているから生物を育める。海の表面を鉄板で覆うのは、人の首にビニール袋をかぶせるようなものだ。鉄板の下に酸素を含まない水ができる。

 また太陽の光があたらないので水温が下がる。酸素ゼロで低温の水が外側に広がれば、そこにすむ生物は死滅する。

 さらにヘリポートの兵員は4000人といわれ、汚水・排水は大変な量になるこれが処理しきれずに、赤潮の発生につながる。これは沖縄の海にとって危機的なことだ。

 確実に言えることは、いまの辺野古漁港からの航路を変えないといけないということ。制限水域も多くつき、事実上漁港は機能しなくなる。陸側にキャンプ・シュワブがあって、海に巨大基地があって、地元住民は基地内に住みなさい、といわれているようなものだ。

 問題はまだまだある。廃油や燃料が漏れて流れ出た場合。空港に義務づけられた二四時間点灯によるウミガメの産卵への影響。鳥類生息区域の分断、北と西に300mの山がそびえる過密な飛行ルートから予想される事故などなど。

 七月末日にボーリンク調査予定地の調査に訪れた県職員の前で嘉陽宗儀さん(七六歳)は「『私を殺してから調査に行 け』とたちはだかった(『沖縄タイムス』8月25日付)。

 キャンプ・シュワブ沖に巨大海上軍事基地を造るということは、海の生き物を殺し、大浦湾の海によって生きる海人たたちに「死ね!」ということなのである。


★★★★ 「命育む美ら海」絵はがき(リンク) ★★★★


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