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 第182号(2006年10月28日発行)

安倍政権発足と、沖縄反基地闘争の今後

米軍再編実現のために、基地と振興策をリンク!?

小野 信也 (関東ブロック会員)

 安倍晋三首相は9月29日の所信表明演説で、日米同盟の強化を表明した上で在日米軍再編について「抑止力を維持しつつ、負担を軽減するものであり、沖縄など地元の切実な声によく耳を傾け、地域の振興に全力を挙げて取り組むことにより、着実に進めていきたい」とした。

 普天間基地をはじめとする米軍基地移設と振興策をリンクさせて確実に実現させるという考えである。

 そしてその安倍内閣で在日米軍再編を担当する防衛庁長官には、久間章生氏が8年ぶりに就任した。久間氏は、1996年のSACO最終報告前後に長官を務め、また自民党防衛族の有力議員としての米政府高官とのパイプもある。安倍首相は組閣に際して「米軍再編に万全を期してほしい」と指示を出した。

 上記内閣の発足を受けて、政府・与党は2007年の通常国会で、再編の進展に応じて段階的に自治体に交付金を支払う「再編交付金」制度や、在沖米海兵隊のグアム移転経費を拠出する根拠法になる「駐留軍等再編円滑化特別措置法案」(仮称)を提出、成立を目指す構えなのである。

 安倍政権として全体重をかけて辺野古新基地建設を遂行しようとしているのだ。


 小泉政権の「積み残し」を引き継ぐ安倍政権

 安倍政権の性格は、前任の小泉政権の為してきたことに規定されている。小泉の在職中に「辺野古沖基地建設」の閣議決定は白紙に戻され、同時に沖縄北部への振興策もストップとなった。

 「沖縄の負担軽減」を自らの課題として、2004年10月には講演で在沖米軍基地の本土移設を検討する考えを明言した小泉も、「辺野古沖以外は県外へ」との稲嶺県知事の主張を退けて、辺野古沿岸案とする新基地建設に合意した。

 小泉の「負担軽減」がまやかしであることはこの事でも明白だが、小泉政権下で政府方針を断念させたのは、まぎれもなく辺野古現地を先頭にした基地建設阻止闘争である。現政権はこのことを彼らなりに総括しているに違いない。それが安倍首相の「着実に実現」にあらわれている。

 もうひとつ小泉の進めた「三位一体改革」で沖縄をはじめ、地域経済は財政破綻へと追い込まれていることも念頭においておきたい。 ただでさえ苦しい沖縄経済にあって、「地方に冷たい」小泉政権の果たしたマイナスは大きい。そこへきて「基地建設とリンクした振興策」である。兵糧攻めにして、政府の言う事を聞かせようとするあざとさがみえる。


 県知事選の動向に注目する安倍政権

 所信表明で「負担軽減」をいう安倍政権は、機動隊まで導入して、米軍の嘉手納へのパトリオット配備を許し、「沖縄の切実な声」に耳を貸さない姿勢を早々にあらわした。その安倍にとって今回の県知事選は大きな関心事となっている。政府の意のままになる県政を誕生させたい考えだ。

 財政破綻があり、振興策が基地とセットにされてようとしている中で、県知事選のテーマは反基地とともに沖縄の自立経済の確立となってくる。

 県知事選に対する政府・与党の圧力も考えられるなか、安倍政権と対決して、基地のない豊かな沖縄の実現をめざすために、関東からもしっかりと支援をしていこう。