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221号(2010年9月25日発行)                      

                      
                    828集会報告:高里鈴代氏が講演

         負担軽減でなく、日米同盟の深化だけではないか

 「位置、配置及び工法の検討を今年八月末日までに完了させる」という日米共同声明を許すわけにはいかない――。

 その「八月末日」、関東ブロックも参加する辺野古実主催の集会が開かれた。集会名は「日米共同声明」撤回!普天間基地即時閉鎖!辺野古への新基地建設をとめよう! 沖縄切り捨てを許さない八・二八東京集会」。参加者は二三二人だった。

 講演した高里鈴代氏は基地・軍隊を許さない行動する女たちの会・共同代表。

 高里講師は共同声明を徹底的に批判、このような合意は全く認められないと語った。以下、講演の要旨。

 「辺野古基地建設を明記した五・二八共同声明には、「『いかなる場合でも』8月決定」とあり、たとえ地元が反対しようと辺野古に基地建設の姿勢が露わになっている〔共同発表では「専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも二〇一〇年八月末日までに)完了させ」〕。)

 鳩山新政権は九か月で崩壊した。口からつい出たことば(「最低でも県外」)をかなぐり捨て辺野古に回帰してしまった。菅首相も六月六日、ホワイト・ハウスへの一五分の電話(だけ)で「日米合意については私も守り、実行します」と辺野古を追認した。最終的には日米協力の深化。これでいいのだろうか?

 共同発表では辺野古では米軍飛行経路は陸地側に接近、自衛隊の辺野古常駐による米軍との「共同使用」も盛り込まれている。

 かつては民主党も反対していたのに、これでは前の政権と同じ。V字型滑走路は、額賀防衛省長官(当時)元防衛相が「朝、目覚めたら浮かんだ」という案。それも共同声明では認めている。また日米の「緑の同盟」論も盛り込まれていて、「環境関連事故の際の米軍基地への立ち入り」などが挙げられている。しかしこの〈環境保全〉はただの口実で、基地強化の協力に過ぎず危険である。沖縄の自治体との融合〔意志疎通及び協力〕をはかる、ともあるがこれにも警戒が必要だ。

 それにしてもマスコミは、はやくも共同声明への批判はしなくなった。「やっと辺野古に到達、それをいま進めている」などという報道が多くなっているのは、どうしたことか。

 グアム移設はもう不可能でしょう。米国では「見通しがたたない」状態だ(*)。

 日米間密約のバクロ〔三月の有識者委員会報告〕も、たしかに政権交代の成果ではある。二〇〇六年の日米辺野古合意を今まで引き延ばしてきた(これた)のも、交代した新政権の「成果」かもしれない。あくまでも合意を実現させないよう、粘り強く闘いを続けていこうと訴えた。

 講師は告示直前の名護市議選について、辺野古反対派候補への協力を呼びかけた。 なお講師は、「この集会の設定(=タイトル=)には異論がある」とし「『沖縄切り捨てを許さない』には少しひっかかる。共同発表は沖縄だけを拘束するものではなく、日本全体を拘束するもの。『沖縄切り捨て』とはいえない」と述べた。

 講演後、花輪氏(WWFジャパン)など四団体から発言があり、関東ブロックからは「今後の行動についての呼びかけ」として一一月の県知事選挙と名護市議選での「普天間撤去・辺野古移設反対」への協力を訴えた。また講師は講演後、ぜひつけ加えておきたいこととして「辺野古決定への抗議に対して外務省や領事・大使らは、『その決定は沖縄の負担軽減のためです』と口をそろえて言うが、それらはすべて日米安保同盟の深化そのもの。事実はまったく正反対であり、まったく不愉快」だと語った。(吉田正司)

 * 米上下両院は昨年度に続き、今年度もグアム移転計画の実現性は疑問との報告書。米国防総省はそれに対して具体的解決策は示していない。