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第98号(1998年10月31日発行)

審査請求の却下を建設大臣へ要請

 去る八月二〇日、強制使用の認容裁決に対する提訴後間もなく、反戦地主会会長・一坪反戦地主会代表世話人らが沖縄から建設省へやってきた。建設省に対しては強制使用の却下裁決を尊重して「審査請求の却下決定を!」と第一回の要請行動を行なった。

 この要請行動には古堅代議士(共産党)と島袋参議(社会大衆党・二院クラブ)も参加した。

 要請側からは「不服審判として認められている審査請求は『国民』の側からのはず。その趣旨からして那覇防術施設局からの請求は不当」、「那覇防衛施設局は国の機関ではないとでもいうのか?」と追及した。

 しかし建設省は、「起業者は民間であることも、国の機関であることもあり得る。どちらのケースであっても審査する」と回答し、持参した要請文の趣旨についてほとんど無視した。


 この日夜、昼間の要請行動についての報告集会が飯田橋のシニアワーク・東京(講堂)で開催され、二〇〇人が参加した。

 安里秀雄さんの司会で行なわれた同集会では、「建設大臣に会うからというので」背広姿で参加した照屋秀傳さんが「大臣どころか、あれでは門前払い」と不満を表明したほか、有銘政夫さんも「認めると審査請求ができなくになるからだが、那覇防衛施設局が国の機関かどうか、答えないでとうとう逃げてしまった」と憤懣やるかたない思いを語った。

 なおこの日、建設省に先だって防衛施設庁に対して抗議行動が行なわれ、去る七月二九日、A・関東ブロック会員への普天間基地損失補償金支払時の警察官導入について追及が行なわれた。防衛施設庁側は用地調整室・木村専門官が対応し、警官を呼んだ職員をかばって「落ち度はなかった」と謝罪を拒否した。


審査請求自体がおかしい!

 会員の皆さんもご承知のとおり、嘉手納の一坪共有地をはじめ一三筆の地箱不明地について沖縄県収用委員会が却下裁決を行ったことに対して、那覇防衛施設局は六月一七日付けで建設省に対して不服審査請求を行っている。

 行政不服審査法の本旨は、行政庁の不当な処分に対して国民の異議申立て=権利を擁護するための法律であり(行政不服審査法第一条に明記されている)、那覇防衛施設局は建設省と同じ国の組織である。ゆえに「法の趣旨からいって審査請求すること自体が誤っている、したがって即刻却下すべき」ものである。

 一〇月六日、島袋宗康議員(参議院、二院クラブ)に御手配いただき、参議院議員会館にて2回目の建設省への要請行動が実現した。

 今回は、建設省からは前回と同様、建設経済局総務課の山崎房長・課長補佐と係長の2人。こちらは島袋宗康議員、沖縄から反戦地主会会長の照屋秀傳さん、反戦地主の島袋善祐さん、反戦地主会の安里秀雄さん、そして関東ブロック他約三〇人が参加した。

 まず、現在の進行状況を確認。山崎課長補佐によると、六月一七日に審査請求を受理、その後審査請求に対する沖縄県収用委員会の弁明書提出を受け那覇防衛施設局から反論書を受け取るという、一般的な事務手続きを進めている。今後、公害等調整委員会の意見を受けるなど審査を進めていくことになるーーとのこと。

「却下すると寵免」か?

 次に前回に続いて、施設局が不服申請をすることについて議論が交わされた。

 照屋:国が国に不服を申し立てるというのはおかしい。
 建設省:特措法で局は起業者として土地所有者と同等の権利をもっている。

 安里:裁決申請の事業認定を行っているのは総理大臣。内閣法で建設大臣は総理に反する決定はできないはず(仮に決定すれば免されてしまう)。そうすると裁判で最初から判決が決まっていると同じことになってしまう。
 建設省:審査庁として双方の意見を聞いて判断していく。

 安里:内閣法に反して却下するということはあるのか?
 建設省:そういう答えはできない。

 ーーまたしても納得のできる答えはない!

 島袋善祐:(沖縄の土地が米軍基地に取り上げられた経過を話したのち)土地を特定するため地籍明確化法で集団和解方式をとった。ところが5%も土地の面積が増えている。どんどん土地が増えていって、「誰かが増えたら減った人もいるのか?」というと一切ない。そういうものに私は杭を打たせなかった。そういうでたらめをやめてほしい。

 ーー等、土地の特定ができていないことを明らかにした。

 それを受けて、進行役の木村事務局長が、「十分な審理を重ねて地籍不明地の却下という収用委員会の判断がある。局の言い分を一方的に聞くのではなく、地主の意見を受け止めて公正な審理を」といったん議論をしめた。

土地は確定していない!

 次に、具体的な審査の進め方について質問した。

 加藤(関東ブロック会員):現地の調査も含めきちんとやられる意向はあるのか?
 建設省:論点は認識している。審査の仕方については言えない。

 照屋:七七年に初めて基地に入った。行ってみたら私の宅地が山になっていた。土地が動いている。石垣までが宅地だったのに、石垣を超えて宅地になっているところもあった。

 安里:土地の"特定"というのは間違った認識。明確化法の集団和解では"特定"はない。"確定"していないのが問題。明確化法で5・2%土地が増えている。固定資産税はどれで払っているか知っているか?二OOO人が"特定"で払っていると思うか?

 加藤:こういう問題があるからこそ、公開して地主を呼んで審査すべき。

 安里:参加申請については?

 建設省:審査中です。

 安里:参加申請は審査中なのに、事だけが進んでいる。全て終わってから参加させるのか!裁決書には一一回の公開審理で地主が述べたことが全部書かれているわけではない、公調委は公開でやるべきだ。

 建設省:参加申請も含め検討中です。

 一坪地主:弁明書とか反論書は公開しないのか?

 安里:ぜひ公開してほしい。そして地主と一緒に嘉手納にも入って検証するべきだ。

 建設省:あまり公開したことはない。審査の仕方については言えない。

 加藤:現在は暫定使用という状態。九二年の審査査請求(最近却下された)のように放っておかれては困る。タイムスケジュールを示してほしい。

 建設省:国会答弁でも述べた(注)が、なるべく早く進めたいと考えている。
(注)去る一〇月二日の参議院での政府答弁を指す。同院で島袋宗康議員が「収用委員会の一部却下裁決を尊重し、審査請求は却下すべきだ」と発言。関谷建設大臣は「審査は早急に行ないたい」と答弁した。
 島袋:ダンボールの書類ではなく、地主の話を聞き、実際に現地を見て!爆音も!

 加藤:前二回は認めたが、今回の収用委員会は却下した。これは公開審理をちゃんと開いて地主の意見を聞いて、収用委員会がまじめにやった結果だ。

 建設省:法を所管し審査制度を持っている。そういう立場から公正に審査する。

 安里:地籍が"確定"して初めて建設省の仕事もできるはず。"特定"ということで建設省がやったら重大な問題だということを認識してやってほしいーー

 今回も「行政(那覇施設局)が行政(建設省)に行政不服審査を行う」という茶番的な行為について、建設省は口を濁した。
 
 また具体的な審理の進め方についてもはっきり言っていない。建設省、そして総理府所管の公害等調整委員会という、通常は沖縄の基地問題とはまったく無関係の部署が収用委員会の却下裁決に判断を下そうとしている。
 
 行政内のつじつま合わせで不当な決定を出させないよう、地主の審査への参加を実現し、公正な審査を要求して今後とも建設省の役人や公害等調整委員会の委員に対して働きかけていくことが重要だと思う。
 
 請求の却下を求める建設大臣への要請書は一一九通集まり、建設省に提出した。