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第96号(1998年6月22日発行)

土地を明け渡せ! 米軍用地強制使用却下裁決報告緊急集会


松島氏:却下裁決の意味は大きい

池原氏:半分評価、半分批判だ

  去る六月四日にシニアワーク東京(飯田橋)で、「土地を明け渡せ! 米軍用地強制使用却下裁決報告緊急集会」が行われました。参加者は100人。

 集会は、主催者の「却下の裁決を受けて、反戦地主と共に新しく土地の返遺を求める闘いを作っていこう!」の呼びかけで始まり、一反戦地主弁護団の松島弁護士と池原秀明・反戦地主会事務局長がそれぞれ報告を行いました。


 松島氏は「今回の裁決の第一の特徴は、嘉手納・普天間・キャンプ・シュワプ・牧港の四施設・一三筆について国の申請を却下したことである。過去三回の県収用委員会での闘いにおいて初めてのことである!」として県収用委員会の裁決を高く評価。

 収用委員会の却下理由が、土地を特定できないためとしているので、地籍不明地について『沖縄戦と引き続く米軍占領下の基地建設により、登記簿や権利証の消失、地形の変容した土地が多く存在。七七年の地籍明確化法案で地境を話し合いで決める集団和解方式によって登記簿を復元したが、反戦地主が同意しなかったために、地籍の不明地が残ることになった」と、その形成過程を説明。

 「却下された土地のうちの一筆は、嘉手納基地のメイン滑走路のほぼ中央にあるため使用できないとなると嘉手納基地機能そのものが麻痺してしまう。

 却下の意味はきわめて大きい。そうであるがゆえに、国は建設大臣に審査請求をするだろう」と、まさにそれを想定していたと思われる昨年四月の特措法の改悪を強く批判しました。

 さら「第二の特徴として、瀬名波の使用期限を一年としたことは、再申請手続きのことを考えると実質的に却下と同じである。収用委員会は強制使用の認定については権限がないと判断。使用期間について一年と裁決を出したのだろう。きたら却下してほしかった」と述べつつ、事実上の却下裁決として評価できるものであるして、今後の運動で展開していくと報告しました。

 そして最後に、松島氏は「収用委員会の判断は評価しつつも、「@基地被害の元凶である安保条約に踏みこんで判断してほしかったし、安保について使用認定の件について審理してほしかったが、切り捨てられてしまったのは国から収用委員会への圧力があったからだろう。A地主の立会いを認めなかった土地物件調書を有効としたのは問題点として残る」として批判点をあげつつ、全体としては@一三筆の却下、A瀬名波の一年の裁決にみられるようにあんまり批判はしたくない。ガイドライン制定の動きが進んでいく中で、県収用委員会の判断は高く評価したいと締め括りました。


 続いて池原事務局長が「反戦地主の思いは半分評価、半分批判。消化不良の気持ちである。今回の却下は集団和解方式に抵抗して印を押さなかった反戦地主の闘いによるものである」と集団和解方式の問題点を指摘しました。

 さらに「使用期間については、収用委員会は政治的判断をした。県民世論を気にして裁決の判断をした。収用委員会を追いこんだのは地主の闘いである」として裁決を前向きに評価しながら、今後の展開としては「却下をした土地に、政府が審査請求をした時に、地主がどう参加できるのか考えていく」「供託金を回収して運動に還元していく」など、いろいろな方法で政府を追いこんでいきながら、運動を新たにつくっていく強い決意を述べました。


 この二つの報告の間に、関東ブロック運営委員による施設局への対応についての模擬劇がありました。「橋本龍次郎の使者」那覇防衛施設局が「損失補償金を受けとってくれ」と会員を訪問する想定で、しまいには「助けてくれ!」と施設局が逃亡しました。